コーヒーショップの王者スターバックス。世界中でファンが多いことでも有名で、レジではおいしいコーヒーを目的に列をなすこともしばしばあります。ただし、中国では今スタバを脅かすコーヒーショップが登場しています。その名はラッキンコーヒー(Luckin Coffee、瑞幸咖啡)。イノベーション大国中国で今、「列をなさない」コーヒーショップが急成長しているのです。

ラッキンコーヒーの特徴は?

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(写真=J.Score Style編集部)

ラッキンコーヒーは2018年創業ですが、スタートアップながらイノベーション大国中国で急速にシェアを拡大しています。同社は2018年7月には2億ドル相当の調達を行っていますが、ここまで急成長している理由は何なのでしょうか。

ラッキンコーヒーはスマホによる顧客体験を通してエンゲージメントを向上できるのが特徴です。例えば、ラッキンコーヒーではスマホアプリで自分なりにカスタマイズしたコーヒーを注文できますが、注文後にはコーヒーの淹れ上がり時間が通知されます。そのため、時間ギリギリまで家や仕事に励んで、時間ぴったりにコーヒーショップに足を運べばよいので、時間を有効活用できるのがポイントです。

同社はコーヒーが淹れ上がるまでの過程についてIT技術を駆使して仕組み化して管理しています。そのため、ラッキンコーヒーのことをコーヒーのテック化と呼ぶ人もいるほどです。ライバルでもあるスターバックスよりもおいしいと思う人もいるほどで、同社がコーヒーの味わいを意識していることが分かります。

さらに、同社はリピーター客を増やすべく、割引サービスを上手に活用しています。例えば「1杯買うともう1杯無料」というキャンペーン展開が成功し、顧客拡大にもうまく寄与しているそうです。

アリババとスターバックス、テンセントとラッキンコーヒーが提携

中国でシェア拡大を見込んでいたスターバックスは、ラッキンコーヒーの中国内でのシェア拡大の影響を受け、2018年第3四半期(2018年7月1日まで)の既存店売上が前年比2%減少しました。今後中国国内でのシェア拡大を見込んだ計画を立てる同社はアリババ・グループとの業務提携を発表し、売上回復に向けて動き出しています。例えば、アリババ・グループ傘下の会社が持つネット出前サービスのノウハウ提供を受け、注文から30分以内に届くようにコーヒーの宅配サービスを確立しようとしています。ECモールの天猫、Alipayによるスマホ電子決済など、アリババ・グループから複合的な提携を続けて、効率性重視のラッキンコーヒーに対抗しようとしています。

一方で、ラッキンコーヒーはテンセントの業務提携を発表。サービスの詳細はまだ明らかになっていませんが、スターバックスがAlipayでのスマホ電子決済サービスを導入するのと同様に、ラッキンコーヒーでもスマホ電子決済サービスを進めるのではないかと見られています。これによって、コーヒーの購入がさらにスピーディになる日が訪れるかもしれません。

中国コーヒー戦争、制するためのポイントは何か?

中国のコーヒー市場は成長の一途をたどり、2025年には15兆円を超えると予想されています。そういった巨大市場なだけに、今後スターバックスとラッキンコーヒーがさらにしのぎを削り合うことが予想されます。

スターバックスはその独自の空間と味わいやすさが武器で、ショップ内でほっとした一時を過ごすという顧客体験をイメージできます。一方、ラッキンコーヒーはイノベーションの力で効率的においしいコーヒーを「行列をしなくても」楽しめるいう顧客体験を得られるのかもしれません。

最終的には顧客に対して提供する「ブランド価値」と「顧客体験」の共感を得られる企業が中国市場での勝者になるはずです。

今後も世界のコーヒー市場は湧いていく

アメリカでは、サードウェーブを超え超えたいくつかのフォースウェーブの波が見え始め、その一つの形がコーヒーの「見える化」だと言われています。フォースウェーブは、コーヒーの「見える化」です。新たなテクノロジーによって、顧客に対してこれまでとは違ったコーヒー体験を提供しているそうです。コーヒーは一見シンプルな飲み物だと思われがちですが、進化し続け、新しいトレンドを模索しています。こういった新しい価値を顧客に伝えることができる企業が中国だけではなく、世界を制するのかもしれません。(提供:J.Score Style

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