11日に開催されたテスラ(NASDAQ:TSLA)の株主総会の場で、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、同社の課題について質問に答えた。また、同社の新会長であるロビン・デンホルム氏にとって、公の場で発言する初めての機会となった。株主総会では、同社のガバナンスについて決議が行われた。

以下が株主総会から浮かび上がった4つの重要なポイントである。

1.電気自動車需要の問題

電気自動車に対する需要の問題は、テスラにとって最大の課題である。SECのファイリングによると、同社は販売台数を約2万3000台上回って製造しており、需要面で問題があることを浮き彫りにしている。

テスラ製品に対する需要の問題は、同株に下押し圧力を加えている。マスクCEOは11日、これらの懸念に対して次のように言及した。

「需要に問題がないことをはっきりさせたい、全く問題ない」

当然、過去の経験から、マスクCEOの発言を鵜吞みにしてはならない。

決算報告があった11日の時間外取引で同株は3%高となったものの、13日の取引では3.6%安と反落した。

需要の問題は同社の四半期決算に数字として現れるはずである。したがって、7月末に予定されている4-6月期決算でより多くの詳細が明らかになると考えられる。

同株は変動が大きいので、四半期決算の際は大きく値動きすることが予想される。

2.資源の採掘が次のビジネスか?

マスクCEOによると、リチウムイオン電池の生産に必要なニッケルや銅、リチウムなどの資源の調達がテスラにとって最大の課題の一つになっているという。実際、同社は生産目標に達成するためにネバダ州での電池生産を開始している。

同社の次のステップとして資源の採掘に参入することが考えられる。マスクCEOは11日、「テスラは採掘ビジネスに参入するかもしれない」と述べた。

テスラは生産からサービス、修理まで垂直統合された自動車メーカーを目指している。採掘ビジネスがどれほどの経済的な価値を生み出すかは定かではないが、同社の目標には適っていると言える。

3.自動運転

4月下旬にテスラが開催した「オートノミー・インベスター・デイ」では、自動運転やロボタクシーなどに関する同社の目標が垣間見えた。

テスラ車の所有者は2019年末までにドライバーの監督のもとで自動運転を享受できると、マスクCEOは発言した。つまり、自動運転は実現されるものの、依然として人間が注意を払い監督する必要があるということである。完全な自動運転については「来年のいつか」に実現すると述べたが、規制当局の承認を受ける必要がある。

株主総会の質疑応答で、マスクCEOはサモン機能(駐車場から運転手の下へ自動移動する機能)について質問された。質問者は、マスク氏が以前に2018年11月に6週間以内に実現されると公言したが、6週間という期間を守らなかったことを非難した。これに対しマスク氏は「私は時々少しだけ楽観的に期間を設定してしまう」と返答した。

また、マスクCEOは2020年までに100万台のロボタクシーをテスラが保有するとの以前の発言を弁解した。その発言の真意は、テスラ車の所有者が車両をアップグレードすることで、同社は自動運転機能を備えた車両を100万台生産したことになるという意味であった。

4.マスクCEOの議決権は依然として強力

11日の株主総会では、取締役の任期を3年から2年へ短縮する案や、株主の提案を3分の2以上から過半数で可決できるようにする案が採決された。

これらの提案の背景には、マスクCEOのツイートを巡るSECの訴訟が挙げられる。現在、マスク氏は約20%のテスラ株式を取得しており、どんな決定も実質的に否決することができる。

両案は結果的に否決された。マスクCEOが採決に参加したか否かは分からないが、この結果は株主が依然としてマスクCEOの議決権を削る方法がないことを意味するだろう。

結論

年初来でテスラの株価は37%安となっているものの、マスクCEOの発言は熱狂的な信者によって受け入れれた。同氏の言葉は非常に心強いものの、誇大広告となっている。投資家は同社の第4-6月期決算を待ち、次にどのようなビジネスを展開するのかを見極める必要があるだろう。(提供:Investing.comより)

著者:クレメント チボー