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今週の総括

★先週の下落の流れを引き継いで始まるも、米国株下げ止まりを受けて少し挽回

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今週の日経平均は、下落基調のまま一進一退となったが、17日に回復し、前週末比94円安で引けた。

米中通商摩擦再燃により市場心理が悪化して、先週から株安・円高の流れが続いている。しかし週後半になると、通商協議の合意への期待も少し回復して米株価が上昇、これを受けて日経平均も反転し、前週末とほぼ同じ水準まで戻した。一方、この間に、米長期金利が4月末の2.5%から2.3%台に下落、金価格もじわり上昇しつつあるなど、緩やかながらリスクオフの傾向も感じられる。

業種別にみると、自動車、鉄・非鉄、機械や電機など輸出関連の下落が目立つほか、長期金利低下により金融株も下落、医薬品も売られた。一方で資源株が反転したほか、金利低下時に上がりやすい不動産、陸運、通信、食品なども上昇している。グロース/バリュー指数比較では、グロース+0.8%、バリュー-0.3%と、下落局面でもグロース指数優位に変化は見られない。

来週以降の見通し

★引き続き警戒感から神経質な動きか

日経平均想定レンジ 20,000~22,000円

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来週の日経平均は、米中通商摩擦動向を中心に海外動向に一喜一憂する展開が続きそうだ。

米中通商摩擦に加えて、米国対日欧の通商問題、イラン情勢・・・思い返せば、1年前と同じトピックである。英国のEU離脱、イタリア財政問題、北朝鮮、ベネズエラ・・・これらも1年以上前からのトピックだろう。この1年間で加わったのが、中国、米国、欧州の景気減速。特にスマホ・半導体を中心としたハイテク市場の急失速。しかし景気減速は、2017年頃から懸念されており、懸念が実際の数字に表れ始めた違いはあるものの、トピックとしては1年前から存在していた。新たに加わったのは、昨夏からのトルコ問題ぐらいかもしれない。

株価を左右するトピックのリストが変わっていないのは、いずれも解決していないからでもある。1年経ったところで、いずれも進展・改善どころか、解決の糸口すら見えてないのが共通点かもしれない。関係国の協議や首脳会談が行われ、解決への期待から株価が上昇しても、しばらくすると何も合意されずに株価も失速する繰り返し。景気やハイテク市場もいずれ回復するとの見方はあるが、まだそのタイミングが見えてこない=未解決。企業業績や米景気は底堅く、過度の懸念は必要ないが、なかなか反転に向かいづらい、もどかしい展開がしばらく続く可能性が高いと感じる。

コラム:徒然なるままに

「昭和最後の日に預けた定期預金が令和初日(5月7日)にいくらになったかクイズ」 実際に信用金庫で昭和64年1月7日に1万円を3年定期複利で預けた人がいて、5月7日に解約したところ、1万3,537円になったそうだ。

預けた期間は30年4ヶ月ほど。1年あたりの受取利息は116円ちょいで、単純年平均利回りは1.166%となる。しかし・・・・最初の9年、つまり98年1月までの利息額が3215円だったそう。ということは、その後21年4ヶ月の利息は322円しかない。年間平均利息は15円、利回り0.11%しかない。紹介記事によると、直近3年間はわずか11円だったそう。年利はわずか0.02%とかである。

銀行に入行した頃を思い出した。ちょうどバブル崩壊直前で、政府が不動産融資規制を導入、日銀が急激に利上げをした時期に当たる。定期預金の利回りが急上昇、郵便貯金の10年定額貯金利回りが6%、90年秋には旧興長銀などの利付金融債(通称ワイド)が5年固定9.606%を付け、取扱支店に長蛇の列ができて連日整理券で入場制限する「ワイド騒動」が起きた。私も郵便振込で購入した。10万円だけだが。

当時の自由金利定期は最低1,000万円以上。私のいた銀行の店頭金利のピークは、確か1億円以上の1ヶ月定期で年利8.9%。その当時、独身寮の風呂での毎晩の会話は、「もし1億円あったら手取り利息はいくらになり、それだけで生活できるのか」だった。8.9%の1ヶ月分から20%の税金引いて・・・手取り59万円とかで、何回計算しても同じ値なのだが、なぜか毎晩誰かが計算して、「これだけあれば仕事しなくていいんじゃないか」などと夢をみていた。ホント飽きもせずに毎晩同じ話をしていた。

入行数年目の先輩でも株式投資してたし、所属銀行が増資や社債発行をすれば、会社の福利制度で借金して購入するのも普通だった。今はあまりいないだろう。そう。儲からないからである。金利はゼロに近く、株価も上がったり下がったりで80年代までの日経平均や現在のNYダウのような右肩上がりにはなっていない。 「貯蓄から投資・資産形成へ」と言われるが、手数料や税制の仕組みよりも、まず価格が上がることの方が大事だと思う。マイナス金利を続ける日銀の責任は重い。

田村晋一,松井証券
松井証券ストラテジスト 田村 晋一(たむら しんいち)
京都大学経済学部を卒業後、太陽神戸三井銀行(現三井住友銀行)に入行。米国MBA 留学、外資系大手コンサルティング会社勤務等を経て、UBS 証券、ドイツ証券、バークレイズ証券にて銀行セクター担当アナリストとして豊富な経験を積み重ねる。

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