フェイスブック(NASDAQ:FB)やグーグル親会社のアルファベット(NASDAQ:GOOGL)は過去5年間で市場をアウトパフォームし、長期投資家に多額のリターンをもたらしてきた。
しかし両社が直面している課題を考慮すると、これからの5年間も同じようなパフォーマンスを発揮できるか予測するのは極めて困難だ。
両社の株価を押し下げた最大の要因は、政府による規制である。下押し圧力を受けたことで両株は前年5-10%下落した。
一方で、現在グーグルとフェイスブックは米国デジタル広告市場の約60%を占めている。なお同市場規模は今年、初めてテレビCM市場規模を超えると予測されている。
過去2週間の一連の報道によって、両株は再度売り圧力が強まっている。
米議会の下院司法委員会は6月3日、反トラスト法(日本で言う独占禁止法)違反の疑いでグーグルやフェイスブックを含む通称「GAFA」に対して調査を行うことを発表した。
また、下院司法委員会のナドラー委員長は、IT大手による市場競争の阻害に関し独自の調査を行うと発言。この動きによりグーグルやフェイスブックに対する精査が強化される見通し。
米司法省がアップルとグーグル、米連邦取引委員会(FTC)がフェイスブックとアマゾンを管轄する。
報道が始まって以来、フェイスブック・グーグル両株は下げ圧力を受けている。
グーグルは12日1079.10ドルで終値を迎え、過去1か月で約7.58%下落している。フェイスブックは同日175.04ドルで終値を迎え、今月では7.04%の下落となっている。
高まる不確実性
GAFAに調査のメスが入ることで、長期投資家にとっては先行き不透明感が増大するだろう。
この類の調査は一般的に長期間に及び、動向予測も困難だ。
前例には、米司法省によるAT&T(NYSE:T)やマイクロソフト(NASDAQ:MSFT)を相手取った反トラスト法訴訟が終結までに何年もの期間を要したことがある。
マイクロソフトはコンピュータOS市場を独占しているとして起訴され、1998~2001年まで実に12年間にわたり争った。その間、マイクロソフト株は世界的に下落した。
また、、FTCはグーグルの検索結果表示に偏りがあるとの訴えを受け2011年に調査を開始した。2年後の2013年、トラスト法違反でないとの結論を下した。
今回の調査の結果、規制が強化されることになればGAFAの減収が見込まれ、投資家へのリターンも期待できなくなるだろう。
米司法省のデラヒム司法次官補は11日、米IT(情報技術)大手企業を巡る反トラスト法の適用について、現行法で対応できるとの見方を示した。
BCAリサーチのストラテジストは「現状の政治的環境で反トラスト法は十分に活用されている」と記した。
「米政治家はIT大手による脅威に警戒している。例えば選挙への影響、プライバシー問題、イデオロギー的バイアスの醸成、あるいは膨大な資産蓄積などが挙げられる」と続けた。
総括
これらの調査がどのような結果をもたらすのか予想することは困難だが、一つ確かなことがある。
それは規制が続く中でこれらのソーシャルメディア大手がアウトパフォームしていくのは難しいということだ。
これらの企業が調査結果により大きな不利益を被る可能性は低いだろう。ただしネガティブな動向が続けば、IT大手銘柄のパフォーマンスが損なわれることは十分考えられる。(提供:Investing.comより)
著者:ハリス アンワル