株式投資では株式を保有しているだけで「配当金」という収益を手に入れられる。配当金を多く出している企業の株式は、投資家から買われやすい傾向にあり、株価も上がる可能性が高い。逆に、配当金を減らすという決断をした企業の株価は下がることが多い。投資家は、ただ漫然と配当のある株を購入すれば良いわけではなく、その企業の株価や業績なども考えて、より投資効率の高い、いわゆる「優良配当株」を選択しなければならない。今回はこの優良株の選び方について解説する。

優良配当株を選ぶための指標

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(画像=violetkaipa/Shutterstock.com)

株の世界では、高配当の優良株を判別する上で重要な指標がいくつかある。ここでは代表的なものを取り上げて、指標がどのような内容であれば、優良配当株と判断できるのかについて解説する。

1)配当利回り

配当利回りとは、購入した株価に対して、1年でその何%を配当として得られるかという指標だ。単純計算すると、この配当利回りが高ければ高いほど、投資額に対して多くの配当が得られる。つまり、より優良な株式ということになる。2019年4月2日時点のデータによると、東証一部上場企業の配当利回りの加重平均は2.33%となっている。加重平均とは、時価総額に対して配当金の総額の割合を示したものだ。この数値よりも配当利回りが高いか、それとも低いかが、優良配当株かどうかの判断基準となる。

2)配当性向

配当性向とは、企業の当期純利益のうち、何%が配当金に回されたかという指標だ。この配当性向が高いということは、その企業は、稼いだ利益のより多くを、株主のために配当金として還元していることを意味している。したがって、配当性向が高い企業の株は、今後も多くの配当が期待できる優良配当株だと考えられる。

ただし、配当性向は高ければ高いほど良いというわけではない。配当性向が高いということは、逆に言えば、企業の手元に残る利益が少ないということだ。それによって企業の事業拡大にブレーキがかかるかもしれない。そして将来、業績が伸び悩み、配当を減らす事態になれば、高配当を期待していた投資家からの失望売りで、株価が下がることになるだろう。同様に、配当性向が低い企業でも、将来の投資のために、配当を抑えている可能性があるから、一概に悪く評価することはできない。

いずれにしても、配当性向が適切な範囲内にある企業の株を選ぶことが大事だ。なお、2017年度上場企業の配当性向の平均は3割程度となっている。これをひとつの基準にすると良いだろう。

3)ROE(株主資本利益率)

ROE(株主資本利益率)は、企業が株主資本(自己資本)に対して、何%の純利益を稼ぎ出せているかという指標だ。ROEは、企業が株主から集めた資金を使って、どれだけ効率良く稼げているかを判断するために使われる。ROEが高いほど、その企業の収益性が高いと見ることができる。この指標だけでは、株の配当がどの程度手に入れられるかは分からないが、配当利回りなど、他の指標と合わせて判断することで、より収益性の高い優良配当株を選択できるだろう。なお、2018年度の日本企業のROEは9.8%となっている。

さて、今回はより効率的に配当が得られる「優良配当株」を選ぶために、投資家が知っておくべき3つの指標を取り上げた。単純に配当金の多さだけで選ぶならば、配当利回りだけを見て銘柄を選べば良いだろう。しかし、いくら利回りが高くても、株価の変動が激しかったり、配当が出たり出なかったりする企業を当てにするのは心もとない。やはり本当に「優良」といえるのは、株価が長期間にわたって安定するか、もしくは上昇しながらも多くの配当を出している株式だろう。

優良配当株を選択するには、配当利回りや配当性向など、配当に直接関わる指標だけでなく、ROEなどその他の財務指標も確認しよう。一つの指標に頼るのではなく、総合的に判断することが大事だ。