大型連休で一時中断となっていた3月決算企業の本決算発表も連休明けの先週から再スタートとなっています。そうしたなか先週末が決算発表のピークで、TOPIX500採用銘柄に限っても1日で60社近い企業が決算発表を行っています。そこで今回は10日の決算発表をTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に早速集計してみました。

投資のヒント
(画像=PIXTA)

そのなかでも決算発表を受けて株価が大きく上げたのがディー・エヌ・エー(2432)で、自社株買いを発表したことや、前期の通期の営業利益は5割余りの減益ながら第4四半期(3カ月間)が大幅な増益に転じたことなどが好感され買いを集めました。また、コンセンサス予想を上回る営業利益の見通しを発表した五洋建設(1893)やウシオ電機(6925)も決算発表を受けて株価が大きく上げています。

決算集計(5月10日発表分) 決算集計(5月10日発表分)
決算集計(5月10日発表分)
(画像=マネックス証券)

もう一つのヒント

●明日の決算発表スケジュールは

3月決算企業の本決算発表も本日がピークとなりましたが、今週もまだまだ決算発表は続きます。こうしたなか明日は東レ(3402)やJFEホールディングス(5411)、リクルートホールディングス(6098)、三菱地所(8802)などが決算を発表する予定です。

決算メモ

●トヨタ自動車(7203)- 今期予想は減減価償却法の変更で増益を確保 -

トヨタ自動車が8日に発表した2019年3月期の売上高が前年同期比2.9%増の30兆2257億円、営業利益が同2.8%増の2兆4675億円と増収増益となりました。売上高は日本や北米で販売台数が減ったものの欧州やアジアで販売を伸ばしたことで初めて30兆円に乗せています。また、営業利益は為替(▲500億円)や諸経費増・その他(▲2374億円)がマイナスに働いたものの、原価改善(+800億円)や営業面の努力(+2750億円)でカバーし676億円の増益になりました。

営業利益を地域別にみるとその他の地域を除く全ての地域が増益となりました。特に減益が続いていた北米の営業利益はインセンティブの減少もあって1441億円と4期ぶりに増益に転じています。しかし、北米の仕向地別の利益率は4%とトヨタ全体の営業利益率(8.2%)の半分弱の水準に止まっています。また、今回初めて開示された中国の営業利益は1506億円で、持ち分法損益も合わせた中国の利益の合計は2555億円となり前期比17.1%増と高い伸びを示しています。

今期の会社計画は、為替の前提をドルで前期比1円円高の110円、ユーロで3円円高の125円とし、売上高が前期比0.7%減の30兆円、営業利益が同3.2%増の2兆5500億円となっています。売上高が微減にも関わらず営業利益が増益となるのは国内の減価償却を定率法から定額法に変更することが利益を1500億円押し上げるためで、仮に減価償却法の変更がなければ675億円の減益予想になった可能性があります。

金山敏之(かなやま・としゆき)
マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト

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