米政府機関の一部が閉鎖されて以降初めて、S&P500指数は前日から値を下げて取引終了となった。この下落は主要通貨の大半が軟調であったことと関連していた。投資家心理の悪化や米中古住宅販売件数が予想をはるかに下回ったことで、株安となったことは容易に説明がつくが、株式先物が統計指標の発表前に下落していたことは不可解である。米政府機関の閉鎖は32日間続き、米国経済への影響は50億ドルを超える可能性がある。この影響は、一時解雇された従業員が生活難に陥った数年前のケース以上に大きな影響をもたらすと考えられる。だが、これまでの政府機関の閉鎖によって米国経済にとっての悪材料が出なかったため、米ドルと米株市場にとっては好都合であった。実際、軟調な米国経済であっても経済統計の発表延期によって、米金融資産は年初より安定しているのだろう。しかし、火曜日の中古住宅販売件数の発表によって、利上げや貿易戦争によって経済が悪化しているという状況を市場に再認識させた。フィナンシャル・タイムズ紙によると、今月末に予定されている劉鶴副首相の訪米を前に、トランプ政権は中国からの予備協議の申し出を拒否したと報じた。同報道から、米中貿易協議に進展が見られないということや、ファーウェイCFOの身柄引き渡し要請によって関係が悪化しているということが伺える。オーストラリア ドルはこういった懸念によって、AUD/USDが2週間の安値まで大きく下落している。

ニュージーランド ドルは同国のインフレ率の伸びを受け、取引開始直後の下落から一転、前日を上回る水準で取引を終えた。第4四半期の消費者物価指数(CPI)は対前年同期比0.1%の上昇と、市場予想の0%を上回ったが、第3四半期の0.9%からは著しく低下している。2018年度のCPIの伸びは1.9%と、前年度の水準を上回った。一方カナダ ドルは、USD/CADが1.33を大きく上回り、今年度最大の下落幅をマークした。小売売上高は水曜日に発表を控える。労働市場は堅調であるものの、卸売売上高の大幅な下落によって消費者支出は弱含むだろう。卸売売上高の発表による影響とは別に、工業売上高と原油価格の下落によって、USD/CADは大幅に上昇した。

ブレグジット(英EU離脱)協議が膠着しているものの、堅調な労働市場の発表を背景にポンドは高値で取引された。新規失業保険申請件数が前月を下回っただけでなく、平均週給は予想の3.3%を上回る3.4%へと上昇した。また、失業率は前月の4.1%から4%へと下落した。だが、なぜポンドトレーダーはメイ首相の「プランB(代替案)」に失望の色を示さないのか不可解である。「プランB」は元々の草案とかなり類似しており、離脱交渉の延期を要請する内容が含まれていないのだ。ポンド市場の焦点は、いまだブレグジット交渉に集まっているが、メイ首相は議会で否決された後、2回目の国民投票が行われるという新たな見通しが持たれつつある。政治リスクが依然として存在しており、今後の見通しの不透明感によってボラティリティも高まっているが、一方現在の市場は合意なき離脱を織り込んでいないようだ。ドイツZEW景況感調査の期待指数は改善したものの、現況指数は急落し、本日のユーロ相場は下落となった。(提供:Investing.comより)

著者:キャシー リアン