前回のコラムでは、不動産管理会社の3つの設立形態について簡単にご説明させて頂きましたが、今回からはその3つの設立形態の留意点を少し詳細にご説明します。

不動産管理会社
(画像=PIXTA)

(1) 管理料徴収方式

管理料徴収方式を採用した場合に気をつけなければいけない点は、会社が個人オーナーから受け取る管理料の金額についてです。 不動産管理会社は収入の分散による所得税の軽減を目的としていますので、できるだけ管理料が多い方が節税効果が現れます。しかし管理の実態照らし、不相当に高額な管理料が支払われている場合には、その高額な金額部分が否認されてしまうのです。

またいくらが不相当に高額かという問題が生じますが、この管理料は一律に定められるものではなく、管理の実態に応じて定めることが必要です。ただし、一般的には4%~6%の管理料であることが多いようです。これは不動産管理を事業として行っている会社の管理料の相場がその程度であることを関係しているようです。

このことから限度額は8%程度であると、実務上は考えられます。

(2) 転貸方式

転貸方式においても、管理料徴収方式と同様に、その管理料が問題となります。転貸方式においては、管理料徴収方式に比べ空室リスクを背負うことになりますので、その管理料は高くなります。

このため一般的に転貸方式における管理料は5%~12%が多いようです。一般的に一括転貸を行う管理会社が物件の借り上げを行う場合の借上料は、物件により異なりますが、家賃収入の85%~90%程度であると言われています。

このことから同族会社である不動産管理会社が得ることができる管理料は15%が限度であると実務上は考えられます。

(3) 不動産保有方式

この方式は上述の2点と比較すると、収入の100%が会社に帰属しますので、収入の分散効果が最も高い方法であるといえます。しかし個人から法人への不動産移転時には、不動産取得税や登録免許税等のコストがかかり、譲渡税の負担も考えなければいけません。

また会社が買取る際の資金についても金融機関からの借入や金利負担によるコスト増を考慮する必要があります。

このため、資金負担を抑えながら、資金負担を最小限にするためには、収益性の高い物件のみを会社へ移すといいでしょう。土地については購入時の資金負担が大きい割には、収益性が低く、特に古くから保有の含み益を抱えている土地については、売却時に多額の譲渡税が課せられ、個人オーナーにとっては大きな資金負担となります。

また土地は個人所有、建物を法人所有とする場合には、借地権について権利金の認定課税の問題が生じるため、税務署に対して「土地の無償返還に関する届出書」を提出するのをお忘れなく。

(提供:チェスターNEWS