内外株式の販売が低迷

投信動向
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2019年6月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、5月から引き続きバランス型、外国株式、国内REITに資金流入があった【図表1】。特にバランス型と外国株式の流入金額はともに1,000億円を超えた。その一方で、外国債券と国内株式は資金流出となり、外国REITと国内債券は資金の動きがほぼなかった。ファンド全体でみると6月は1,500億円の資金流入となったが、5月の3,900億円の流入から減少した。国内株式が5月は700億円の資金流入だったのに対して、6月は700億円の資金流出に転じたことが大きかった。

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国内株式では、アクティブ・ファンド(SMA専用、DC専用除く)からの流出金額が700億円を超えた。3月以降はアクティブ・ファンドからの資金流出が続いているが、6月は5月の400億円の流出から増加し、流出が大きかった4月の1,100億円に次ぐ規模となった。なお、アクティブ・ファンドの中では、中小型株のアクティブ・ファンドからの資金流出が300億円と大きかった。

アクティブ・ファンドに加えて、6月はSMA専用ファンドが200億円の資金流出に転じ、インデックス・ファンド(SMA専用、DC専用除く)やDC専用ファンドへの資金流入も鈍化した。特にインデックス・ファンドでは資金流入が6月は150億円と5月の800億円から急減した。6月初めの株価の下落に伴って逆張り投資と思われる資金流入がインデックス・ファンドにあったが、5月の急落時と比べると小規模であった。

外国株式については、全体でみると1,000億円を超える資金流入があったが、新設ファンドの大規模設定の影響が大きく、既存ファンドの販売は低迷していたようだ。6月末に設定されたテクノロジー系テーマ型である「グローバル・プロスペクティブ・ファンド」に1,100億円の資金流入があり、外国株式全体の流入金額を若干、上回っている【図表2】。つまり、外国株式はこの新設ファンドを除くと国内株式と同様に資金流出に転じていた。6月は新設ファンド以外にもテーマ型を含むアクティブ・ファンドの一部(赤字)に資金流入があった。ただ、それ以上に新興国株式ファンドや2018年以前に人気だったテーマ型ファンドからの資金流出が大きかった。

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6月は、米利下げ期待を背景に内外問わず世界的に株価が上昇したため、株価の上昇が株式ファンドの売却を促進していた面があるだろう。それに加えて6月は米中問題の動向が注目される中、月末にG20や米中首脳会談を控えていた。さらに国内株式については為替が一時1ドル107円を下回るなど円高が進行していた。そのため、株価は上昇しても先行き不透明感から慎重になっている投資家が多くいたと考えられ、そのことが内外株式ファンドの販売に影響したと思われる。

高頻度分配型ファンドが復調か

バランス型には6月、1,300億円の資金流入があり、5月の1,600億円と比べるとやや鈍化したものの、2カ月連続で最も資金流入が大きい資産クラスとなった。また、国内REITはバランス型や外国株式と比べて流入金額こそ小さいが、5月から流入金額が倍増し400億円を超えた。国内REITに400億円以上の資金流入があったのは2017年1月以来、2年5カ月ぶりのことである。6月は内外株式の投資意欲は低調であったが、その一方でバランス型や国内REITへの投資意欲は堅調であったといえよう。

ここで資金流入が多かったファンドをみると、様々な資産クラスの高頻度分配型ファンドが人気を集めていたことが分かる【図表2:太字】。ここ2、3年、高頻度分配型ファンドの人気にやや陰りがみられていたが、足元、再び高頻度分配型ファンドが投資家に見直されてきているのかもしれない。

高頻度分配型ファンドの資金流出入をみると、高頻度分配型ファンドは2017年5月から資金流出が続いていた【図表3】。人気ファンドが分配金の引き下げを発表したことをきっかけに2016年12月以降、外国REITの高頻度(毎月)分配型ファンドでは大規模な資金流出に見舞われていた。さらに2017年に入ると金融庁が高頻度分配型ファンドを問題視したことも逆風となった。外国株式やバランス型などの一部の高頻度分配型ファンドには資金流入があったものの全体でみると流出超過となり、特に2017年11月には近年最大の3,500億円弱の資金流出となった。それ以降、流出金額は鈍化傾向にあったものの資金流出が続き、純資産総額(線グラフ)も減少した。それが流入金額こそ500億円に満たないが、2019年5月に2年ぶりに資金流入に転じ、6月も資金流入が継続した。

テクノロジー系のテーマ型株式ファンドが、高頻度分配型ファンドから資金流出が続いた期間に高頻度分配型ファンドに取って代わるように投資家の人気を集めた。しかし、足元では株価の先高観が乏しく、テーマ型株式ファンドは短期的には基準価格の上昇を期待しにくくなっている。そのため、高頻度分配型ファンドが再び資金流入に転じたのは、基準価格の上昇(含み益)を狙うよりも着実に分配金を取りに行こうとする投資家が増えていることが背景にあるのかもしれない。6月に資金流入が増加した国内REITでも、400億円の資金流入のうち300億円は高頻度分配型ファンドだった。

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資源関連ファンドが好調

6月にパフォーマンスが良好であったファンドをみると、資源関連ファンドが好調であったことが分かる【図表4】。6月に中東問題の緊迫化などから金価格や原油価格が上昇したことが追い風になった。その他、トルコ国内のインフレ鈍化を受けてトルコ債券ファンドも高パフォーマンスであった。

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前山裕亮(まえやまゆうすけ)
ニッセイ基礎研究所 金融研究部 准主任研究員

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