(本記事は、金村秀一氏の著書『生産性が3倍になる!右肩上がりの会社が必ずやっている現場ルール』=自由国民社出版、2019年3月30日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

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マネージャーになったらまずやっておきたいこと

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(画像=VGstockstudio/Shutterstock.com)

マネージャーになったら、まずやったほうがいいのが、部内における「思想教育」です。

「思想」というとちょっとあやしく聞こえるかもしれませんが、会社で目指す「軸」が同じか? 同じ方向を向いているか?をすり合わせすることが大切です。

マネージャーは、週1回20~30分程度、「私はこう考えている」「こう思っている」ということを伝えていきましょう。そうして、部内の言葉や考え方の軸を合わせていくのです。

具体的には、自分が何をどう考えているか?何を大切にしているのか?を伝えることです。ここではあなたが話す場です。思いのたけを存分に伝えます。

ここで注意したいことがあります。それは、「ああしろ」「こうしろ」という指示は一切しないことです。

実は社員教育もこの思想教育が一番大切です。社外研究や技術教育ばかり重要視しがちですが、そればかりだと、理論武装した社員が増えて考え方に「ズレ」が生じます。

よく、社外研修や出向などを経験した社員が、戻ってきてすぐに会社を辞めてしまうということがありますが、これも思想にブレがあるが故です。上司は、社外で学んだことを、会社内に落とし込んでもらい、それを活かして会社の活性化につなげよう、と考えています。けれど、研修に行った社員が自身の経験を社内に伝えるでしょうか?

まず伝えないでしょう。なぜなら、自分の経験をほかの人に語ることで、ライバルが一気に増えてしまうからです。たいていの社員は自分の経験を口外せずひとりで抱え込みます。そして、その経験を武器に、やがてほかの会社へ移るのです。その社員が辞めてしまったら、せっかくの社員教育もゼロになってしまいます。

もし、社員を社外研修に出したいのであれば、誰かではなく「全員」研修させたほうがいいでしょう。そうすれば、社内で群雄割拠し、お互いに切磋琢磨するでしょう。これなら、社員全体のレベルアップもはかれます。

共通言語を持とう

いわゆる「業界用語」と呼ばれる言葉があります。同じ業界にいる人にしかわからない言葉や言い回し、専門用語が日常の言葉として使われます。それと同じように、会社や同じ部内での共通言語があるといいでしょう。

私の好きな言葉に、「言葉は人を区別する」があります。世界を考えてみると、たとえば、日本人は日本語を話すことで区別されます。島国という環境で、共通言語として日本語をしゃべることで距離が縮まり、絆が深まります。そこに、たとえばアフリカの人がやってきて、まったく違う言葉をしゃべったとしても会話は深まりませんし、なかなか距離も縮まらないでしょう。そう考えると、「言葉を合わせる」というのは、集団において非常に重要なことだと思うのです。

たとえば、サントリーでは、お酒を飲む前に「乾杯」とは言わず、「スコール」と声をかけるそうです。「スコール」とはデンマーク語で「乾杯」を意味する語です。サントリーの人が、ビール技術を学ぼうと視察に訪れたデンマークのカールスバーグ社の伝統にのっとって、この掛け声が使われるようになったと言われています。自分たちだけの言葉を持つことで、社内の一体感はより深まるでしょう。

私の会社では、「愛が足りない」という表現をよく使います。「愛」は、「関心を持つ」ことを意味します。つまり、「愛が足りなかったね」は、「関心が足りなかったね」ということです。ほかには、嫌味を込めた、「フツーだね」という言葉もあります。「普通すぎてイマイチだね」というような意味合いです。言葉の一致は大切だと考えているので、社内では定期的に言葉を合わせる勉強会を催しています。

社内や部内において、共通の言語や考えがあると、その中の人たちの考え方にブレが少なくなります。共通の「軸」のようなものがあるので、「なぜあの人はわかってくれないのだろう?」というすれ違いが減るのです。

家族もそうですよね。「家」「族」と言われるのは、言葉が合っているからです。同じ時間をともに過ごしているから、わかり合える共通言語を多く持ち合わせています。

「族」という文字がつくのは、民族、部族のほか、家族と暴走族くらいしかありません。それだけしっかりとした絆でつながっている、ということではないでしょうか。私はそれに加えて、いつか「社族」という言葉も流行らせたいと思っています。

