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日本の人手不足を解消すべく、入管法を改正

外国人労働者の受け入れを拡大するため、入管法が改正されようとしている。日本は人口減少・少子高齢化により労働力人口の減少が進み、飲食業界に限らず、さまざまな業界で人手不足が発生している。この問題を解決するために、外国人労働者を広く受け入れようというのだ。

現在、就労目的の外国人の在留資格は技術者や語学教師、大学教授、企業経営者、弁護士、医師などの「高度な専門人材」に限られている。これら以外の外国人は、永住者、もしくはその配偶者、または配偶者が日本人でないと就労できない。そして留学生についても基本的に就労は禁じられており、例外として「資格外活動」という許可を取れば1週間28時間の就労が可能となる。今回の入管法の改正は、こうした条件を緩和しようというのだ。

飲食店で就労するには、細かな条件がある

ちなみに現行の法律のもとで外国人が飲食店で働こうとする場合、どんな決まりがあるのだろう? 外国人が日本に滞在するには「在留資格」が必要だが、在留資格は27種あり、これにより就労が制限される。「調理師」「料理人」として働くには、在留資格が「技能」でなければならない。

「技能」を取得する条件は、『料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務に従事する者』とされており、加えて10年以上の実務経験が求められている。つまり、外国料理の専門料理人として10年以上のキャリアを積んだ者しか、「技能」の資格を得ることができないのだ。さらに日本で就業する際も、そば・寿司などの日本料理店、温めるだけの調理の店への就労は許可されないなど条件はかなり厳しい。

一方、「接客・給仕」に関しては明確な資格規定はない。ただ、「ホール」や「洗い場」への就労許可はおりない。いわゆる「単純労働」に対しては、外国人の就労が認められていないためだ。

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法改正されれば、外国人労働者も「単純労働」に就ける

入管法が改正されれば、「特定技能1号」と「特定技能2号」という在留資格が創設される。1号を取得するには、日常的な日本語会話能力のほかに、業務についての一定の知識と経験が必要だ。在留期間は5年とされている。そして2号を取得するには、1号を上回る専門性の高い技能が求められる。また、在留期間の更新も可能だ。このうち、1号は14業種に適用される見込みで、その中に飲食業界が入っており、外国人労働者も単純労働分野への就労が可能になる。

単純労働とはいえ、飲食店にとってはオペレーションの大切な一部だ。現在の入管法では、留学生は週28時間までしかアルバイトが認められておらず、卒業をすれば就労できない。しかし法改正後は、卒業後に新たに特定技能1号を取得すれば働き続けることができるようになる。店舗にとっては、能力をすでに身につけたスタッフを採用し続けることができるのだから大きなメリットになりそうだ。また、留学生アルバイトに頼っている店舗には、勤務時間に上限があるためにシフトを埋めるには多くの人材を採用しなければならないという問題があったが、これが改善されるかもしれない。雇う人数が減れば、現場ではより濃い指導ができるようになるだろう。

また当然ながら、法改正によって日本で働ける外国人が増えれば、人手不足に悩む飲食店の外国人雇用のチャンスがさらに広がる。これまで外国人を雇用したことがない飲食店も、人材獲得のひとつの選択肢としてしっかりと検討しておきたいところだ。

入管法改正法案は11月2日に閣議決定した。政府は今国会で同法案を成立させ、2019年4月から施行させたいとしている。

執筆者:岩﨑美帆

(提供:Foodist Media