地主の方が所有する土地の活用を考えたとき、すぐに思い浮かぶのは、アパート経営や駐車場経営などではないでしょうか。その選択肢に「低層マンション」も加えてみてはいかがでしょうか。40坪程度の敷地から有効活用することができます。
目次
1.低層マンション、中高層マンションの階数の目安は?
マンションには、低層・中高層などの種類がありますが、これらに階数の定義はありません。ただ以下のように目安となる階数はあります。
1-1.低層マンションの階数の目安は?
低層マンションの階数の目安は、「3〜5階前後」が一般的です。戸数でいえば十数戸から数十戸程度が目立ちます。
1-2.中高層マンションの階数の目安は?
中層マンションの階数の目安は「6〜10階前後」、高層マンションの階数の目安は「10階以上」です。さらに高層の20階前後以上の物件は、超高層マンション(タワーマンション)と呼ばれます。
2.低層マンションのメリットとは?
低層マンションの主なメリットとしては、次の10つが挙げられます。
2-1.規模が小さいので投資額を抑えられる
「建築費が膨大にかかるマンション経営なんてとんでもない!」というオーナーもいると思います。しかし、高層マンションやタワーマンションのような大規模な建物を建てるわけではないので投資額は限られます。なお、低層マンションの建築費については、デベロッパーや敷地面積・構造・階数によって異なります。
2-2.共用設備の導入・メンテナンスのコストを抑えられる
マンションというと、エレベーターやグレードの高い共用設備が必要なため、「こういった部分に多大な導入・メンテナンスのコストがかかるのでは?」と心配される方もいるでしょう。ただ低層マンションの場合は、エレベーターのない物件も多数あるため、その分のコストを抑えられます。2〜3階程度であれば「エレベーターを待つなら階段のほうがよい」という入居者もいるでしょう。
4階以上については、賃料を調節したり、眺望の良さをPRしたりすることでスムーズに入居者を確保しやすくなります。エレベーター以外の共用設備(例:ゲストルームやキッズルームなど)についても、戸数が少ない分、ムリに充実させる必要はなく予算に応じて調整しやすいといえるでしょう。
2-3.幅広いエリアに建てることも可能
低層マンションのメリットとしては「幅広いエリアに建てやすい」ということも挙げられます。タワーマンションや高層マンションなどと比べて階層(高さ)がないため、一般的な容積率のエリアでも建てやすいのです。そのため低層マンションは、建築要件が厳しい住宅地エリア(第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域など)に建てることも可能です。
2-4.建物の寿命が木造アパートよりも長いこともメリット
低層マンションを経営するメリットとしては、木造アパートと比較して「建物の寿命が長いこと」も挙げられます。例えば法定耐用年数でいえば木造アパートの22年に対して、マンション(RC)は47年。そのため長期安定経営を重視するオーナーに低層マンションは向いています。特に「先祖から受け継いできた土地をずっと有効活用していきたい」と考えている方とは相性がよいでしょう。
2-5.住みやすい環境であることが多い
低層マンションを建てられる低層住居専用地域は、良好な住環境の保護のために建物の高さとゆとりのある敷地が厳しく制限されているエリアです。そのため必然的に「低層マンション=住みやすい環境」というケースが多くなります。
2-6.住環境の変化が少ないため、資産価値が安定している
低層マンションの住環境の良さは、単に住み心地が良いだけでなく資産価値の安定にもつながりやすい傾向です。高層マンションの多い商業地域は、周辺に高層の建物が次々に建てられ日当たりが悪くなったり眺望が変わったりして値下がりすることもあります。一方低層マンションの多い低層住居専用地域は、住環境の変化が起きにくいため、物件の資産価値が安定しやすい傾向です。
2-7.部屋数が限られるため、ご近所づきあいが楽
高層マンションでは「一つの建物で数百戸以上」ということも珍しくありません。一方低層マンション は、数十戸程度など戸数が限られているため、高層マンションよりもご近所づきあいとしては楽なことが多いでしょう。
2-8.高層マンションと比べて固定資産税の負担が軽い
高層マンションは、地価の高い商業地域などに建てられることが多いため、固定資産税が割高な傾向です。一方で低層マンションは、駅前からやや離れた住宅地などに建てられることが多いため、固定資産税が割安な一面があります。
2-9.エレベーターに依存しないので災害に対応しやすい
大地震が起きるとエレベーターが止まった影響で「高層のマンションやビル内に閉じ込められた」という出来事がよく話題となります。低層マンションの場合、そもそもエレベーターのない物件も多い傾向です。またエレベーターの設置されている物件では、稼働が停止したとしても自力で避難することができます。
2-10.エレベーター待ちがないので移動がスムーズ
低層マンションは、高層マンションの上階のようにエレベーター待ちのストレスがありません。自宅からエントランスに出る際に階段でさっと降りるだけで済みます。一般的な体力のある人であれば3階程度なら階段で昇り降りしやすいでしょう。
3.低層マンションのデメリット
メリットの多い低層マンションにもいくつかのデメリットがあります。
3-1.高層マンションより利便性が劣るケースもある
低層マンションは、駅近の一等地や商業地域に建てられることの多い高層マンションと比べると利便性で劣る傾向があります。なぜなら主要駅からやや離れたエリアに建っていることが多いからです。ただあくまでも傾向のため、「高層でも利便性が悪い」「低層でも利便性の良い」というマンションもあります。
3-2.中高層マンションよりも物件数が限られる
