しばしば小規模宅地の特例が記載されている条文の、「被相続人の居住の用に供されていた宅地等」の解釈が問題となります。
今回のコラムでは、よくある2つのケースについて、それぞれ小規模宅地の特例の適用が可能であるかどうかをご説明します。
<例1>入院により空き家になっていた建物の敷地について
これは、病院の機能等を考えますと、被相続人がそれまで居住していた建物で起居しないのは一時的なものと認めるのが相当ですから、その建物が入院後他の用途に使用されていたような特段の事情がない限り、被相続人の生活の拠点はなおその建物に置かれていたと考えるのが通常であり、このようなケースでは小規模宅地の特例を使用できるでしょう。
<例2>老人ホームへの入居により空き家となっていた建物の敷地について
被相続人が居住していた建物を離れ老人ホームに入所したような場合には、一般的に被相続人の生活の拠点も移転したものと考えられます。
しかし個々の事例のなかには、その者の心身の状況から介護を受ける必要があるため、居住していた建物を離れ老人ホームに入居しているものの、被相続人は自宅での生活を望み、いつでも居住できるように自宅の維持管理がされているようなケースがあり、このようなケースでは諸事情を総合的に勘案すれば<例1>の場合と同様な状況にあると考えられます。
そこで、次に掲げる状況が客観的に認められるときには、相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するものとして差し支えないものと思われます。
・身体又は精神上の理由により、介護を受ける必要があるため老人ホームに入居することとなった
・被相続人がいつでも生活できるよう、その建物の維持管理がおこなわれている
・入所後新たにその建物を他者の居住の用などその他の用に供していない
・その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものではない
(提供:チェスターNEWS)