4月下旬からスタートした3月決算企業の本決算発表も5月中旬に終了しましたが、日本経済新聞の集計によると前期は自動車や機械などの製造業の苦戦が目立ち純利益が小幅ながら3期ぶりの減益となってしまいました。しかし、こうしたなかでも健闘し前期に過去最高益を更新した銘柄もあります。
そしてそうした銘柄のなかには前々期に続いて最高益を更新した銘柄もみられます。そこで投資のヒントでは5割以上や3-4割台、2割台、さらに1割台後半の大幅な増益で前々期の最高益を更新した銘柄を取り上げてきましたが、今回は1割台前半の営業増益で前々期の最高益を更新した3月決算銘柄をピックアップしてみました。例えば大林組(1802)やIHI(7013)、東京エレクトロン(8035)などが1割台前半の増益で最高益となっています。
<決算メモ>
●セブン&アイ・ホールディングス(3382)- 国内外コンビニが健闘し営業利益は計画を上回って着地 -
セブン&アイ・ホールディングスが4日に発表した2020年2月期の第1四半期決算は売上高に当たる営業収益が前年同期比0.2%減の1兆5965億円、営業利益が同4.6%増の903億円と減収増益となりました。営業収益は子会社の売却やイトーヨーカ堂の店舗数の減少などにより微減となりましたが、営業利益はスーパーストア事業や百貨店事業、金融事業、専門店事業の減益を国内外のコンビニ事業の増益がカバーしたことで増益となり会社計画を51億円上回りました。
国内コンビニ事業と海外コンビニ事業はともに好調でした。国内コンビニ事業は販管費が広告宣伝費の削減などで14億円の増加に止まるなか、既存店売上高がわずかにプラスを維持したことや店舗数増加での52億円の増益と、粗利益率の改善による6億円余りの増益などで47億円の営業増益となっています。また、海外コンビニも既存店売上高が3.4%増と堅調だったことや粗利益率が改善したこと、さらにガソリン販売の収益が向上したことなどから35億円の増益となりました。
一方でスーパーストア事業と百貨店事業は苦戦しています。スーパーストア事業ではヨークベニマルがロスの削減や価格政策の見直しを進めたことでなど7億円の増益となりましたが、イトーヨーカ堂が20億円の減益となったことなどから19億円余りの減益となりました。また、百貨店事業も7億円近い減益となり3億円以上の営業損失となっています。こうしたなかセブン&アイ・ホールディングスは10月にイトーヨーカ堂とそごう・西武の改革プランを発表する予定です。
金山敏之(かなやま・としゆき)
マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト
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