一般的なマンションデベロッパーは、利益重視のため、戸数の多い中高層マンションを中心に開発している傾向です。低層マンションを建てるのは、一部のデベロッパーや個人の不動産投資家が中心となることから中高層マンションと比べると物件数が限られます。低層マンションに住みたい人にとって物件数が少ないことは、探す手間がかかることからマイナス材料です。
しかし不動産投資家にとっては、競合が少ないため安定経営をしやすくプラス材料となります。
3-3.高層階よりも眺望の魅力が劣る
低層マンションは、高層マンションの上階と比べて眺望の魅力が劣る点もデメリットです。ただ実際には、高層マンションの中でもすばらしい眺望を楽しめるのは一部の物件に限ります。
4.高層マンションのメリット
高層マンション(タワーマンション含む)には、低層マンションにない以下のようなメリットがあります。
4-1.利便性の高い一等地にあることが多い
高層マンションは、容積率の規制が緩い商業地域に建てられるのが一般的です。商業地域は幅広い商業施設の建設が認められているため、利便性の高い立地環境になる傾向がありますが、一部の高層マンションは最寄り駅から離れた不便な立地ということもあります。
4-2.共用施設がそろっていることが多い
高価格帯の高層マンションは、共用施設や共用サービスをセールスポイントにしています。例えばゲストルームやシアタールーム、ジム、スパ、コンシェルジュといった具合です。他の高層マンションと差別化を図るため、茶室やワインセラーなどを共用施設にしたりドアマンを配置したりする物件もあります。
4-3.高層階は眺望と日当たりが良いことが多い
周囲に建物のない高層マンションの場合、上階は眺望と日当たりの良さが大きなセールスポイントになるでしょう。特にマウンテンビューやオーシャンビュー、注目のランドマークが見渡せるといった物件は人気があります。
4-4.人気物件はリセールバリューが安定している
人気の高層マンションの要素がそろった物件はリセールバリューが有利なため、資産価値が安定している傾向です。人気に影響のある要素としては「好立地」「共用施設の充実」「眺望の良さ」などが挙げられます。
5.高層マンションのデメリット
高層マンション(タワーマンション含む)の中には「修繕積立金が割高」「エレベーターが止まる」など社会問題化しているようなデメリットもあるため、要注意です。
5-1.管理費や修繕積立金が割高
高層マンションは、共用設備が充実している分、管理費が割高な傾向です。また大規模修繕時の際、上階のメンテナンスに工数がかかるため、修繕積立金が割高なケースもあります。
5-2.部屋とエントランスの移動に時間がかかる
高層マンションは、時間を効率的に使いたい人に向かないかもしれません。なぜなら、例えば上階に住んでいる人がエントランスに出ようとした場合、エレベーターの待ち時間やエレベーターに乗っている時間で所要時間がかかってしまう可能性があるからです。
5-3.夏場は日当たりが強いので冷房費がかさむ
日当たりの良さは、周囲に高層の建物のない高層マンションのセールスポイントです。ただこの魅力も日差しの強い夏場などは、日当たりが強すぎて冷房費がかさむため、デメリットになってしまいます。
5-4.災害時にエレベーターが止まるリスクがある
地震の影響、あるいは、台風による停電などによって高層マンションのエレベーターが止まることもしばしばです。上階に住んでいる人は、階段で昇り降りする必要があるため大きな負担です。仮に、マンション自体に、自家発電装置がついていても、安全確認のためにエレベーターが止まることもあります。
6.初めての一棟物件投資なら低層マンションがおすすめ!
では、ここまでの内容を踏まえて不動産投資で低層マンションと中高層マンションどちらを選ぶとよいのでしょうか。「初めての一棟物件投資」という観点でいえば低層マンションがおすすめでしょう。なぜなら中高層マンションと比べると投資金額を抑えやすいからです。また競合物件が少ないケースが多いため、長期的に安定経営をしやすいのも魅力といえます。
7.メンテナンス費・修繕費をしっかり見積もって経営計画を
低層マンション経営の注意点についても触れておきます。低層マンションのメリットの一つは「共用設備への導入・メンテナンスのコストを抑えやすいこと」でした。しかし外壁や躯体のメンテナンスには、適正なコストの投入が必要です。
物件の手入れを怠ると、建物のイメージが悪くなったり、住宅の使い心地が悪くなったりすることで空室が発生しやすくなります。それを解消するため、家賃を想定以上に値下げすると、さらに修繕費が足りなくなり物件の手入れがしにくくなる悪循環に陥ってしまいます。
こういった最悪の状況を招かないためには、定期メンテナンス費や大規模修繕費をしっかり見積もった上で経営計画をつくることが重要です。それでもリターンを確保できると自信を持って言えるときだけ低層階マンション経営を選択すべきでしょう。
8.低層マンションについてよくある質問
最後に解説してきた低層マンションのポイントをQ&A形式でまとめました。
8-1.Q:何階までが低層マンションなのか?
定義はありませんが、3〜5階前後というのが一般的です。
8-2.Q:低層マンション投資がおすすめの理由は?
低層マンションは、物件数が限られるため、競合が少なく安定経営しやすいのが魅力です。ただしエリアによっては競合が激しいこともあるため、綿密なリサーチを忘れないようにしましょう。
8-3.Q:最初に投資するなら低層と高層、どっちがいい?
「投資規模が小さい」「共用施設への投資が少ない」などの理由から、初めての一棟物件投資には低層マンションが向いています。
8-4.Q:災害時に強いのは低層と高層、どっち?
高層マンションの場合、エレベーターが止まると上階からの移動が大変です。一方で低層マンションは階段で無理なく昇り降りできるため、災害時に強いといえるでしょう。
8-5.Q:資産価値が安定しているのは低層と高層、どっち?
住宅地にあることの多い低層マンションは環境変化が少ないため、長期的な安定経営を重視する人と相性がよいでしょう。
(提供:YANUSY)
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