非上場会社の株式といっても、その株式を所有する株主の持株数等によって価値が異なります。
たとえば、会社オーナー一族のような支配(同族)株主は、その会社の株式の大部分を所有し、その所有を通じて会社を支配しているので、その所有株式には「会社支配権」としての価値があります。
これに対して、同族以外の従業員や役員のように少数の株式を所有している人は、メリットは会社から配当をもらえることのみなので、その所有株式には「配当期待権」程度の価値しかありません。
このため、非上場株式の相続評価においては、同族株主の所有株式を会社の業績や資産内容に基づく評価方式(「原則的評価方式」)により評価することとし、少数株主の所有株式を会社の配当実績に基づく配当還元方式(「特例的評価方式」)により評価することとしています
この点、相続の評価上は、原則的評価方式の方が配当還元方式の何倍もの評価額となります。これは非上場株式においては、会社支配権という側面に多くの価値があることを認定していることの裏返しといえるでしょう。
非上場会社には、大企業もあれば個人事業程度の零細企業もあります。そこで、非上場会社の同族株主の所有株式については、「従業員数」「直前期1年間の売上高」「簿価総資産額」という会社規模の三要素によって、評価対象会社を「大会社」「中会社」「小会社」「特定の評価会社」の四つに区分し、それぞれ適用できる評価方法を次のように規定しています。
①大会社は、原則として、会社の業績に着目する類似業種比準価額方式で評価します。
②小会社は、原則として、会社の資産価値に着目する純資産価額方式によって評価します。
③大会社と小会社の中間にある中会社の株式は、大会社と小会社の評価方法の併用方式で 評価します。併用割合は会社規模によって異なります。
④会社の資産保有状況や営業の状況が特異である会社の株式は、「特定の評価会社の株式」として、どのような会社規模であっても原則として純資産価額方式によって評価します。
(提供:チェスターNEWS)