図1

今週の総括

★新たなマイナス材料が無く、小幅の値動きにとどまる。一方でグロース指向に陰りあり

図2
図3

今週の日経平均は、1日ごとの振れ幅も比較的小幅にとどまった印象で、前週末比107円高で引けた。

今週は、為替や金利、原油価格の動きも小さく、NYダウも比較的小幅の推移となった。米企業決算発表は好調な内容が多かった一方で、中国GDP減速、IMFの世界経済成長率見通し引き下げなどのマイナス材料があったものの、プラスとマイナスが綱引きして結果的に株価はこう着した印象がある。来週以降に、企業の決算発表や、米大統領の教書演説(実施されない可能性もあるが)、中国の旧正月(インバウンド動向)などのイベントを控えて様子見モードも加わった可能性もあろう。

業種別にみると、資源株、電気機器、機械、海運、通信などが強めとなる一方、不動産、保険、小売、陸運、電力・ガス、医薬品、食品、建設などが若干の下落となった。またTOPIXグロース指数とバリュー指数の比較では、17年、18年ともにグロース指数が優位だったが、年明け以降、バリュー指数の優位が続いている。さらに昨年までは劣後気味だった配当フォーカス100指数も、今週は少し強めとなっている。

来週以降の見通し

★下方修正ラッシュに用心を

日経平均想定レンジ 19,500~21,000円

図4
図5

来週の日経平均は、引き続き上値の重い展開を予想も、個別では決算発表への反応が大きくなりそうだ。

来週は企業の3Q決算が本格化する。スマホ市場と中国市場の減速、原材料価格上昇、人件費の上昇など、既に昨年から顕在化しつつあったマイナス材料がより大きく決算に反映される可能性が高い。既に先行して発表した日本電産が下方修正したが、中身をみるとスマホだけでなく車載部品やエアコン等家電向けなど、減速の範囲が幅広く、スマホ以外の業界でも下方修正となる可能性を示唆している。米国・欧州も減速しているし、国内では人件費上昇が止まらなくなっている。かなりの企業が下方修正となるかもしれない。しかし、仮に下方修正があっても、日本電産の例や昨年来の株価下落の後でもあり、想定済みと認識されて、発表直後の株価はあまり下がらないかもしれないが、反転の材料がある訳でもない点に注意が必要だろう。

2月以降は、中国旧正月に伴うインバウンド観光客の増加が注目される。訪日客数も、7~9月の猛暑や自然災害のマイナス影響から既に回復基調にあり、インバウンド関連企業への貢献が期待される。そして3月に入ると中国政府が追加経済政策に動くかが注目されろ。具体的な動きがあれば、日本のメーカーにもプラス影響が期待できるだろう。それまでは上値が重い展開を予想する。

コラム:徒然なるままに

意外な発見をした。桃太郎のおじいさんの「山へしばかりに」が人により違うのだ。

「おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川に洗濯に」 とても有名なフレーズで、私の世代はもちろん、若い世代でも知っている・・・と思っていた。

桃太郎は、金太郎、浦島太郎とともに携帯会社のCMにも起用されているぐらいだし、知名度が高いのは確かだろう。周囲に聞いても、「山へ柴刈りに」のフレーズは、みんな知っていた。でも、意外に多くの人が「柴」ではなく「芝」だと思っていたのだ。

おじいさんは背中に集めた「柴」を背負っている。この姿はみんな認識しているが、それが「柴」であり、「それを集めるために山に行った」という認識はされていない。「しばかり」と言えば庭やゴルフ場の「芝刈り」しか連想できないので、何となく「芝刈り」と思うらしい。「生活のために仕事をしに行った」はずだが、そう伝わってないかも。

裏山で採取した小枝や木材を、炊事や暖房に使用していたのは戦前までだろうか。川で洗濯するシーンは、TVや映画の時代劇やアジアやアフリカの途上国を採り上げた番組などで見ることがあるが、「山へ柴刈りに」は無いかもしれない。実生活でもTVでも見たことが無いから、連想することも無いのである。仕方ないのかもしれない。

この話を教えてくれた人の話では、「親が戦後生まれ」「子どもの頃、本が好きだったか(よく読んでいたか)」で、「柴」派と「芝」派に分かれる傾向があるとのことだった。そういう側面もありそうだ。私は「日本昔ばなし」で育った世代。本好きでなくても、「柴」は認識できる世代である気もする。

ここで重要なのは、「事実が伝わらず」、「異なって認識されている」ということである。 「柴刈り」はもう実生活に関係ないし、(少し寂しいが)もしかしたら知らなくてもよいのかもしれない。でも、「伝わっている」と思っていた話が、「違った話になっている」としたら、これはそれなりに問題な気がする。昔の話は「伝わっていない」と思った方がよいのかも。「昭和の常識」もそうだろう。ちなみに私は新卒時に「平成くん」「新人類」と呼ばれた世代だが、それもまた過去・・・「平成」もすぐに「過去」になりそう・・・

田村晋一,松井証券
松井証券ストラテジスト 田村 晋一(たむら しんいち)
京都大学経済学部を卒業後、太陽神戸三井銀行(現三井住友銀行)に入行。米国MBA 留学、外資系大手コンサルティング会社勤務等を経て、UBS 証券、ドイツ証券、バークレイズ証券にて銀行セクター担当アナリストとして豊富な経験を積み重ねる。

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