すり合わせという意味では、共通言語と同じく、社内で使ってはいけない共通の「NGワード」もあります。私の会社では、「頑張ろう」という言葉は禁句です。なぜなら、「頑張る」は人によって解釈がまったく異なるからです。部下が「頑張ります」と言ったら、私は「そうかあ。すごいなあ。何を?」と聞き返し、具体案を箇条書きにするよう言います。

今や、私の前で「頑張ります」と言う社員はほぼいません。「頑張ります」だと何をどう頑張るのかわかりませんが、「〇〇の回数をこのくらい増やします」とか「3倍やれるようにします」であれば、誰にでも理解できます。それに、具体的に言えば言うほど、成果が出ます。

このように、社内、部内で共通言語を持つことによって、ぐっとまとまりが出てくることはたしかです。

「やり方」のすり合わせをしよう

部内の考え方の「軸」を合わせるために、大切なことがひとつあります。それは、会社の方針とマネージャーの考えで、共通している部分だけを話すことです。

「会社はこうなんだけれど、私はこう思う」と伝えたのでは、考え方の「軸」を合わせることにはなりません。「会社がこれを求めているから、私はこういうやり方でやっていこうと思う」と伝えていくのです。

たとえば、高校の野球部のキャプテンは、まず「部の方針」を出しますよね。「僕がキャプテンになったら、こういうふうに部を引っ張っていきたいです!」とあいさつするでしょう。ただし、ゴールは「甲子園」とあらかじめ決まっています。甲子園を目指すという目標は、キャプテンが決めたことではありません。

仕事もそれと同じことではないでしょうか。

ゴールはあくまで会社から言われているところに設定します。それをどのように達成するのか?早くやるのか、じっくりやっていくのか。ギアの入れ方はマネージャーが決めることです。具体的には、「量をこなすから少しハードになるかもしれないけれど、みんなで声を掛け合っていこう」とか「ノー残業を目指していこう」などです。

そういった「やり方」のすり合わせが、部内の一体感につながっていくのです。

ひらめいたことは全部やる「全部戦略」

コンサルティングをしていると、「いったい何をやったらいいですか?」と聞かれることがあります。何をやったらいいかを考えているということは、何か「やろう」と思っていることがある、ということです。であれば、それらの中から「どれか」を選ぶのではなく、「どれも」全部やってみることが大切です。

人は、今や未来の自分に必要なこと以外は気になりませんし、思いつきません。逆に言うと、自分に必要なことだから気になるし、思いつくのです。   私は、ふとひらめいたことはすぐにメモに取り、それらをすべて実行することにしています。これを「全部戦略」と呼んでいます。たとえば、本を読んで「いい本だな」と思ったら、著者に感想を送ることにしています。それが高じて、急遽ニュージーランドを訪れることにもなりました。

ある本に感銘を受けたので、著者に感想を送ったところ、返信をいただきました。そこで、「会っていただけますか?」と聞いたところ、「来ていただけるのでしたらいいですよ」という答えが返ってきたのです。ところがその方はニュージーランド在住でした。

でも、この人に会いたいと思ったのには、きっと今の自分に意味があるからだ、と考え、スケジュールをなんとかやりくりして、3カ月後には本当にニュージーランドに向かったのです。ここでの経験は、私にとって非常に大きな実りとなりました。   たとえば、思いついたことが10個あったら、まずどれからはじめるか、順番を決めましょう。

そして、優先順位の高いほうからひとつ一つ行なっていくのです。

絶対にやってはいけないのが、思いついたことをいっぺんにはじめることです。焦って同時並行に手を出すと、どれもうまくいきません。大切なのは、順番にひとつずつ実行することです。

もし、この本を読んで、「この著者と話をしてみたいな」とひらめいた方は、ぜひご連絡ください。ひらめきを大切にすると、事態が自分の思ってもみなかった方向に好転しますよ。

牽引の法則

なぜひらめいたことはすべて実行したほうがいいのでしょうか?

