マンション投資を始めるにあたり、気になるのは「どれくらい利益がでるか?」ではないでしょうか。その目安となるのが「利回り」です。今回は、利回りとは何か、銀行金利との違いや計算方法など、利回りの基本的なことについて知っておきましょう。
「表面利回り」とは?
マンション投資に限らず、不動産投資で一番よく出てくる言葉が「表面利回り」です。メガバンクの普通預金金利が0.001%の今、「この物件の表面利回りは4%」と聞くと、とても好条件に思えます。
マンション投資の利回りと銀行金利との違いを見てみましょう。
<銀行の金利>
銀行の金利は説明するまでもなく、金利0.001%なら自分の100万円の預貯金に対して、1年間で10円の利息(税引き前)がつきますよ、という意味です。
100万円×0.001%=10円
<マンションの表面利回り>
マンション投資の表面利回りは、物件価格に対してどれくらい年間の家賃が入ってくるかを%で表したもの。グロス利回りともいわれます。
3000万円の物件を買い、1年で120万円の家賃がもらえるなら・・・・
120万円÷3000万円×100=4%
「表面利回り、4%の物件」となります。
「表面利回り」と言えば、上のような式で計算します。マンション投資のチラシなどに書かれている利回りは、この表面利回りであることが多いです。
上の計算には自分が物件を買うために払ったお金は出てきません。金利は、自分のお金に対して何%の利息がもらえるかですが、表面利回りは、物件の価格に対して何%の家賃がもらえるかという違いがあります。
ケースによって違う「実質利回り」
表面利回りは、この物件が年間に何%家賃を稼ぐか!というわかりやすい数字ですが、実際は家賃がそのまま手元に入ってくるわけではありません。家賃から、物件の管理費、修繕積立金、賃借人の家賃を回収する管理会社に払う管理費などが引かれます。
年間の家賃収入 | 120万円 |
---|---|
管理費・修繕積立金 | 12万円 |
賃借管理費など(サブリース含む) | 12万円 |
表面利回りから表のような実際にかかる費用を引いた残りが物件の何%になるかを出したものを「実質利回り」と言います。
実際にかかる費用をどこまで入れるかは、ケースによって違います。
<実質利回りの算出方法>
物件購入時に話される「実質利回り」は、家賃収入から管理費と修繕積立金を引いたもので出すことが多く、業者が賃借人の管理も請け負う場合は、賃借管理費まで引いた額で出すケースが多いです。
120万円―(12万円+12万円)=96万円
96万円÷3000万円×100=3.2%
このように、表面利回り4%に対して実質利回りは3.2%となります。さらに言うと、オーナーとしての支出にはローン返済をはじめ、固定資産税や火災保険などの諸経費があり、これらの総支出を踏まえた実質利回りも考える必要があります。
投資したお金に対するリターンは?
300万円を頭金としてマンションを購入した場合を考えてみます。毎年の手残り額を30万円として、最初に出したお金に対してどれくらいリターンがあるかを考えると
30万円÷300万円×100=10%
つまり、毎年投資したお金の1割が手元に戻り、最初に投資した金額を10年で回収できるということになります。(会計上の投資収益率の計算方法として、手残りからさらに減価償却費を引く方法もありますが、分かりやすくここでは実際のお金で考えてみます)
実質利回り3.2%とは、大きな違いがあることがわかります。
高利回り、高リターンに要注意
一般的に、表面利回りが低い物件は都心に多く、表面利回りが高い物件は地方都市や駅から遠い物件、築古物件に多い傾向があります。物件を比べるときに、高利回り物件は目を引きますが、どんな理由で高くなっているのか調べる必要があります。
ワンルームマンションの場合、高利回り物件は物件も家賃も安いケースがほとんどです。少ない資金で始められるメリットがある反面、エアコン、給湯器などの修理にかかる費用は家賃5万円の物件も、家賃15万円の物件も同じです。
つまり、いくら表面利回りが高くても、家賃が安いと空室リスクや買い替え費用などで一気にキャッシュフローが悪化してしまうというデメリットがあります。
また、最初に投資する資金をできるだけ少なくして物件を購入すれば投資収益率はアップしますが、その分借り入れ額が大きくなります。月々のローン返済額が多くなるだけでなく、売却したいときに物件の価格よりローン残高が高いと差額は自分で払わなくてはいけません。
利回りも投資収益率も%で表示されるため、つい「0.1%でも高い方がいい」と考えがちですが、どちらも貯金の金利とは違いますので、その数字が意味するところを理解して物件を探すときの参考にしてください。(提供:ヴェリタス・インベストメント)