再び日経平均2万1,500円割れ

資金動向
(画像=PIXTA)

日本株式は世界景気の減速懸念の後退などによって4月は一貫して上昇し、日経平均株価が昨年12月以来、約4カ月ぶりに2万2,000円台に超えた。ただ、5月に入ると米中交渉の先行き不透明感から株価は下落し、連休明けの7日には日経平均株価が2万2,000円を下回り、9日には2万1,500円を割れ、足元では2万1,200円前後で推移している。

このような中、投資家がどのような投資行動を取っているのか(上場していない)インデックス・ファンドとETFの資金動向をみる。

インデックス・ファンドには資金流入

足元のインデックス・ファンド(1)の日次の資金動向をみると、4月は株価の上昇に伴い一貫して資金流出が続いていたが、5月に入ると一転して資金流入に転じている【図表1】。特に8日以降は連日100億円に迫る資金流出が続いている。

資金動向
(画像=ニッセイ基礎研究所)

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(1)日本籍追加型株式投信でTOPIXや日経平均株価などの日本株式の指数に連動した運用をしているもの。ただし、ETF、SMA専用、DC専用は除外。

強気型ETFが買われ、弱気型ETFが売られる

では、インデックス・ファンドより短期投資に用いられる株価が上がると大きく値上がりする強気型ETF、株価が下がると大きく値上がりする弱気型ETFの資金動向はどうだったのか。代表的な強気型ETFである「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(2)」と代表的な弱気型ETFである「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(3)」の足元の日次推計資金流出入をみたものが【図表2】である。

強気型ETFは7日に利益確定の売却が膨らんだのか240億円の資金流出があったが、日経平均株価が2万1,500円を下回った9日、10日にはそれぞれ340億円、230億円と大規模な資金流入があった(赤点線)。その一方で弱気型ETFは、9日、10日と100億円に迫る資金流出があった。

資金動向
(画像=ニッセイ基礎研究所)

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(2)概ね日経平均株価の2倍動くETF
(3)概ね日経平均株価の逆方向に2倍動くETF

最後に

インデックス・ファンドや強気型ETFの資金動向からは、5月に入って日本株式が下落する中、逆張り投資が健在であることが確認できた。インデックス・ファンドよりも短期投資に用いられる傾向が強い強気型ETFへの資金流入が顕著であったことを踏まえると、投資家は米中協議の先行きについて不安は持っているものの、下落幅が大きくなっているため短期的な株価の反発は期待できると判断しているのかもしれない。

(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。

前山裕亮(まえやまゆうすけ)
ニッセイ基礎研究所 金融研究部 准主任研究員

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