つみたてNISA(積立NISA)の取扱い銘柄数は、162本(2018年10月31日現在)である。投資信託は全部で6,000本以上あるので、つみたてNISAで選べる商品数はそれに比べると少ないが、それでも初心者が自分に適した銘柄を探すのはハードルが高い。そこで、初心者が銘柄を選ぶために必要な3つのステップを紹介する。

つみたてNISAの対象商品と種類を確認

つみたてNISA,銘柄
(画像=fizkes/Shutterstock.com)

つみたてNISAは「長期・積立・分散投資」を支援するための制度で、毎年40万円までの新規投資額に対して利益が非課税(非課税枠は20年間で最大800万円)となっている。金融庁の投資対象は安全な資産形成を目指す「長期・積立・分散投資」に適した商品という条件をクリアした投資信託がメインで、現在162本が対象で、以下の条件が設けられている。

・販売手数料が0円(ノーロード)で信託報酬(維持・管理コスト)が低い
・頻繁に分配金が支払われない

そして、その商品は大きく分けて以下の3つに分類できる。

インデックスファンド(インデックス型投資信託) 142本

インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など特定のインデックスの値動きに連動するように運用する投資信託だ。つみたてNISAでは、全体の約90%がインデックスファンドである。

目安となる数値対象が日経平均株価などよく目にするものなので、値動きがわかりやすいのが特徴。後述するアクティブファンドよりも信託報酬が安いこともあり、初心者向きと言える。

アクティブファンド(アクティブ型投資信託) 17本

アクティブファンドとは、ファンドマネージャーと呼ばれる運用のプロが個別企業の調査・研究を行い、インデックスを上回る成績を目指すファンドである。対象銘柄を絞り込むので、インデックスファンドよりハイリスク・ハイリターンだ。信託報酬もインデックスファンドより高めである。ある程度のリスクを取って、リターンを追求する人向けだ。

ETF(上場投資信託)3本

ETFは東京証券取引所に上場しているインデックス型の投資信託で、株式と同じようにリアルタイムで取引できる。信託報酬は投資信託よりも安い。

つみたてNISAの銘柄選びのポイントとは?

つみたてNISAで選べる3種類の商品について理解したら、次は実際に銘柄を選ぶことになる。初心者が気をつけたいポイントは、以下の3点だ。

ポイント1 インデックス型の中でもバランスファンドから始める

インデックス型では、国内株式や外国株式などに連動するインデックスに合わせて投資対象を選ぶことができる。バランスファンドとは、一般的に投資対象が複数のものを指す。初心者だと、「資産配分を自分で決めるのが難しく手間がかかる」、「自動で配分を決めてほしい」と考える人もいるだろう。その場合は、運用を自動的に行ってくれるバランスファンドを選ぶといい。ある程度投資経験を積んだら、個別のインデックスを買うといいだろう。

ポイント2 インデックスファンドは信託報酬が低いものを選ぶ

インデックスファンドは、指数との連動を目指すのでパフォーマンスに大きな差は出ないため、着目すべきは運用コストである信託報酬だ。信託報酬は保有している限り払い続けるコストなので、日々の差は小さくても数十年単位で運用を行うと大きな差となる。

ポイント3 経験を積んだら純資産総額が増えているアクティブファンドも

ある程度慣れてきたら、アクティブファンドも検討したい。インデックスファンドよりリスクは高いものの、より大きなリターンを目指せるからだ。その際着目したいのが、アクティブファンドの純資産総額である。純資産総額は、投資信託の規模を表す。運用パフォーマンスが良かったり、多くの人が購入したりすると純資産総額が増えるので、安定的に増えているものを選びたい。

つみたてNISAの代表的な銘柄5選

つみたてNISAの銘柄選びのポイントを押さえたところで、具体的にどのような商品があり、どういった特徴があるのかを説明しよう。

バランス型ファンド

・eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
  運用会社 三菱UFJ国際投信
運用方法 インデックス型
基準価額 10,588円
純資産総額 186億300万円
信託報酬 0.159%(税抜き)

国内外の株式・債券・ REIT(不動産)に幅広く分散投資できる投資信託。それぞれの投資信託を購入する手間が省けるので、1つの投資信託で投資対象を広くカバーしたいと考える人に向いている。なお、つみたてNISAには債券だけのファンドはない。債券も運用対象に加えたい場合は、バランス型を購入する必要がある。

インデックスファンド

・ニッセイ日経225インデックスファンド
運用会社 ニッセイアセットマネジメント
運用方法 インデックス型
基準価額 25,078円
純資産総額 1,509億円
信託報酬 0.25%(税抜き)

国内を代表する株価指数である日経平均株価に連動する投資成果を目指す投資信託。日経平均株価はポピュラーであり、値動きが分かりやすいことが利点だ。つみたてNISAで運用する場合は、まず国内インデックスでの運用を基本としたい。資産規模も1,000億円を超えており、人気が高い投資信託である。

・ニッセイ外国株式インデックスファンド
運用会社 ニッセイアセットマネジメント
運用方法 インデックス型
基準価額 15,290円
純資産総額 1,050億円
信託報酬 0.109%(税抜き)

日本を除く主要先進国の株式に投資するファンド。国別ではアメリカが68.2%と最大で、以下イギリス(6.5%)、フランス(4.1%)、カナダ(3.7%)、ドイツ(3.3%)となっている。業種別では情報技術、金融、ヘルスケアが多い。

・eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
運用会社 三菱UFJ国際投信
運用方法 インデックス型
基準価額 9,771円
純資産総額 108億5,900万円
信託報酬 0.189%(税抜き)

新興国株の株式指数であるMSCI (エマージング・マーケット・インデックス)と連動する投資成果を目指すファンド。BRICKs(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)を中心に、韓国や台湾などアジア各国の株式が組み入れられている。一般的に、新興国株のほうが先進国株よりもハイリスク・ハイリターンである。

アクティブ型ファンド

・ひふみプラス
運用会社 レオス・キャピタルワークス
運用方法 アクティブ型
基準価額 38,429円
純資産総額 6,117億1,000万円
信託報酬 0.9800%(税抜き)

国内株式を対象とするアクティブ型投資信託で人気があり、純資産総額は6,000億円を超える。インデックス型よりも大きなリターンが望めるものの、その分リスクもあるのでインデックス型との併用がいいだろう。

目的にあった投資信託を選ぶ

投資初心者は、バランス型から始めるのがセオリーである。国内外の株式・債券に幅広く分散投資できるからだ。投資経験を積んだ投資家なら、自分のリスク許容度に合わせて、国内のインデックス型を基本に、先進国型と新興国型のバランスを考慮してポートフォリオを組むべきだろう。さらに大きなリターンを目指すなら、アクティブファンドも組み入れたい。つみたてNISAでは、利益がでるほど非課税メリットを活かせる。

忘れてはいけないのは、つみたてNISAは長期投資を目的としていることだ。よって使途は、子供の学費や自分の老後資金になるだろう。投資を始める目的は何か、どのくらいの利益を目指すかを常に念頭に置きつつ、資産形成につみたてNISAを上手に活用してみてはいかがだろうか。

文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES

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