第2次安倍政権と日本銀行がタッグを組んで進めてきた財政政策により、2019年にかけて日本経済は緩やかに回復してきたかのように報じられています。ただ、その恩恵が“景況感”として社会全体に行き渡っているわけではありません。また足下の景気状況もにわかに悪化しつつあります。少子高齢化による人口減が避けられない日本社会において、経済を底上げするようなプラス要因は、なかなか見当たらないのが現状でしょう。
一方で、堅調なのが首都圏をはじめとするオフィスビルの需要です。オフィスビル仲介大手の三鬼商事が発表したところによると、2019年5月時点において、東京ビジネス地区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区(都心5区))の平均空室率はわずか1.64%。バブル経済期である1991年末の1.79%を下回る高水準となりました。このようにオフィスビルに関しては、景気の良さを反映しているようです。
日本の不動産は堅実な投資先となった
こうした傾向を受け不動産が投資先として注目されています。とくに東京をはじめとする都市部では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックが控えているため、経済の盛り上がりとともに不動産需要の増加が期待されているのです。また2025年には、大阪で1970年以来となる国際博覧会(万博)が開催されるなど、東京以外の大都市にも視線が注がれており、投資候補としても挙がりやすいでしょう。
たしかに日本経済の先行きが不安定なことに変わりはありませんが、堅調なオフィス需要と各種イベントによる盛り上がりを背景に、投資先としての不動産は見逃せません。不動産を保有しているオーナーや、これから投資しようと考えている富裕層の方は、そうした需要の動向を精査しつつ、戦略的に判断することが求められます。「賃貸として運用する」「転売して利益を得る」といったどちらの場合も、その点は同じです。
売却は外国人投資家も視野に入れて
インカムゲイン狙いで不動産を運用する際はもちろん、とくにキャピタルゲインを狙って保有物件を売却(転売)しようと考えているのなら、“外国人投資家”も視野に入れるようにしましょう。一時期のような“爆買い”と呼べる状況ではないものの、「優良物件があれば投資したい」と考えている外国人投資家は少なくありません。では、そんな外国人投資家には、どのような特徴があるのでしょうか。
外国人投資家の代表である“中国人投資家”
中国は2011年1月20日に日本のGDPを抜いて世界第2位の経済大国となりました。2019年7月3日時点で約13億9,700万人の人口を有することもあり、これから先アメリカとともに世界経済をけん引していくことは間違いありません。そんな中国では、経済成長とともに富裕層の数が増加しています。また、中間層の投資意欲も高い傾向です。
彼らの中には、政治的な不安がある本国の不動産ではなく「日本の不動産を購入したい」と考えている人も少なくありません。
投資対象になりやすい不動産の特徴
もともと投資を好む国民性があることもあり、中国人投資家は、「外国人投資家の中でも筆頭」と考えていいでしょう。とくに自国に対する不安や不満を抱えている人は、日本への移住も視野に入れた投資を検討している傾向です。その点において、居住権を含む「経営管理ビザ(投資家ビザ)」を視野に入れ、投資と事業を担える不動産が狙い目だと考えられています。
交渉時に注意するべきポイント
また大きな傾向としては、区分所有よりも土地の所有権がつく一棟ものを好む傾向があります。それは、中国本土において“土地使用権”が中心であること、さらに子孫に残すという意識が強いということと密接に関連しています。その点において交渉時には、権利関係を明らかにしたうえで条件を提示しつつ、あいまいな返事をせずに明確な意思表示を行うことが大切でしょう。
市況をふまえて適切な判断を
中国人投資家にかかわらず、投資家が見ているのはあくまでも数字です。適切なエビデンスを提示しつつ、より魅力を感じてもらえるような情報を提示し、交渉を有利に進めていくようにしましょう。お互いに関係性を深めていけば、中長期的な取引に発展する可能性もあります。市況をふまえて、適切な判断をするように心がけてください。(提供:YANUSY)
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