投資用マンションを購入する際、毎月の家賃収入にばかり気が向きがちだが、不動産投資では収入ばかりではなく、支出についても考えなくてはならない。マンション経営で事前に考えておくべき、大きな支出のひとつが「リフォーム」だ。金額の大小はもちろんのこと、「いつ行う必要があるのか」の見極めが重要だ。

投資用マンションをリフォームする2つの理由

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(写真=Bildagentur Zoonar GmbH/Shutterstock.com)

物件をリフォームをする最も重要な理由は、「住宅設備の老朽化への対応」だ。購入した当初は最新の設備でも、年数が経過すれば古くなり、故障などのリスクも高まる。もう一つは、「入居者のニーズにこたえる魅力的な物件をつくる」ということだ。不動産投資で家賃収入を得るためには、所有する物件が多くの借り主にとって「住み続けたい」と思える、魅力あるものでなければならない。緊急ではなくとも、キッチンや浴室に最新の住宅設備を導入する、内装や間取りを今風のものにする、セキュリティー面の充実など、継続的に工夫と改善をする必要がある。

投資用マンションでリフォームするタイミングの目安は10年

住宅設備における有料での延長保証は、最長10年間というケースが多い。実際は住宅設備が10年で故障・破損するケースは少ないかもしれないが、故障の可能性が年々高まるのは間違いない。もし仮に事故が発生した時はオーナーが賠償責任を被る恐れがある。また10年くらい経過すると建物自体に不具合が発生する可能性も高くなるため、リフォームを行うタイミングの目安にするとよいだろう。

一方、「入居者ニーズにこたえるため」のリフォームは、いつごろすべきかという目安は特にない。住宅事情に関するトレンドを察知し、時節にかなったタイミングを見極める必要がある。

購入時点で築年数が10年経過している中古マンションの場合は、事前に、過去のリフォーム歴を確認し、いつごろ、どのようなリフォームが行われたかを確認したい。もし過去にリフォームが行われていなければ、購入後のリフォーム費用も初期費用に見込んだ上で、物件購入を検討しよう。

リフォーム用の必要資金を考える

リフォームに関しては、必要資金を準備しておくべきだ。

どのくらいの資金を準備しておくべきかについては、最終的なリフォーム費用をどう見積もるかによる。例えば住宅設備だと、キッチン・トイレ・ユニットバスの水まわり設備を変える場合、安いものなら150万円、ハイグレード(高級素材が使われている、機能面がより充実しているなど)では300万円くらいの費用が発生する。

今の客層やニーズを踏まえて、10年後に目指すリフォームのグレードを考え、そのリフォーム費用を家賃収入から少しずつ貯蓄しておければ理想だ。それだけで賄えなければ、リフォームローンを利用するのも一つの手だ。

また、負担する金額を少しでも抑えるために、リフォームに関する保険や制度についても知っておきたい。例えば、国土交通省による「新たな住宅セーフティネット」を活用すれば、リフォーム費用の一部を国が補助してくれる。適用範囲などの詳細は国交省のWebサイトで確認できる。

【参考】国土交通省「新たな住宅セーフティネット制度について」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000055.html

JIO(日本住宅保証検査機構)などが提供している「リフォームかし保険」は、所定のリフォーム会社に依頼したリフォーム工事で、欠陥が見つかった場合には、無償で工事をやり直してくれる制度だ。こうした制度を確かめるなどし、万一のリスクにもできる限り備えておこう。

建物の経年劣化や住環境としての魅力を高めることを考慮すれば、10年という期間は納得がいくものだろう。10年も経てばキッチンなどの住宅設備の質も大きく向上し、トレンドも変わっているはずだ。投資用マンションのオーナーは、10年を目安にリフォーム計画を立てるとよいだろう。