「国民皆年金」といわれている日本だが、国民の多くは、“本当に年金は受け取れるの?”という不信感を持っている。厚生労働省の「平成29年度の国民年金の加入・保険料納付状況」によると、国民年金保険料の平均納付率66.3%に対して、25~29歳は54.87%と、若い年代での納付率は低い傾向にある。少子高齢化で人口減少時代に突入した今、「人生100年」とまでいわれるようになった長いセカンドライフを、公的年金だけに頼るのは、リスクが大きすぎる。そこで今回は、「個人年金作り」のための不動産投資について考えてみよう。

資産形成の方法のあれこれ

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(画像=PIXTA)

資産形成と聞くと、以前は「貯蓄」を想像していた人が多かった。ただ、現在の利率は史上最低の水準。こうなると複利効果など、到底期待できないが、何をするにしても元手が必要になる。だからこそ、最初は貯蓄でコツコツと貯めていく地道な努力が必要だ。そして、ある程度の手持ちが用意できたら、今度は資産形成の方法を考えよう。株式投資、公社債投信、FX、金、不動産投資、仮想通貨などが浮かぶが、どの投資対象が王道となるのだろうか?

投資にはふたつの利益が存在する。インカムゲイン(利息や配当)とキャピタルゲイン(売却益)だ。一般的に、これらの収入の大きさ(リターン)と、投資資産を失う確率(リスク)を考慮して、投資対象を選択することになる。

不動産投資こそ資産形成の王道

投資において、ローリスク・ローリターン、ハイリスク・ハイリターンは普遍の原理。ローリスク・ハイリターンを引き当てる確率は、ごくわずかだろう。そうした前提で投資全体を俯瞰してみると、多種多様の投資対象の中で、不動産は資産形成の王道であり、個人年金の代わりに最適ではないだろうか。

投資の世界には「レバレッジ(てこの原理)」という言葉がある。これは少額の資金で、大きな投資効果を狙う方法を指している。株式投資の場合、現物投資なら「投資金額=元本」だ。一方、信用取引の場合、レバレッジを3倍かけることで、100万円で300万円の投資が可能となる。もちろん、株価下落時の損失も3倍に跳ね上がる。このように、レバレッジをかけた場合、リターンは大きくなるがリスクも大きくなる。特にFXは、レバレッジが25倍までかけられるので、勝ったときのリターンは大きいが、負けたときのリスクも非常に大きくなる。

不動産投資では、投資物件を全額キャッシュで購入する投資家はまれで、多くの人たちは金融機関のローンに頼る。借金で自己資金以上の投資をするという意味では、レバレッジをかけていることになる。しかし、不動産と金融資産との違いは、価額変動がわずかであり、価格下落のリスクが少ないことと、収益物件からインカムゲインを得られることだ。不動産投資では、借り主さえ集まれば、毎月、賃料収入が得られる。月々の安定収入という点においては、まさに個人年金そのものだろう。

不動産投資の注意点

メリットの多い不動産投資だが、注意すべき点もある。ひとつは税金の問題だ。不動産は購入・保有・売却という各段階で課税されることになる。購入時に不動産取得税や登録免許税など、保有時は固定資産税(+都市計画税)、売却時には所得税と住民税。言うなれば不動産投資は「税金との闘い」という一面があることを忘れてはならない。

また、不動産投資といっても、土地だけであれば、「値上がり益」狙いの効率が低い投資となる。だからこそ、土地の上に収益物件を建てるのだが、今は全国の至る所に空き家が存在する時代となり、賃貸物件を所有しさえすれば、もうかる時代は遠い過去の話となった。安定した賃料収入を年金化させるには、立地選定・顧客特性の把握・特性に合わせた物件のデザインなど、マーケティング力が必要不可欠になっている。

30~40代の働き盛りの人たちにとって、公的年金が今後どうなるのかは、とても気になるテーマだろう。現実的に考えると、かなり「心もとない」状況にあると言わざるを得ない。この公的年金を補うものとして、毎月の現金収入が期待できる不動産投資は最適だろう。もっとも、資産形成には時間がかかる。できるだけ早い時期から、不動産投資に着手することで、豊かなセカンドライフを実現しよう。