化粧品に衣類、美容院、健康食品、エステ、美容整形…。女性の美の追求心は限りない。需要のすそ野が広がり続ける中、近年大きな関心を集めるのが美顔器などの美容家電だ。ユーザーに合わせたケアが可能になるなど高性能化も進み、関連銘柄への関心は一段と強まりそうだ。

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(画像=PIXTA)

調査会社の富士経済によれば、昨年の美容家電市場は前年比6%増の1137億円に拡大したもよう。民生用電気機器全体ではマーケットに陰りがみえる中で、堅調に出荷が伸びている。

従来はサロンなどの専門店で施術を受けないと得られなかった効果も、最近の美容家電を使えば実感できる。また、その日の体調によってどのような肌の手入れが必要かを指南してくれる鏡、髪のコンディションを自動で判断し、ケアのアドバイスを行うブラシといった次世代品も登場し始めている。

大手家電メーカーも美容家電の分野に力を入れる。パナソニック(6752)は美容成分の肌への浸透を助ける美容器や、水分補給のためのスチーマーなどで攻勢を掛け、シャープ(6753)も頭皮のマッサージ効果を得られる新感覚のドライヤーを昨年11月に投入した。

美容家電専業のヤーマン(6630)は、ラジオ波を利用した美顔器「RFボーテ」シリーズがヒット。連結営業利益は前4月期に過去最高の54億円(前々期比54%増)に急増し、今期も計画の上方修正を経て64億円と高成長が続く見通し。顔に付けて表情筋を鍛えるマスク型の新商品「メディリフト」も初回生産分が既に完売し、今年3月の販売再開が大きな注目を集めている。

微弱な電流を体内に流すことで筋肉の増強を図るEMS(電気筋肉刺激)マシンも、近年急速に普及した。「SIXPAD(シックスパッド)」で知られるMTG(7806・M)は、美容、健康市場の世界的な広がりを受けて業績が拡大。アイケイ(2722・(2))もテレビ通販を通じてEMSマシンに注力している。

一方、今後に美容家電の台風の目になりそうな企業が、パソコン周辺機器大手のエレコム(6750)。同社は2015年にヘルスケア事業の子会社を立ち上げ、美容関連商品を強化している。

昨年にはコードレスタイプのEMSマシンとしては業界で初めて、皮下脂肪に合わせて周波数を変えられる商品を発売した。スマートフォンを使って電子体重計などとも連携した健康管理ができることなども、差別化のポイントだ。競合メーカーと比べた手ごろな価格設定や、周辺機器を含む展開力にも期待が持てる。

エレコムの株価は長期的な上昇トレンドをキープしている。今3月期の連結営業利益は前期比8%増の110億円を目指すが、進ちょく率は上期で56%と高め。時価の2800円台から3000円前後にかけて累積出来高が多く、このゾーンを突破すれば一気に浮上する可能性がある。

そして、穴株では船井電機(6839)を狙いたい。米ラスベガスで行われた世界最大のエレクトロニクス製品の見本市「CES(8~11日)」で話題となったのが、つめに複雑なデザインを印刷できる同社の「ネイルアートプリンター」。強みを持つプリンター技術を生かし、誰でも手軽にネイルアートを楽しむことができる。上市は今春が見込まれ、新たなトレンドとなる可能性もある。(1月23日株式新聞掲載記事)

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