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今週の総括

★中国の景気対策、米中摩擦緩和への期待が後押し。マイナス材料も影響は限定的

図2
図3

今週の日経平均は、一進一退の展開ながら、米株価上昇・円安の後押しもあり、前週末比+1.5%で引けた。

米株価、為替レート(特にドル円)、米長期金利、原油価格は、いずれも株価に大きく影響することが多いが、今週はいずれも小動きに留まり、日経平均もこう着しやすい地合いとなった。右上に上げたいくつかの統計データなどマイナス方向のニュースも、既に以前からその傾向が出ていたり、その可能性が指摘されていた項目が多く、「新たな材料」とはならずに株価影響も限定的だった。一方で、中国の景気対策や米国の関税引き下げに関する報道も、まだ正式決定ではないものの、市場心理に少しプラスとなった印象。

業種別にみると、任天堂の影響が大きい「その他製品」の上昇が目立つほか、機械、電機・精密、不動産、銀行を除く金融などの上昇率が高め。一方、資源株、自動車、電力・ガス、小売、陸運等が弱い。ハイテク株に見直し買いが入る一方、昨秋より相対的に強かった電力・ガスが売られ、主力市場の年間販売台数の減速が伝わる自動車や決算が冴えない小売も敬遠されつつある印象。

来週以降の見通し

★まだ安心はできない可能性

日経平均想定レンジ 19,500~21,000円

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来週の日経平均は、ボックス圏の推移となる可能性が高いが、海外ニュースで振れ幅が大きくなるリスクは常にあり、特にマイナス方向への動きに警戒が必要だろう。

今後のイベントは、3Q決算発表(再来週から本格化)、米大統領教書演説(下旬)、中国旧正月(2月)と全国人民代表大会(3月)、米中貿易協議期限(3月)、英国のEU離脱(3月末)、米FOMC(1/30と3/20)などだが、いずれも再来週以降となる。そのため来週は様子見モードとなりやすいが、米中景気や外交面での新たな報道のたびに、市場が一喜一憂する可能性は常にあるだろう。「何も決まっていない」ことが最大の課題だ。

17日に下方修正を発表した日本電産の翌日株価は、前日比7%安で始まったが、終値は1.2%安となった。減速の続くスマホ市場の影響が小さく、厳しい環境下でも増収増益を続ける優良企業のイメージが強かっただけに、他の企業への株安連鎖が懸念されたが、他のハイテク株への影響は感じられなかった。しかし、中国市場の減速はスマホ以外にも広がっていることが確認されただけに、再来週から本格化する決算発表では、下方修正ラッシュとなる可能性がある。ある程度想定済みとは考えられるものの、修正数が多いと市場心理が一段と冷え込むリスクがあるだろう。

コラム:徒然なるままに

「職場付きマンション着工」という記事を見かけた。面白い取り組みだなと思った。

以前から職場に保育園を併設する動きは聞いたことがある。保育園を併設したマンションも見かけるようになった。近所に新しくできたマンションも保育園併設だが、隣りは有料老人ホームとサービス付高齢者住宅、いわゆる「サ高住」とセットになっている。最近増えている幼老複合施設だろう。子どもとお年寄りが触れ合う機会があることで、子どもにはお年寄りをいたわる気持ちや思いやり、マナーが身につきやすくなり、お年寄りにとっては生きがいや活力が生まれ、保育園にとっては足りない人手の一部をお年寄りにカバーしてもらえる、三方よしの組み合わせと思う。

ではこの「職場付きマンション」はというと、運営主体は病院を経営している医療法人で、前述の「サ高住」のように見える。主な入居対象は60歳以上の女性で、居住スペースは5~7階。同じ建物の3階と4階にクリニックやリハビリセンターがあり、外来で診察にも行けるが、当直者が入居者の健康管理もしてくれる仕組み。

そして注目の「職場」部分だが、1階にドラッグストア、2階がパン工場になっていて、希望者はそのどちらかで働ける。もちろんフレックス勤務で好きな時間に働ける仕組みを目指すようだ。できたパンは1階の店舗またはそのドラッグストアチェーンで販売する計画だそうだ。住む場所と仕事がセットで見つかり、病気のときには同じ建物で診てもらえる上に、普段の健康管理もしてもらえる。独身の高齢者で、まだまだ元気で老人ホームはまだ早いが、何かのあった時が心配、という人にも安心できる仕組みのように感じる。

病院と大手ドラッグストアがタッグを組んだ企画で、場所は札幌にある。10月着工で、21年4月の完成予定。このマンションがうまく行き、似た動きが是非全国に広がるといいなと思う。あとできれば、是非とも男性版も企画して欲しいかも・・・。

田村晋一,松井証券
松井証券ストラテジスト 田村 晋一(たむら しんいち)
京都大学経済学部を卒業後、太陽神戸三井銀行(現三井住友銀行)に入行。米国MBA 留学、外資系大手コンサルティング会社勤務等を経て、UBS 証券、ドイツ証券、バークレイズ証券にて銀行セクター担当アナリストとして豊富な経験を積み重ねる。

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