2019年7月2日11時すぎに小林芳彦さんに直接聞いた最新の相場観と戦略をご覧下さい。(提供:羊飼いのFXブログ※チャート付き)

現在の為替相場の傾向や相場観

羊飼いのFX突撃取材
(画像=PIXTA)

米中貿易摩擦の件で、以前から「継続協議」になると考えていたが、実際その通りにはなった。マーケットはそれを相当好感してドル買いを強くかけている。これはおそらく、米中首脳会談後、日本のマスコミがファーウェイ問題に関して「解禁」という言葉を使ったことが大きいのだろう。しかし、ファーウェイ問題は実際にはファーラウェイだと思っている。トランプ米大統領も「国家安全保障上問題がなければ、ファーウェイに汎用品のみ売ってもいい」と発言。これを6月30日(日)の段階で述べていた。そして7月1日(月)か2日(火)に米商務省で詳しく協議するということだった。となると6月30日(日)の段階では実際解禁ではなかったわけだ。また、NEC(米国家経済会議)のカドロー委員長は「米商務省は汎用品のみ、追加のライセンスを認める」、そして「国家安全保障上の懸念は依然として最重要だ」という発言をしている。つまり自由貿易を認めているわけではない。中国側はファーウェイに関する規制の解除を要求しているが、そう簡単に米国も受け入れないだろう。これまでファーウェイが国家安全保障上問題があるということでリストに加えたわけで、トランプ米大統領もリストから外さない旨を述べている。よって実情は何も変わっていない。中国の新聞が「90%は合意に達した」と報道したが、これは米ムニューシン米財務長官が話した内容と同じ。しかし残りの10%があまりに概念的にかけ離れているため、簡単に100%合意に達することはないだろうと中国の新聞も書いている。以前は顔を合わせることすら難しかった米中だが、そこから「継続協議をしましょう」というところまでは確かに進展した。米中が険悪なままだと、世界経済の停滞を招くという懸念も大きかったからだろう。しかし、テーブルに着こうという姿勢はお互いにみせてはいるものの、米国側は制裁解除も言わないし、一方、中国側はファーウェイを自由に貿易させてファーウェイ製品を買えとの要求だが、米国もそれは簡単に飲めない。米中どちらとしても簡単に妥協はできない。よって合意はむずかしく、合意への道のりはまだまだ長そうだ。

現在の為替相場の戦略やスタンス

米ドル/円に関しては、これまで売られ過ぎすぎていた分の損切りで上に跳ねてしまった形だ。日足チャートをみると21日移動平均線を完全に超えており、テクニカルにみればドル買いが強まっても仕方ないだろう。しかし目先は確かにドル買いが強いかもしれないが、大きなトレンドがドル買いに変わったわけではないと思っている。今週の米ドル/円の予想レンジは107.30~108.80円。基本的には揉み合いながら上値の重い展開と考えている。108.80円を超えたとしても109円台はかなり重いだろう。戦略としてはひきつけて売りから入りたい。

小林芳彦
1979年3月慶応義塾大学商学部卒、同4月株式会社協和銀行入行。 外国為替研修生・営業店外国為替業務経験後、1987年から本店資金為替部調査役。 インターバンク(フォワード)ディーラー・カスタマーデスクヘッドなどを歴任後、1989年10月よりクレディスイス銀行(資金為替部長)、1997年クレディスイス・ファーストボストン銀行(シニアセールス)、1998年バイエリッシェ・ヒポ・フェラインス銀行(為替資金部長)、2001年バンク・オブ・アメリカ(為替資金部営業部長)で当局を含め、数十社の法人顧客を担当。「ユーロマネー誌(日本語版)」顧客投票「日本のディーラー・ベストセールス部門」を6年連続第1位、過去7回受賞。「短期為替予測部門」を5年連続第1位受賞。

羊飼い(ひつじかい) FXトレーダー&ブロガー
羊飼いのFXブログ」の管理人。2001年からFXを開始。ブログで毎日注目材料や戦略を執筆配信中。トレードはスキャルがメインで超短期の相場観には自信あり。