ゼネラル・エレクトリック(GE)(NYSE:GE)は1月31日に2018年第4四半期決算報告を行った。同社は電球・出力タービン・航空機エンジンメーカーであるが、今後の同社への懸念から2018年に時価総額は半分以上減少している。
同社は株価崩壊を防ぐため、安定していた配当をほとんどなくし、最高経営責任者(CEO)を替え、大規模な資産売却を始めた。
2019年最初の6週間で株価は堅調に上昇しているが、一部の投資家による同社の回復への希望が窺える。
同社株は、2018年には1株あたり6.66ドルと2008年のリーマンショックの不況以来最低値になった。そこからは回復し、今年に入ってから30%以上上昇している。この株価上昇は、同社の苦境は終わるというサインなのか、それとも単なる騙し上げなのか?
新CEOのラリー・カルプ氏が10月に就任して以来続けられている経営再建を考慮すると、この質問に答えるのは難しい。2018年第3四半期には、のれん代の減損費用が電力事業部門において220億ドルとなったと発表したが、第4四半期決算では衝撃的な報告はなかった。
だが同時に、カルプ氏は2019年への見通しを何も示さなかった。同氏はまだ同社の問題を解決しようとしている途中であり、この困難を乗り越えるために何をしたらいいのか模索しているところであると窺える。
電力事業の低迷
主要事業である電力事業が危機に陥っている今、一番の難題はキャッシュフローをどのように向上させるかである。第4四半期決算では、電力事業において予想を上回る損失があり、営業損失は8億720万ドル、バーンレートは27億ドルだった。GEキャピタルでは1億7700万ドルの損失があった。
カルプ氏は既存事業の売上高が2019年に1桁台前半から半ば程度上がると予想している。フリーキャッシュフローには現在圧力がかかっているが、2020・2021年には回復するとの見通しである。
このような不明瞭な見通しは同社のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)に反映されている。GE債のデフォルト(債務不履行)をカバーするための5年間の保証料(プレミアム)は約3倍にもなっている。そのような状況に陥った企業は一般的に、投資家や信用格付け機関が好む常套手段である費用削減、資産売却、債務削減を行う。
カルプ氏も同じ戦略を採っているいるが、ゼネラル・エレクトリックの場合は良い結果を出すことは難しいだろう。ブルームバーグによると同社は約430億ドルの債務を抱えているが、もし同社がGEキャピタル・アビエーション・サービス(GECAS)のジェット機賃貸事業などの資金源となる資産を売却すれば、その債務を返却することができると考えられる。
だが、大事な資産を債務整理に使えば同社には残りかすしか残らないことになり、更なる損失を生む可能性がある。同社株について最も正確な分析をしてきたJPモルガンのSteve Tusa氏は、同社が生き残るためには自己資本をさらに250億ドル増やす必要があるとし、同社は未だに危機を脱していないと考えている。
要点
ゼネラル・エレクトリックは最悪な危機に陥った。新しい経営陣の下で厳格な再建計画を進めており、今後は投資家の信頼を少しずつ取り戻していくだろう。
第4四半期決算によって、同社が直面している課題はまだ多く、同社の複雑な問題を解決するためにはしばらく時間がかかるということが分かった。我々は、リスク選好姿勢の投資家にとっては10ドル以下になっている同社株を購入することは良い選択かもしれないと考えている。だが同時に、これらの投資家も長期的に計画を立てるべきであり、今後起こるであろう様々な問題に備えるべきだと考える。(提供:Investing.comより)
著者:ハリス アンワル