昨年末の米国株式市場は株安となり不確実性が根強く残る中で幕を閉じたが、2019年は順調に回復をみせている。2月には全ての米主要株価指数は強い上昇をみせ、S&P 500は1991年ぶりの好スタートである。
ダウ平均株価とS&P 500は11%以上上昇し、ナスダック総合指数にいたっては14%以上上昇しており、企業や消費者による強い消費支出によって裏付けされた好調な米経済を表している。
今週は米大手小売業者などが四半期決算と業績見通しを発表するので、米経済の健全性をさらに確認することができるかもしれない。以下が今週に値動きする可能性のある3銘柄だ。
1. セールスフォース・ドットコム
法人向けの顧客・営業管理のクラウドサービスを提供するセールスフォース・ドットコム(NYSE:CRM)は3月4日の市場閉場後に四半期決算を発表する予定である。アナリストは、EPSが前年の0.35ドルに対して0.55ドルを予想している。また、売上高は、企業のテクノロジーへの支出増加を背景に、前年同期比25%増の35.6億ドルとなることが予想されている。
同企業のチャートから判断する限り、投資家は、これまでも継続的にアナリスト予想を上回っていた同社に対して、予想を上回る決算となることを見込んでいる。同株の1日の終値は164.53ドルとなっており、過去最高値である165.89ドルに近い水準となっている。同株は過去1年間で38%高となっている。
決算を前にセールスフォースへの期待が高まる中で、我々は同株に対して慎重な姿勢をとることをお勧めする。少しでも期待を下回る決算を示した場合、株価は大きく下落することとなるだろう。
2. ターゲット
小売業大手のターゲット(NYSE:TGT)にも注目すべきである。3月5日の市場開場前に同社は第4四半期決算を発表する予定である。
第4四半期における強い消費者支出を背景に、EPSが1.37ドルから上昇して1.52ドル、売上高が1.2%増の230.5億ドルとなることが予想されている。
ウォルマート(NYSE:WMT)などの他の小売大手と同様に、ターゲットも好調な決算を発表する可能性が高いだろう。同社は過去3四半期で、eコマースの売上高において強い結果を発表している。
同株は1日の終値が72.94ドルで年初来で10.4%高となっている。同社の第4四半期は非常に好調な結果が予想されており、実際に同社のブライアン・コーネルCEOは2005年以来で「最高の」業績見通しと既存店売上高の伸びになるだろうと述べた。
3. テスラ
世界最大の電気自動車企業のテスラ(NASDAQ:TSLA)は、イーロン・マスクCEOが約束していたローエンドモデルとなる35000ドルのモデル3を発表したが、一方で投資家は同氏の動向に苛立ちを見せていることだろう。
同社は実店舗を閉鎖してリストラする一方で、オンライン販売に注力することを表明した。もはや第1四半期に利益を計上することを誰も期待していない。
これらの報道は、マスクCEOが米証券取引委員会(SEC)との新たな紛争の明らかになった後に続いた。SECは情報開示を巡る和解合意に違反したとして米裁判所に訴えを起こした。
同株は1日の終値で294.79ドルで取引されており、8%安となった。52週間前の387.46ドルから約24%安となっている。マスクCEOと同社がどのように十分なキャッシュを生み出すのかについての懸念を受けて、今週も同株は下押し圧力を受ける可能性が高い。.
1日午後、同社は9億2千万ドルの転換社債に対して償還を行った。手元資金36.9億ドル内のの4分の1近くを償還に充てた。(提供:Investing.comより)
著者:ハリス アンワル