遺産が未分割な状態にあるときの計算方法や未分割であるためのデメリット等をご説明します。
故人に遺言がない場合、相続人の間で遺産分割協議がおこなわれます。
その話し合いがうまくいかず、申告・納税期限である10カ月以内に遺産の全部を分割できなかった場合でも、各相続人は法定相続分の割合に従って、その遺産を取得したものとみなして税額を計算します。
しかし未分割遺産がある場合には、申告において以下のようなデメリットもあります。
1)配偶者の税額軽減が適用されない
配偶者は法定相続分(遺産の半分等)か1億6,000万円のどちらか、大きい額につき税金がかかりません。
しかし、遺産の一部が未分割の場合は、その分割されていない遺産部分については適用されません。
2)小規模宅地等の評価減が使えない
小規模宅地等の評価減の規定では、遺産のうち居住用や事業用のものは、各一定の面積(居住用は240m2、故人の事業が不動産貸付業の場合は200m2、不動産貸付業以外でかつ特定事業用宅地等に該当する場合は400m2)についての評価額が通常の20~50%となります。
しかし、その評価減を使うことができません。
3)物納ができない
未分割の遺産は、相続人全員の共有財産とみなされるため、物納を申請する場合には、その共有者全員が申請する必要があります。
4)農地等の納税猶予が適用できない
納税猶予の適用を受けるためには、その納税猶予の対象となる農地等が申告期限までに分割されている必要があります。
ただし3年以内に遺産分割協議がまとまれば、上記(1)(2)の優遇措置は使用できますのでご安心下さい。
未分割遺産がある状態で期限内申告書を提出するとき、「申告期限後3年以内の分割見込書」を一緒に提出しましょう。
この分割見込書を提出することで、未分割だった遺産が申告期限から3年以内に分割された場合、その分割された日から4カ月以内に更正の請求を行うことにより、上記1)2)の優遇措置については適用されるようになります。
過去の納税額が過大であった場合には、その多い部分につき還付を受けることができます。
(提供:チェスターNEWS)