おわりに~平成の「働くママ3.0世代」は仕事も結婚も子どもも望む、令和は男性や介護という視点も
最近の新聞記事(15)によれば、「働くママがバージョンアップしている。働き始めた1.0。家庭より仕事を優先する『バリキャリ』か、家庭を優先し昇進をあきらめる『マミートラック』で悩んだ2.0。今や働くことは当然で、ママを楽しみ、キャリアも大切にする3.0世代」とのことだ。
本稿の分析でも、30歳代ではキャリア形成も家庭を大切にする意識も高いほど、管理職を望む様子が窺えた。共働きがスタンダードになりつつある若い世代では、仕事と家庭のどちらかを選ぶのではなく、仕事も結婚も子どもを持つことも望む女性が増えている。
仕事と家庭のバランスの取り方は様々であり、働き方も多様だ。また、専業主婦として家庭を守るという考え方も尊重されるべきだ。全ての女性が同じように管理職を目指す必要はない。
一方で、女性の就労希望やキャリア形成意識が高まっているにもかかわらず、課題は山積みだ。これまでにも繰り返し述べてきたように(16)、最大の課題は出産後の就業継続であり、育児休業や時間短縮勤務等の雇用形態や企業規模等による制度環境や利用状況の違い、家事育児分担の偏り、都市部の保育園待機児童問題、マミートラックの問題などがあげられる。
新入社員の男性の育休取得意向は高まっている(図表4)。「働くママ3.0世代」では、女性が当然のように働き、家庭を持つことも望んでいるように、男性の意識も変わりつつあるようだ。平成は、「女性」が仕事と「育児」を両立するための環境整備という観点に重きを置かれていた印象が強いが、令和は、「女性」だけでなく「男性」も、また、更なる高齢化により「介護」の観点の重要性が強まるだろう。
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(15)「働くママ3.0(1)「マミートラック」を超えて――男職場に「5時まで編集長」、夜型・長時間労働を変革。」日本経済新聞社(2019/4/23)
(16)久我尚子「平成における消費者の変容(2)-高まる女性の消費力とその課題~「おひとりさま」「ママでもキレイ」「パワーカップル」消費の登場と就業継続の壁」など。
久我尚子(くが なおこ)
ニッセイ基礎研究所 生活研究部 主任研究員
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