ワンルームマンション経営は、メンテナンスに手間がかからないため、サラリーマンや主婦など本業がある忙しい人の資産形成や、資産をお持ちの方の相続対策に向いています。ところが、いざ始めようと家族に話すと反対されるケースがあります。マンション経営のメリットだけでなく、考えられるリスクやデメリットについて、イメージだけでなく情報を共有しておくといいでしょう。

妻がマンション経営に大反対、どうする?
(画像=PIXTA)

マンション経営はリスクが高い?

ノーリスクの投資法はありません。預貯金ならノーリスクのように思えますが、円安時、物価上昇時には、資産が目減りするというリスクを抱えています。ワンルームマンション経営は、短期売買で利ザヤを稼ぐ投資法ではなく、不動産を長期で保有して家賃を受け取り、資産を作る投資法です。株価や為替の急な暴落時でも、家賃が連動して下がることはなく、物価上昇時には家賃は上がる傾向が高くなります。そういった意味では、よく「ミドルリスク、ミドルリターン」と言われます。では、ワンルームマンション経営には、どんなリスクがあるでしょう?

妻がマンション経営に大反対、どうする?
(画像=PIXTA)

リスク1/空室

一番のリスクは、空室リスクです。「空室が出にくいエリアを選ぶんだ」と言っても、ピンとこないので、具体的な数字に置き換えることが大事です。賃貸管理もしている不動産会社なら、「このエリアの空室率は97%で、平均退去日数は30日。厳しく見積もって4年に一度30日ほどの空室があると思ってください」とデータを出してくれます。そうすると、「1か月分9万円の家賃を、4年に一度なので1年にしたら2万2500円、ひと月にしたら1875円程の損失を見ておこう」と、イメージとしての空室を数字に置き換えることができます。

リスク2/地震

地震もいつ起こるかわかりません。耐震物件を選ぶことはもちろんですが、開示されている情報を調べましょう。30年以内に震度6以上の地震が起こる確率は100%と予測されているエリアもあります。物件所在の自治体のホームページを見ると、「危険度マップ」が公開されています。同じ区内でも、危険度のとても高いエリアと低いエリアがあるのがよくわかります。同時に、洪水の「ハザードマップ」も見ておくといいでしょう。水災、地震は、火災保険と地震保険で備えることができます。リスクと備えられる保険金については、不動産会社に聞いておきましょう。

リスク3/価値下落

日本の不動産の価格は、右肩下がりに減ってくイメージをお持ちの方が多いのですが、都内23区に関しては、上がる時期と下がる時期があります。その中で平均的に、ワンルームマンションは、新築時から15年くらいで価格がある一定のところに落ち着きます。つまり、ワンルームマンションの価格100万円!という極端な下落にはならないことがほとんどです。これも、不動産会社に物件を買おうとしているエリアで同程度の広さの築30年くらいの物件をいくつか調べてもらうと将来の価格のイメージがつかめます。

妻がマンション経営に大反対、どうする?
(画像=PIXTA)

マンション経営のデメリット

株や投資信託に比べると、流動性は低くなります。3日以内に現金が欲しいという場合、ワンルームマンション経営だと、かなり不利な条件で売り急ぐことになります。

一棟物と比べると、区分所有者は自分の好みで物件自体を勝手に変えることはできません。一棟のオーナーならマンション名が気に入らないから変える、宅配ボックスを入居者のために入れる、エントランスが暗いから照明を変える、外壁を塗りなおす、こんなことも自分の意思次第でできます。区分所有者は、お部屋の中はリフォームできますが、共用部分の大規模な変更をするには、マンション組合の総会で4分の3以上の賛成をもらわなくてはいけません。

リスクとメリットを天秤にかける

様々なリスクがありますが、一方で家賃収入以外のメリットもあります。

資産をお持ちの方なら、現預金を賃貸用不動産にすることで、資産の評価を約6割減らすことができるため相続税の節税対策になります。家族のために保険に入っている人は、団体信用生命保険がその代わりになりますので保険を見直すことができます。高所得者なら、当初4年くらいは確定申告をすると、マンションを買ったことによる費用や建物の減価償却があるので、源泉徴収された所得税が戻ってきます。

株や投資信託は投資の中でも馴染みがありイメージしやすいのですが、区分所有のマンション経営は誰でも知っている投資法ではありません。イメージできないことは、怖いのでそのままにしておいて投資を始めるとずっと不安を引きずったままになります。

そんなときは、漠然とした不安を具体的にして取っているリスクと得られるリターンを比べてみることが大事です。マンション経営の仕組みを理解した上で、どんなリスクがあって、その対応策がしっかりと確立されていることが分かれば、妻の大反対はきっと解消されると思います。

(提供:ヴェリタス・インベストメント

>>【無料eBook】2020に向けた東京不動産の今

ファイナンシャルプランナー 山口 京子(やまぐち きょうこ)
元フリーアナウンサーのスキルを活かし、ファイナンシャルプランナーとしてテレビ・ラジオ等多数のメディアに出演、セミナー講師としても活躍。ワンストップで顧客にサービスを提供するため、生命保険、損害保険、証券外務員の資格も保有。不動産好きが高じて、宅建試験に挑戦し一発合格。顧客には、不動産オーナーも多い。 http://kyoko-yamaguchi.com/