人工知能(AI)の発展が目覚ましい現代において、スポーツにテクノロジーを活用する動きが始まっています。今回はサッカーの試合予測に使用されるAIを取り上げ、今後の「スポーツ×テクノロジー」がどのように発展していくのかを考えていきます。

サッカーの試合予測にAIが使われる時代に

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(画像=MSPT / Shutterstock.com)

サッカーの試合予測と言えば、チームや選手のスタイル、コンディションなど過去の試合のデータや特徴から専門家やファンが分析する方法や、シュートの成功率やPKの発生率などさまざまな確率を組み合わせてシミュレーションする方法などが一般的なイメージではないでしょうか。しかし、ここ数年のテクノロジーの発展によって、サッカーの試合予測にもAI技術が導入されるようになってきています。AIを導入した試合予測サービスが発展することで、サッカーの楽しみ方が変わりつつあります。

AI戦況予測「WARP」とは?

サッカーの戦況予測における代表的なサービスとして、Sports AIが提供する「WARP」があります。このシステムは選手のプレー内容やボールに関する統計データと試合映像からピッチ上のすべての選手や審判、ボールの動きをリアルタイムで追跡、集計したデータ、チームや選手の最新取材データなどをAIに学習させています。1試合につき100回のシミュレーションを行って、勝敗はもちろん、得点数や試合展開なども予測しています。現状では、試合結果の「完全予測」とまではいかないまでも、高い精度の的中率を誇っています。

WARPの無料レギュラー会員は過去の対戦成績などのWARP内の一部情報が閲覧可能で、有料のソシオ会員は過去の対戦成績に加えてtoto対象試合のAIによる勝敗予測、戦況シミュレーションなどWARP内のすべての情報が閲覧できます。

サッカー観戦のスタイルを変革する

サッカー観戦にAIを使用することで、観戦者の好奇心が飛躍的に高まるでしょう。AIを活用する際には、当然ながら選手データ・試合状況データなどさまざまなデータを収集する必要があります。このデータとAIによる分析結果を活用し、将来はサッカー観戦のスタイルが変わる可能性があります。

例えば、タブレット端末でサッカー観戦をしながら気になった選手がいたら、その選手をタップして選手情報をポップアップさせたり、選手が試合でゴールを決める確率を表示できたりする可能性もあります。また、実際の試合を観戦する前に自分のデバイスでプレビューを行うなど、試合開始前の楽しみ方も変わります。試合当日の楽しみを拡張させることはもちろん、プレビューやレビューにも新しい価値(楽しみ)が生まれ、サッカーファンにとっては質・量・スタイルなどすべての面で楽しみが広がります。

こうした観戦者とAIの融合によって生まれる「分析」や「予測」は、予定調和の試合を作るものではなく、試合を見ている人が選手や試合についてより深く知るためのツールにもなり得るのです。

AI×サッカーの発展から見るスポーツ界の今後とは

AIにサッカーの試合や選手に関する映像や音声データなどのさまざまなデータを学習させることで、複数の視点から試合を分析することが可能になり、より精度の高い試合結果の予測ができるようになってきました。

ある勝敗予測サイトでは、国際試合などさまざまな試合でのそれぞれの選手のパフォーマンスや身体能力をAIが学習し統計データを作成しています。さらに、戦績以外にもチームや選手のコンディションやモチベーションのような不確定要素を含めて推定できる手法であるベイズ推定を活用しています。このベイズ推定を利用することで、試合成績をもとにしただけではない勝率予想も可能になっているそうです。今後はサッカー以外のスポーツにおいて勝敗予測やゴール確率など未来の情報の取得もできるようになるでしょう。

また、将来は試合中の多くの画像・映像を取得することにより、迫力ある3次元映像を家庭でも見られるようになります。今後は5G通信によって大容量のデータを高速で通信できるようになるため、例えば3次元映像を送るスピードも向上します。これが実現すると、将来は家庭内で臨場感のある3次元のスポーツ中継をリアルタイムで楽しみながら、その映像にAIによって分析した将来予測結果も表示できるようになるでしょう。

AI活用でファン・企業・競技者に新しい価値を

このように、AIをはじめとした最先端のテクノロジーは、さまざまなスポーツ分野で活躍する機会が増えてくることが期待されています。それはファンの観戦スタイルを変え、予想もできないような新しい価値を生み出すかもしれません。また観戦者・ファンなどのBtoC向けだけでなく、データを活用する各メディアはもちろん、スポーツビジネスに携わる各企業でもAI活用が活発化するでしょう。もちろん東京五輪やその先を見据えた競技者向けの施策においてもAIを始めとしたITテクノロジーの活用は今後さらに広がりを見せていくことでしょう。

文・J PRIME編集部(提供:JPRIME


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