マンション経営や不動産投資をはじめるとき、買ったマンションを将来どうするのか気になるところです。マンション経営や不動産投資には、いくつかの投資法があります。投資の目的やその時の社会情勢などを踏まえて、自分にあった方法を考えてみましょう。
区分マンションを複数所有する
区分所有のマンションを一戸買うと、その後、また別の物件を買う、いわゆる買い増しをする人は少なくありません。これは、最初のハードルは高いものの、管理会社にすべて任せられる区分マンション経営はいざ始めてみるとメンテナンスが少なく手間がかからないので、もう一戸二戸買ってみようと思うからです。また、長い期間をかけて資産を作る投資法なので、相場の値動きで一喜一憂する投資が苦手な人も、マンション経営だけで資産形成がしたいのでもっと増やしたいと考えます。
複数所有する人は、まったく繰上返済せず将来のインフレをじっくり待つという人と、一つの物件だけ積極的に繰上返済をして完済し、家賃収入を使わずに他の物件の繰上返済に充て、出来るだけ早く不労所得を増やしたいと考える人などさまざまです。
なかには、十戸以上ワンルームだけ所有するオーナーもいます。一棟物ではなく、ワンルームだけを複数所有する理由は、やはり手がかからないところが最大の魅力だそうです。複数あれば、どれかを売却して、老後資金に充て、相続人一人ずつに、マンションを相続財産として残すこともできます。
いずれにしても、何歳までに、いくらの家賃収入を得たいか、何のために複数所有するのか、計画を立てておくことが大事です。
売却して利益を得る
ローン返済中でも、売却することができます。買った価格よりも、売却価格が上がるケースもあれば、下がるケースもあります。下がったら、損をするように思えますが、一概にそうとはいえません。
図のように、借り入れをすると、最初は抵当権がついていますので私のマンションではなく、大部分が銀行のものになります。返済がすすみ、借り入れが減ってくると徐々に自分の物になっていきます。途中で売却すると、物件価格から、その時の残高を引いた残りと、それまでにもらった家賃が自分の財産となります。残高が減り、最初に投資したお金よりも、手元に残ったお金が多ければ、物件価格が下がったとしても、途中で売却してよかった!ということになります。
注意点は税金です。単純に手元に残ったお金に税金がかかるのではなく、 「譲渡価格―譲渡費用―取得費」に税金がかかります。取得費とは、最初にマンションを買ったときの価格ではなく、買った価格から、毎年確定申告の時に引いている減価償却費を引かなくてはいけません。
つまり、毎年経費として所得から引いたものは、取得費が減っていると計算しますよということです。正確にいうと、買った価格に、仲介手数料などの費用を乗せて、そこから減価償却費を引きます。
取得費=購入代金+仲介手数料などの費用―減価償却費
もし、譲渡収入がプラスになれば、税金がかかります。売却した年の1月1日で所有期間が5年以上か、5年以下かで譲渡所得にかかる税率が変わってきます。譲渡所得にかかる税率は、長期が20.315%。短期は39.63%です。
売却を考える際は、確定申告の書類と、最初に物件を買った時の取得価格と費用が分かる書類をもって、税務署か、税理士にまず相談してみましょう。
相続税を節税する
自分が所有していた投資用マンションをご家族が相続するときは、相続人の相続財産となります。預貯金は、そのまま相続財産として計算されますが、不動産は別の方法で計算されるため、3,000万円で売られている物件であっても、1,000万円くらいまで評価が下がります。つまり、2,000万円に対する相続税を圧縮できることになります。
詳しくはこちら「相続対策としてのマンション経営と生命保険」
仮に相続財産が5,000万円から1億円なら、相続税率は30%。2,000万円圧縮すれば、払う相続税を600万円減らすことができます。
相続人が売却する時は、取得価格は亡くなった方が買った時の取得費を引き継ぎます。
自分で住む
都心のマンションなら、老後の生活も便利です。最後に介護施設に入る時に持ち込める荷物はちょうど、ワンルームマンションに収まるサイズと言われています。元気なうちに断捨離して、都心の生活を謳歌し、必要な物だけもって介護施設に入る時は、ワンルームマンションを売却し費用の一部に充てるという目的であえて都心部のマンションを買う人もいます。
ひと口にマンション投資といっても、目的は人それぞれです。自分の理想とする目的に合ったマンションを見つけるには。実際に不動産業者のセミナーなどに足を運んで、信頼のおける業者か、親身に相談に乗ってくれるかなどを厳しい目でチェックしましょう。いい業者と出会った投資家は、購入後も安心して投資を続けています。
(提供:ヴェリタス・インベストメント)
ファイナンシャルプランナー 山口 京子(やまぐち きょうこ)
元フリーアナウンサーのスキルを活かし、ファイナンシャルプランナーとしてテレビ・ラジオ等多数のメディアに出演、セミナー講師としても活躍。ワンストップで顧客にサービスを提供するため、生命保険、損害保険、証券外務員の資格も保有。不動産好きが高じて、宅建試験に挑戦し一発合格。顧客には、不動産オーナーも多い。 http://kyoko-yamaguchi.com/