サラリーマンのみならず、多くの人たちにとって、不動産投資やアパート経営は、一般的で人気の高い副業になりつつある。そして、すべての投資の資金は自身の貯蓄などで賄うのではなく、不動産投資ローンを利用した効率的な資産運用を考えているだろう。不動産投資ローンを組む前に注意したいのが金利の仕組みだ。そこで今回は、「単利」と「複利」の違いや、それぞれの場合における返済金額の差を、シミュレーションを用いながら解説する。

単利と複利は何が違う?

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(画像=PIXTA)

不動産投資の世界では、少ない自己資本と銀行からの借り入れを使って大きな資金を投じる“レバレッジ”を効かせた投資手法が一般的だ。借り入れをするわけだから、当然金利を上乗せして返済することになる。この借入額に対する利息の計算方法には「単利」と「複利」の2種類があり、両者は返済金額が大きく異なってくる。不動産投資を始める際には、この単利と複利の仕組みをしっかりと把握する必要がある。

まず、単利は当初借り入れた元本に対してのみ利息がつく。一方で複利は、借り入れによって生じた利息を元本に加え、それに対して利息がつく。そのため、返済金額は膨らむ。天才物理学者のアインシュタインは複利の仕組みを「人類最大の発明」と評した。投資の世界では、複利を意識した資産運用を心掛けることは鉄則といえよう。

単利および複利、それぞれの計算式は下記の通り。

 (単利の計算式)
 元利合計=元金×(1+年利率/100×借入期間)

 (複利の計算式)
 元利合計=元金×(1+年利率/100)^年数  ※^:「べき乗」の意

これらの計算式からも、利率や借入期間によって、最終的な元利合計金額に差が出ることがお分かりいただけたと思う。

不動産投資ローンのシミュレーション

単純な計算式だけでなく、実際の数字で示すと、さらにイメージしやすいだろう。単利と複利の場合、それぞれの返済金額の差についてシミュレーションしてみた。

※シミュレーションには「生活や実務に役立つ計算サイト keisan」内の利息計算ページを用いた。

https://keisan.casio.jp/exec/system/1374655630

あくまで目安だが、例えば、元金300万円を金利3%で30年間借り入れた場合、30年後の残高が単利では570万円であるの対して、複利は730万円ほどに膨れ上がる。同じ期間、同じ金額を借り入れたとしても、単利か、複利かで、最終的な返済金額にこれだけの差が出る。当然、借入額が大きくなるにつれて差は大きくなる。もっとも、金利水準が高く、借入期間が長くなれば、単利と複利の差はさらに拡大することになる。

72の法則

複利の計算に関しては、「72の法則」と呼ばれる非常に便利な計算式もある。これは、借り入れ元本が倍になるのに要するおおよその年数を、簡単な計算で求めることができるものだ。

例えば、金利5%で不動産投資ローンを借り入れた場合、「72÷5=14.4」となる。つまり、約14年で借入額が2倍になることが分かる。このことから、資産運用だけでなく、お金を借り入れる際も、複利が大きな影響を与えることが分かっていただけるだろう。

現在、日本は超低金利だ。短期間で見れば、その影響はわずかに思えるかもしれない。しかし、借入期間が長くなるほど、複利は雪だるま式に大きくなる。不動産投資ローンを前提に資産運用を検討されている方は、金利上昇リスクを十分考慮した上で、固定金利・変動金利の選択を行う必要があるだろう。すでにローンの借り入れをしている方は、借り換えや繰り上げ返済などを視野に入れ、投資の収益性向上を検討してみてはいかがだろうか。

不動産投資ローンに関連して、単利と複利の違いや実際のシミュレーションを通じた借入残高推移などを解説してきた。刻々と変化する経済環境や自分自身の家計状況、ライフプランなどを総合的に勘案し、金利動向も踏まえながら、計画的な不動産投資を実現しよう。