それは、人間の脳の働きに関係しています。

脳には「魂」と「意志」の力が働いている、と私は考えています。「自分はこうしたい!」と願う意志の力が脳を動かし、ひらめかせるメカニズムがあるのです。

私はかつて高血圧で病気持ちだったのですが、今、薬を飲まない状態にまで回復できたのは、この意志が脳を突き動かしてくれたからだと考えています。私は脳に対して、「おまえが私を高血圧にしているのを知っているからね。でも、血圧を下げられることも知っているよ。俺にはできないけれど、キミなら血圧を下げることができる!」といつも心の中で言い続けました。

そこで何が起こったかというと、「ひらめき」が起こったのです。

それはどういうことかと言うと、脳が「運動しなさい、走りなさい」というような指令をストレートに伝えてくるわけではありません。たとえば、テレビをつけたら、ちょうどマラソンの大迫傑選手が日本代表で1位をとるシーンが映っていたとか、陸上大会の様子が映し出されていた、ということが重なりました。

そして、走る選手たちのその姿がものすごくかっこよかったのです。それを見ているうちに、「走るのってやっぱりかっこいいな。もっとランニングしたいな」と思うようになり、それまでサボりがちだったランニングの量が増えたのです。

またあるときは、走っている途中で突然「寿司」が頭の中にひらめきました。私はメモを書くことができなかったので、あわててスマホに音声で「寿司」と入力しました。なぜ突然「寿司」が思い浮かんだのかと後から考えてみると、「高血圧には肉よりも寿司などの和食のほうがいいぞ」という脳からのメッセージではないか、と思っています。

これらを一連の事象を「牽引の法則」と言うようです。たとえば、遠くにいる身内になにかが起こったときにふと感じる「虫の知らせ」なども、この牽引の法則のひとつです。脳が、今の自分に必要なメッセージを「ひらめき」という形で伝えてくれるのです。

そう考えると、ひらめきを大切にしたほうがいい、という理由もお分かりいただけるのではないでしょうか。

同じ人が同じことを同じやり方でやると、結果は同じ

物事がうまくいかないときには、どうしたらいいでしょうか? 何度も繰り返し、粘り強くやってみることが必要でしょうか。

同じ人が、同じことを、同じやり方でやると、どんなに頑張ったとしても結果は同じです。結果を変えたければ、人か事、やり方のいずれかを変える必要があります。

物事すべてには構成要素があります。

たとえば、缶コーヒーの中身は、何からできているでしょう? 大きく考えると、水とコーヒー豆、砂糖です。

では、これにミルクを足したらどうなるでしょう? カフェオレになります。

では、缶コーヒーの中身からコーヒー豆を抜いたらどうなりますか? ただの砂糖水になるでしょう。このように、構成要素を変えると、結果は変わります。これは仕事でも同じことが言えるでしょう。

私は、会社の経営が倒産の危機に直面したとき、これまで行なってきた、飲食と人材派遣業にプラスして、新しく経営コンサルティング業という種をまくことにしました。私と社員という人は変えようがない。であればそのほかを変えれば必ず結果は変わると考えたからです。その後、私の会社はV字回復できましたが、それは事とやり方の両方を変えたからだと思います。

今の会社で、人は変えられないし、業務だってそれほど変わらない。でも、状況を変えたい、と思っている方がいたら、ぜひやり方・考え方を変えてみてください。結果は必ず変わるはずです。

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金村秀一
ウィルウェイグループ代表取締役社長。成功し続ける社長のための経営塾『100年塾』塾長。1973年東京生まれ。東京国際大学卒。1995年弱冠21歳の時に創業。企業のWEB制作や顧客管理、マーケティングサポート、飲食業界、人材派遣業界など会社の成長ステージに合わせて事業を展開し、創業社長として今期25年目を迎える。経営計画書と環境整備を主軸とした経営により、労働生産性は中小企業の3倍と高い生産性を実現。少数精鋭の強みを生かしながら、過去最高益を更新し続けている。これまで四半世紀の経営経験から得たノウハウと、右肩上がりの高収益企業を創造する経営計画書による経営の仕組みを、社員30人未満の小さな会社の社長を対象とした経営塾『100年塾』で2012年から主宰。全国各地であらゆる業種の組織改善・業務向上の指導を行う。現役社長が直接指導する経営手法は多くの社長たちから反響を呼び、お客様満足度は92・6%、全国各地での講演・セミナー開催は年間90回を超える。主な著書に『赤字社員だらけでも営業利益20%をたたき出した社長の経営ノート』(角川中経出版)、『社員29人以下の会社を強くする50の習慣』(明日香出版)など、累計3万部を超える。

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