株よりもリスクが高いイメージのある先物取引ですが、よく理解することで資産運用の一つとして活用することができます。そもそも、先物取引とはどのようなものなのか、基本的な取引手法などについて紹介します。
先物取引とは
先物取引では、リアルタイムの取引ではなく将来の売買についての約束を現時点で行います。「何月何日にいくらで特定商品の売買を行う」と約束しておき、その日、商品の価格がいくらになっていたとしても、約束通りに取引を実行するのが先物取引です。例えば、半年後に購入したいものがあったとします。しかし、半年後には価格が上昇しているかもしれません。
そこで、今の価格で半年後に購入すると約束しておきます。半年後に価格が上昇していた場合は、半年前の価格で購入できた購入者にメリットがあります。一方、半年後に価格が下落していれば、半年前の価格で売却できた売却側にメリットが生まれるのです。このような取引を金やガソリン、農産物、あるいは株価指数で行うのが先物取引になります。
先物取引の種類と取引手法
先物取引には、商品先物取引と株価指数先物取引があります。商品先物取引では、金やガソリン、小豆など、さまざまな商品で先物取引を行い、株価指数先物取引では、日経平均株価などの指数で先物取引を行います。
差金決済
先物取引には、買いから始める買建(かいだて)と、売りから始める売建(うりだて)の2種類があります。どちらを選択したにせよ、先物取引ではあらかじめ決めておいた取引日までに反対売買を行わなければなりません。その後、売値と買値の差額のみ決済し損益が決定します。反対売買とは、買った銘柄の場合は「売る」、売った銘柄の場合は「買う」ということです。
買建の場合、買ったときよりも値が上がっているときに反対売買で転売を行うことで利益が出ます。売建の場合には、売ったときよりも値が下がっているときに反対売買で買戻しを行うことで利益が出ます。これが差金決済と呼ばれるものです。
取引手法
上記のように、反対売買を行って利益を確定する取引手法をスペキュレーションと呼びます。先物取引において、基本的な取引手法です。また、裁定取引(アービトラージ)という手法もあります。はじめに、同じ価値を持つ商品に一時的な価格差が生じた際、割高なほうを売却して割安なほうを購入します。次に、売却もしくは購入したほうの価格差が縮小した際、それぞれに反対売買を行い、利益を得る手法です。
裁定取引は、機関投資家などが大きな資金をもって行うことが多いため、裁定取引自体が市場に大きな影響を与えることも少なくありません。
証拠金制度
契約と同時に決済を行わない先物取引では、契約を成立させるために先物取引の参加者は証拠金を入れる必要があります。なぜなら、参加者自身の信用力を証明しつつ、それを担保とするからです。注文の前に、契約金額の一定割合の証拠金を用意しなければなりません。
先物取引の始め方
最後に、先物取引の始め方について見ていきましょう。まずは、先物取引を扱う取引会社で口座を開設して、口座に証拠金を振り込んでおきます。取引を行う商品を決めたら、新規注文を行います。買い注文か売り注文か選択しましょう。契約が成立した後は、取引日までに反対売買を行います。反対売買を行うベストなタイミングを見極めるため、値動きをチェックすることが必要です。反対売買後、差金決済を行いましょう。差金、証拠金、手数料を精算して終了です。
先物取引のリスク
その他の投資と同様に、先物取引では元本が保証されていません。予想外の値動きが起きたときには、大きな損失を被ることもあります。ハイリスク・ハイリターンな投資であるため、大きな利益が期待できる一方で、損失が出た場合にはその額が大きくなる可能性もあると覚えておきましょう。
仕組みをよく理解してから先物取引を始めよう
先物取引は、少し複雑な投資方法です。証拠金を差し入れることで、その何倍もの取引を行えるという点は、FXにも似ています。ハイリスク・ハイリターンな投資ですので、市場の状況をよく見て注文を行うことがおすすめです。先物取引の対象となる商品の中には、経済状況や海外情勢の影響を大きく受ける商品もあるため、国内だけでなく海外事情にも日々目を向けておきましょう。(提供:YANUSY)
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