不動産投資のリスクを、実際に現場で起きている問題から学ぶ!

不動産投資のトラブルは、ミクロで見るとさまざまな事情や状況で多岐にわたりますが、法的な結論はシンプルで、いくつかのポイントを抑えておけば、トラブル回避は充分に可能です。そこで、私たち弁護士が実際に相談を受けた案件から、よくあるトラブルをご紹介。なぜ問題が生じたのか、そしてどのように解決したのかをわかりやすく解説します。

このマンション、本当はいくらなの?
(画像=ヴェリタス・インベストメント)

このマンション、本当はいくらなの?

京都府在住 佐藤さん(40歳,男性)からのご相談

生活にゆとりを持ちたいと思い、最近、投資に興味を持つようになりました。そして、ウェブサイトで見た不動産業者に連絡をして、いろいろ説明を受け、賃貸用のマンションを買いました。

ところが後日、たまたま同窓会で不動産関係の仕事をしている同級生と話していたら、マンション投資の話になったので、最近マンションを買ったことを話すと、その友人から、そのマンションが相場よりも相当高いように思うので、騙されたのではないかとの指摘を受けました。その後、いろいろと調べてみると、たしかに買ったマンションは明らかに高い値段で売りつけられたことがわかりました。

よくあるトラブル❷「契約関係」

これで解決!

不動産の適正額がいくらなのかはとてもむずかしい問題です。日々の裁判の中で、不動産の金額でよく争いになります。先日の裁判では、ある不動産について、当事者双方で金額に3倍のひらきがありました。これは極端な例ですが、それくらい不動産の適正額がいくらかという問題は非常にむずしい問題です。そこで、当たり前の話ですが、不動産を買う場合には、金額が適正であるかどうかをよく検討する必要があります。

さて、投資用のマンションの購入は法的に言うと、いわゆる売買契約で、売買代金の金額に合意すれば、それが相場よりも高くても、逆に言えば安くても、両当事者が納得すればそれで契約としては有効です。もちろん、契約を結ぶ際に、ウソをつかれたり、脅されたりした場合には、契約の取消しなどをすることもできる場合があります。

しかし、不動産の売買契約においては、重要事項の説明が行われたり、印鑑証明の提出がなされたりして、後日、ウソをつかれたり、脅されたりしたとは言いにくい状況にあります。また、不動産取引にも消費者保護法の適用がありますが、いわゆる営業トークの範囲内と問題にされなかったり、録音などがないかぎりは言った言わないの話になったりして、結局のところ、契約を白紙に戻すことはとても困難です。

本題ですが、ご質問については、契約までの具体的なやりとりをお聞きしないといけませんが、解除も損害賠償もむずかしいと思います。結論としては、不動産の売買金額を事後的に争うことはとてもむずかしいので、不動産を買うときには不動産業者の説明をよく聞き、ご自身でもよく調べるなどして慎重な対応が必要です。もちろん、だまされるかもしれないような不動産業者を相手にするのではなく、信頼できる不動産会社をパートナーに選ぶことが重要だと思います。(提供:ヴェリタス・インベストメント

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弁護士 種⽥ 和敏(たねだ かずとし) 弁護士(第二東京弁護士会)。池袋の城北法律事務所に所属。1982年に滋賀県大津市に生まれ、神奈川県藤沢市で育つ。2005年に東京大学法学部を卒業後、東京都港区役所に5年間勤務、成蹊大学法科大学院(夜間コース)を修了、2011年に弁護士登録。借地借家の問題を中心に不動産関係の法律問題に取り組む。著書に『だけじゃない憲法』(猿江商會)。