不動産投資のメリットのひとつが、「税金対策」であることは、広く知られている。特に相続税に対する節税効果が大きいとされているが、具体的にどのようなメリットがあるかを知らない人も多いのではないだろうか。そこで今回は、相続税と不動産投資について解説する。

相続税についての基礎知識

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(画像=PIXTA)

相続税とは、遺言や相続などで財産を受け継ぐときに、その財産が一定以上の額になる場合、課税される税金のことである。相続財産が一定額に満たない場合、納税の必要はない。相続税の税額は、相続財産から一定の控除や負債などを差し引いた額に税率をかけて決定される。累進課税であるため、資産額が増えれば税率も上がる。

相続税の課税対象となる資産は実にさまざまだ。現金や株式などの金融資産、土地や建物などの不動産、自動車、家具、ゴルフ会員権、貴金属類、骨とう品、美術品なども含まれる。そのほかにも、著作権、商標権、特許権などの知的財産も対象となる。税額の算定は専門家に任せるのがいいだろう。

不動産投資が相続税対策になる理由

それでは、なぜ不動産投資が相続税対策になるのか、3つの観点から説明しよう。

1)土地の評価

不動産にかかる相続税を決定する基準となる課税価格を「相続税評価額」という。土地の相続税評価額を算定する方法はふたつある。ひとつは、「相続税路線価」を用いる方法だ。相続税路線価とは、ある路線に接する土地の価値を示す指標である。一方、路線価が設定されていない土地は「倍率方式」で算出する。これは、その土地の固定資産税評価額に、一定の倍率をかけた値を相続税評価額とする方法だ。いずれの方法でも、相続税評価額は公示価格の80%程度になる。そのため、資産を土地で持っていると、同額の現金資産を持っているよりも節税できるのだ。

2)建物の評価

建物の相続税評価額には、建物の固定資産税評価額が用いられる。この評価額は、目安として建築費用の4~6割程度となるため、同額の現金や債券で資産を持っているよりも、非常に大きな節税効果がある。

3)小規模宅地等の特例

被相続人が相続発生の直前まで住んでいた、あるいは、事業に使っていた土地は、一定面積までの土地の評価額を、最大80%まで減額できる制度がある。これは「小規模宅地等の特例」と呼ばれるが、これほどの節税効果を持つ制度を、使わない手はないだろう。ただし、生前贈与によって取得した土地には適用されない。なお、この特例の適用を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要がある。詳しくは国税庁のタックスアンサーで確認しよう。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

不動産投資で納税資金を生み出す「積極的な節税」を

ここまで説明してきた不動産の相続税対策は、いずれも法制度を活用して「支払う税金を減らす」という節税方法だ。しかし、不動産による節税には、もうひとつの面がある。それは、不動産投資によって「納税資金を生み出す」ということだ。こちらも、将来の納税の負担を減らすという意味では、前者と同じ効果があると言ってもよい。

現金資産のまま眠らせておくよりも、その資金で不動産を購入すれば、安定的な家賃収入が見込める。確かに不動産投資は、物件管理や入居者募集など、さまざまな手間が発生するビジネスだ。しかし、それに見合う以上のリターンがある。納税用の資金をプールできるだけでなく、賃貸経営が軌道に乗れば、さらに大きな投資に挑戦することも不可能ではないだろう。

資産が多ければ多いほど高額となる相続税は、多くの方々にとって悩みの種だが、資産を不動産として持つことで、さまざまな節税対策を取ることができる。これを知っているのと知らないのでは、大きな違いがある。加えて、節税効果だけでなく、さらなる蓄財も期待できる。将来の相続について考え始めた方々は、これを機に、不動産投資に取り組むことを検討してはどうだろうか。