ドラッグストア業界の勢力図に、再び変化が起きようとしています。スギ薬局とココカラファインの経営統合にマツモトキヨシが割って入り、交渉の行方が注目されているからです。ドラッグストア株に投資するなら、はたしてどの銘柄が一番有利なのでしょうか。
小売の勝ち組、ドラッグストアが成長した理由とは
ドラッグストアは、苦戦が続く小売業界の中では勝ち組と言われてきました。成長の理由は、食品や日用品の値引きで集客し、利益率の高い医薬品・化粧品で儲けるビジネスモデルを確立したことにあります。コンビニよりは広めの店舗スペースで品揃えが良いことから、スーパーやコンビニの顧客を奪うことに成功しました。
それでも、ドラッグストアならではの悩みもあります。それは人手不足で薬剤師の人件費が上がっていることです。調剤するためには資格が必要なので、スーパーやコンビニよりも人件費負担が大きいのです。さらに、売り上げの伸びを支えていた、外国人観光旅行客の「爆買い」も一時の勢いを失っています。それらの要因が重なりあい、統合メリットの大きいココカラファインとの提携をスギ、マツキヨが争っている状況です。
ココカラファインとはどんな会社か
スギホールディングス(スギ薬局)とマツモトキヨシホールディングスの2社からラブコールを受けているココカラファインとは、どんな会社なのでしょうか。
ココカラファインは、2008年に関東地盤のセイジョーと関西地盤のセガミメディクスが経営統合して誕生しました。2019年3月期の売上高は4,005億円で業界第7位です。事業内容は、ドラッグストア事業と調剤事業を柱に、最近では介護事業にも力を入れています。
現在、売上高で業界首位はウェルシアホールディングスの7,791億円ですが、業界5位のマツキヨ(5,759億円)と6位のスギ(4,884億円)のどちらがココカラファインと組めば業界首位に躍り出るため、両陣営が経営統合に高い意欲を見せるのも頷けます。
株価指標と配当利回りで比較する
では、ドラッグストア株に投資する場合、どの会社のパフォーマンスが最も良いのでしょうか。売上高上位7社を、株価指標と配当利回りで比較してみましょう。
ドラッグストア上位7社の株価指標と配当利回り(株価は2019年6月17日終値、1株配当金は会社予想)
・ウェルシアホールディングス
株価 4,310円
PER(株価収益率) 22.47倍
PBR(株価純資産倍率) 3.14倍
1株配当金 46円
配当利回り 1.07%
・ツルハホールディングス
株価 9,060円
PER 17.24%
PBR 2.2倍
1株配当金 146円
配当利回り 1.61%
・コスモス薬品
株価 18,000円
PER 20.19倍
PBR 2.96倍
1株配当金 90円
配当利回り 0.5%
・サンドラッグ
株価 2,789円
PER 13.04倍
PBR 1.91倍
1株配当金 68円
配当利回り 2.44%
・マツモトキヨシホールディングス
株価 3,195円
PER 12.61倍
PBR 1.57倍
1株配当金 70円
配当利回り 2.19%
・スギホールディングス
株価 5,190円
PER 17.53倍
PBR 1.93倍
1株配当金 80円
配当利回り 1.54%
・ココカラファイン
株価 5,750円
PER 14.69倍
PBR 1.45倍
1株配当金 76円
配当利回り 1.32%
データを総合すると、PER15倍以下、PBR2倍以下、配当利回り2%以上と割安で放置されているマツモトキヨシホールディングス、サンドラッグが投資妙味ありと言えるでしょう。
※数値は日々の株価によって変動しますので、投資にあたっては最新の数値をご確認ください。
株主優待やポイント政策にも注目
株主優待やポイント政策はどうでしょうか。最近は株主優待の内容で投資する銘柄を選ぶ人が増えています。株主優待が魅力的であれば手放す人が少ないため、株価の安定にもつながります。
小売業なので、優待の基本は買い物券です。保有株数によって規定の枚数が年1回または2回贈呈されます。その中で注目すべきはマツモトキヨシホールディングスで、優待は株主限定の買い物券ではなく、通常のマツキヨ商品券です。使用期限がないので、使い忘れて無駄になることがありません。また、唯一買い物券以外の優待品を贈るのがサンドラッグで、5,040円相当のヘアケアセットと、3キログラムのお米券と豪華な内容で魅力的です。
また、ポイント全盛期の今、有力ポイントプログラムとの提携状況も今後の業績に影響を与える可能性があります。2019年6月17日現在で、4大共通ポイントと提携している企業は以下の通りです。
・Tポイント=ウェルシアホールディングス
・dポイント=マツモトキヨシホールディングス
・pontaポイント=なし
・Rポイント=ツルハホールディングス、サンドラッグ
※上記記事は特定の銘柄をおすすめするものではありません。参考程度にお考え下さい。
再編によって、いつ首位が入れ替わってもおかしくないドラッグストア業界。戦国時代の様相を呈していますが、ビジネスモデルは強固であり、今後スーパーやコンビニをしのいで小売業界のトップランナーになる可能性は十分にあるでしょう。(提供:YANUSY)
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