2019年2月21日(木)Market Talkの内容

●日本の直近10~12月決算では事前予想を下回る企業が多かったですが、「景気・業績低迷での株価の揺り戻しは長続きしない」とする市場関係者もいますが、今後の相場展開を教えて下さい。上抜けるきっかけは米中首脳会談の結果くらいですか。

米中通商協議が決着すれば、これが安心材料となって株価が上がってくるトリガーになるとは思うが、上抜けるきっかけとしては「企業業績に対する見直し」が株価をもう一回上にあげていくことになるのではないか。金属や商品市況の反転、あるいは上海株の底打ち反転に表れているように中国景気の持ち直し、またグロ-バルでみても景気の悪化にそろそろ歯止めがかかる頃で、4Q決算は増益に転じて均してみれば今期は前期とほぼ変わらない水準で着地、そして発射台が低い分来期の業績は増益に転じる、という変化の方向で株価が決まるとすれば、足元がボトムだという認識が広がっていくのではないか。

●2年で大型減税効果が剥がれ落ちると言われていますが、今年後半から来年の米国株についての御見解はいかがでしょうか?

今年の夏で米国の景気拡大は戦後最長となるが、大型減税効果が年末にかけて切れてくるからそろそろ終わりだろうという人もいる。しかし過去最長に並んだらその記録が抜けないのか、というともちろんそんなことはないだろう。過去最長を更新することは十分あるのではないか。蓋然性が高い要因は、今回の成長が高くないということ。全然過熱していないので逆にゆるく長く続く可能性がある。確かに減税効果は切れてくるが自然の景気循環のサイクルが底打ちから反転に巡ってくる。米中の対立も安全保障や国家の覇権争いの面では続くだろうが、貿易の面ではとりあえずここで手打ちになれば景気に対してポジティブだ。一番大きい要因はFEDの利上げ停止。景気を長引かせる要因となる。

結局金利が動かなくなっている状況で今後金利が下がるのか?というと、たぶんそこそこ下がりもしないだろうと考えれば、米国株も高値を回復するとは思うが高値追いにはならないのではないか。

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広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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