高級ワインといえばフランス産が中心でしたが、世界的評価の高い日本ワインも増加傾向です。そして、最近では志の高い女性醸造家がつくったワインの人気が目立っています。ここでは、注目される女性醸造家にフォーカスし、さらに本格的な日本ワインを楽しめる東京都内の7店舗についても紹介します。

有名産地以外にも広がるご当地ワイン 都市型ワイナリーも

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(写真=Lukasz Szwaj/Shutterstock.com)

これまで日本のワインは、ぶどうの産地である山梨・長野で醸造されたものが人気の中心でした。しかし、これらの産地以外でも全国においしいワインが次々に誕生しています。たとえば、北海道を代表する「十勝ワイン」は、自社で交配したオリジナル品種「清見」を使用して、フレッシュでさっぱりした酸味を味わえると好評です。ほかにも山形や神戸など、注目産地は全国的な広がりを見せています。

さらに、最近は都市型ワイナリーも注目されていますが、その代表が深川ワイナリーです。こちらの特徴は、参加・体験型のワイナリーであること。結婚祝いや還暦祝いなどのワインを自分でつくることができるのです。「ワインづくりにおいて完成形などはない」という想いを大切にしながら、スタイルにこだわらないさまざまなワインの楽しみ方を提供しています。

国産高級ワインのトレンド 孤高の女性醸造家たち

日本ワイン、中でも高級カテゴリで目立つのが女性醸造家の台頭です。国内のみならず、世界的にも高い評価を得ており、日本ワインの存在感を増すのに貢献しています。ここでは、醸造の世界に新風を吹き込んでいる3人の女性醸造家を紹介しましょう。1人目はキスヴィン・ワイナリー(山梨県甲州市)の斎藤まゆさん。

フランスのコルシカ島でワインの魅力を知り、早稲田大学を中退してカリフォルニア州立大学ワイン醸造学科で学んだ本格派です。注目されるきっかけになったのが、「第13回世界最優秀ソムリエコンクール」の優勝者で、この世界では第一人者といわれるジェラール・バッセ氏が、斎藤さんが醸造したワイン「キスヴィン シャルドネ2014」を高く評価したことです。試飲してすぐに1,500本をオーダーしたといわれ(売り切れで買い付けできず)、以来、斎藤さんが醸造するワインの価格が高騰しています。

2人目は、ドメーヌ ミエ・イケノ(山梨県小淵沢町)の池野美映さん。30代で渡仏し、フランス国家資格のワイン醸造士を取得した国際レベルの醸造家です。八ヶ岳の裾野の丘陵地にある池野さんのぶどう畑で育まれたワインは、農薬をほとんど使わない自然醸造によるやさしい味わいが特徴。限定生産のため、発売されれば即売り切れの状態から、幻のワインと称されています。

商品名にあるドメーヌとは、ぶどうの栽培から醸造・熟成・瓶詰まで一貫して行う生産者のことをいいます。149本からスタートした生産本数が、最近では年間1万本を超えていることから、その人気ぶりがうかがえます。

そして、3人目が中央葡萄酒(山梨県甲州市)の三沢彩奈さんです。日本ワインのトップブランドといわれる「甲州」を世界レベルにまで引き上げようと、父親である三沢茂計社長から醸造責任者を受け継ぎました。世界レベルを目指している三沢さんが注力しているのが、「ブショネ」と呼ばれる不良コルクが原因の不快なにおいを出さないこと。

コルクの仕入先を信頼できる業者に変えるなどの努力が実り、ブショネ率が下がった結果、品質が一段と向上しています。世界的にも評価が高く、2014年と2015年に連続して「デカンタ・ワールド・ワイン・アワード」で金賞を獲得しています。

日本ワインが楽しめる都内のお店7選

では、次にこだわりの日本ワインが楽しめる、東京都内の7店舗を紹介します。

1.IMADEYA GINZA(中央区銀座)
「GINZA SIX」の地下2階にあるワインショップです。経営する「株式会社いまでや」は1962(昭和37)年創業の老舗酒類販売会社で、この店でも蔵元から直送される約600種類もの地酒・本格焼酎・日本ワインを販売しています。GINZA SIXにしかないお酒もあるそうなので、見せてもらうのもよいでしょう。オンラインショップも運営しているので、自宅にいながらにして購入することも可能です。IMADEYAは千葉県にも2店舗あるので、近い方はそちらを訪ねるのもよいかもしれません。

2.Agaris(アガリス)神楽坂(新宿区神楽坂)
2011年10月オープン。表参道の名店「青山バル」の系列店です。それだけに日本ワインが約80種類と豊富にそろっています。和のイメージが強い神楽坂ですが、和食出身の女性シェフがつくるフレンチベースの料理がワインによく合うと好評です。レアなワインがいち早く入荷するのも魅力とか。フロアの床下には空調管理されたワインカーヴを備えています。

3.VISTA(中央区築地)
ワインバー激戦区の新富町に2013年4月にオープンした日本ワインバルです。北海道産から宮崎産まで、約150種類のワインを手ごろな価格で提供することをコンセプトにしています。店長シェフが提供するイタリア・スペイン風おつまみも評判です。オープンキッチンなので、カウンターでシェフと対話しながらワインを選ぶこともできます。

4.Cafe Bleu(カフェブリュ)(渋谷区円山町)
朝から夕方まではカフェとして営業しており、17時以降はワインバーに変わります。カフェの時間帯にも朝ワイン、夕方ワインなどそれぞれの時間にあったワインが提供されるので異なった味わいを楽しめるでしょう。ドメーヌタカヒコをはじめとする小さなワイナリーのワインを40~60種そろえているのがユニークです。

5.銀座奥田(中央区銀座)
ミシュラン三ツ星の名店「銀座小十」の奥田透氏が2011年8月にオープンしたお店。赤・白約20種類ずつの日本ワインを中心にしていますが、シャルドネや甲州が日本料理との相性が良くおすすめです。女性醸造家の項で出てきた三沢茂計社長がつくる甲州ワインは、日本料理の食中酒として絶妙なコラボとなるでしょう。

6.蔵葡(中央区築地)
店名は「くらぶう」と読みます。実はこのお店IMADEYAのグループである「チームいまでや」の飲食部門になっています。卸会社が経営するお店だけに約200種類ものワインをそろえており、選ぶのに迷うほどです。生産本数が少ない新規ワイナリーの商品も扱っており、いまでやオリジナルワインの「くらぼっこ」を味わうこともできます。食事はおばんざい(おかず)や、体にやさしい創作料理を提供しています。オンラインでも予約が可能です。

7.日本ワインショップ遅桜(港区西麻布)
約250種類の日本ワインをそろえた専門ショップ。和を基調にしたモダンなデザインの店舗で、有料ながら10種類ほどのワインを試飲できます。また、贈答用のワインを購入した際に包装してくれる風呂敷は、浮世絵や日本画がデザインされており、ワインをいっそう引き立てます。店員が着物で接待するのも、ワインショップとしてはユニークです。

世界的に注目されつつある日本ワインの風を体感

人間と同じく、ワインも生まれた土地や育った環境で個性が違ってきます。日本ワインを世に送り出す醸造家たちにも一人ひとり違ったストーリーがあることを見てきました。日本ワインのレベルは年々向上し、今や世界的なワイン専門家の舌を唸らせ、世界的コンクールでの入賞を果たすまでになりました。あなたも日本ワインを楽しめるお店を訪ねて、おいしいワイン造りに賭ける醸造家たちの情熱を味わってみてはいかがでしょうか。(提供:Wealth Lounge


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