公的年金に加えて加入できるiDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)の加入者は年々増え続けているが、「死亡したら積み立ててきた掛金はどうなるの?」という疑問を持つ人は少なくない。

死亡一時金はiDeCoの3種類の給付金の一つ

イデコ,死亡
(画像=fizkes/Shutterstock.com)

iDeCoには、「老齢給付金」「障害給付金」「死亡一時金」という3種類の給付のタイプがある。

老齢給付金は原則的に60歳になってから受給を開始できるもので、障害給付金は、70歳になる前に加入者が一定の障害状態になったときに請求することができる。死亡一時金は加入者の死亡後、遺族が請求することで受け取ることができる。

死亡一時金を遺族が受け取るために必要なことは?

遺族が死亡一時金を受け取るためには、死亡した人がiDeCo口座を開設していた「運営管理機関」に給付請求を行わなければならない。運営管理機関とはiDeCoを取り扱う金融機関のことで、都市銀行や地方銀行、証券会社、保険会社、投信会社などだ。

給付請求では、「裁定請求書」に請求者と死亡した人の名前や性別、住所、生年月日、死亡した人の基礎年金番号や死亡年月日などを記入した上で、死亡診断書や請求者と死亡者の関係を確認できる戸籍謄本などの必要書類を運営管理機関に提出する。

死亡一時金の金額はどのように決まる?

死亡一時金は、死亡した人がiDeCoで運用していた全資産の残高が充てられる。

運用中の投資信託なども現金化されて支給されるが、投資信託は刻々と価格が変化する。死亡した人がiDeCoで投資信託を運用商品に選んでいた場合、請求者が受け取ることができる金額は、加入者が死亡した時点の投資信託の価格ではなく、遺族が死亡一時金の請求後に運営管理機関が売却処理をした時点の価格であることを覚えておこう。

死亡一時金の受取人となれる遺族は?

死亡一時金を受け取ることができる遺族の範囲は規約で定められており、優先順位も決められている。ただし、死亡した人が生前にこの範囲内で受取人を指定していた場合には、この優先順位は適用されない。優先順位は以下の通りだ。

第1順位 配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む)
第2順位 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって死亡した者の死亡の当時主としてその収入によって生計を維持していたもの
第3順位 前号に掲げる者のほか、死亡した者の死亡の当時主としてその収入によって生計を維持していた親族
第4順位 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって2に該当しないもの

死亡した人が生前に受取人を指定していなかった場合、配偶者が死亡一時金を受け取ることになる。配偶者がいない場合には第2順位の人、第2順位に該当者がいない場合には第3順位の人、というようにして受取人が決まる。

さらに細かく言えば、第2順位と第4順位には「子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹」との記載があるが、この文章内での登場順に優先順位が高くなっている。つまり「子>父母>孫>祖父母>兄弟姉妹」という順番になる。同順位に複数人がいる場合は、死亡一時金の受取金額は等分される。

iDeCoの加入は家族で共有を

死亡一時金は「みなし相続財産」として一定額までが非課税となる税制優遇措置が適用されるが、加入者が死亡してから5年以内に給付請求が認められなければ普通の相続財産として扱われ、税制優遇の恩恵を受けることができない。

相続人の納税負担を軽減するためにも、加入者はiDeCoを始めた際には家族にそのことを伝え、どこの金融機関で運用をしているのかも知らせておくといいだろう。

文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES

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