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今週の総括

★結果的に小動きだが、円高・金利安・金価格高は継続。特に金上昇は気になる動き

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今週の日経平均は、史上最高値更新の米国株に連れ高となるも、21,800円手前で足踏みが続いた。

先週末のG20期間中の米中首脳会談において、米中貿易協議の再開、米国の中国への追加関税見送りに加え、中国通信大手ファーウェイへの部品輸出一部容認したことが好感され、米株価が上昇した。国内株も週明けは上昇したものの、今週に発表された米中両国の経済指標が低水準に留まったことや、米雇用統計発表を週末に控えた様子見モードもあって、上値が重い展開となった。

業種別にみると、海運・空運、建設、小売、医薬品、保険、電気機器、不動産、商社が騰落率上位に並び、一方で、資源株、鉄・非鉄、精密、化学、証券などの動きが弱かった。円高が続く中でも輸出関連株は平均的な動きで必ずしも売られていない点は先週と同じ。騰落率上位の業種は、前週・前月の反動というよりも、5月・6月を通して買われず売られずで、あまり物色の対象となっていなかった業種が、今週は拾われている印象がある。

来週以降の見通し

★上値の重い展開が続きそう

日経平均想定レンジ 20,500~21,800円

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来週の日経平均は、上昇のキッカケがつかみづらく、こう着感のある展開が予想される。

米中通商協議が再開されることになったが、すぐに合意して、お互いの既存の制裁関税が解除される訳ではない。3月までと同様に、ニュースや発言に市場の期待値が揺れ動く展開が続くものの、着地点の見通しは相当先になるまで見えてこないことは変わらないだろう。その一方で、米中摩擦があっても無くても、中国の景気は2017年ごろと比べれば減速モードにあることは変わらないし、米国経済も利下げを検討するということは、2017~18年よりは景気が減速している状態にある。昨年に急減速した半導体、スマホなどのハイテク市場はまだ回復の兆しが出てきた訳でもない。そして他の金融市場をみると、米長期金利は節目の2%を割り込み、金価格も1,400ドルを超えたままだし、ドル円相場も一時1ドル108円台を回復したものの、週後半は同107円台の円高に戻っている。株価以外はリスクオフの状態のままである。

これらの景気減速の流れや金利・為替の状況をみれば、株価上昇に向かう局面とは言えない。ファーウェイ向け輸出容認と利下げ期待により米株価が上昇した、と言っても短期的な動きに留まり、いずれジリ貧の展開となる可能性の方が高いように見える。

コラム:然なるままに

今週の朝日新聞デジタルに、自動車運搬船の火災事故の記事が載っている。6月中旬にフィリピン沖で火災を起こし、乗組員25名は全員救助されたものの、船自体は洋上で放棄され、漂流したらしい。それから2、3週間経っているので、何がしかの対策が取られているとは思うが、続報が見当たらないので、その後の状況は不明だ。

川崎汽船の船で全長約200m、総トン数約6万トン。積み荷は欧州からの輸入車で約3,300台。記事によれば、フィリピン経由、6月末に日本到着予定とのことで、全車が日本向けとは限らないが、それなりの台数が届かなくなってしまったようだ。

国産車を購入する場合、形式、色や内装などのバリュエーションを選んで注文すると、新発売直後やよほどの人気車を除けば、数週間で手元に届くだろう。一方で、輸入車の場合は、到着済みのディーラー在庫と運搬途中の到着予定リストの中から自分の希望に近いものを選ぶことが多い。新たに好みの色などを指定した場合は、最低でも3~6ケ月待つ必要がある。今回の船に搭載されていた車両を購入予約していた人たちは、今ある在庫か次の船の積み荷から選び直すことになる。

こうした注文方法は、どの国でも同じという訳ではない。例えば米国では、個別に注文するケースは少なく、ディーラーの在庫から選ぶのが一般的。広大な敷地に数百台、数千台と並べられている中から、希望に近いものを選ぶ。そしてサインしたら、その場で記念写真を撮り、そのまま新車に乗って帰るのが普通。工場側は、個別の注文で作り分けるのは効率悪いし、国土が広くて運搬費用も日数もかさむから、ディーラー間で在庫のやり取りなんかしてられないということだろう。米国的な効率重視の考え方とも言える。日系メーカーも米国では米国流で販売しているが、先に作って選んでもらうのが同じだから、現地メーカーに対して不利になりにくそうだ。

話が飛ぶが、国により違うのは金融も同じ。日本以外は小切手口座が主流で、自動引き落としは珍しい。クレジットカードはリボルビング払いで金利を払うのが主流だし、ATMで硬貨が入金できるのは珍しく、数十年前からATMで振込できたのも珍しい。日本で現金使用が多いのは、中国や米国と違い、偽札が少ないからだったりする。想像以上に相手はこちらを知らないし、こちらも相手を知らない。そんなものである。

田村晋一,松井証券
松井証券ストラテジスト 田村 晋一(たむら しんいち)
京都大学経済学部を卒業後、太陽神戸三井銀行(現三井住友銀行)に入行。米国MBA 留学、外資系大手コンサルティング会社勤務等を経て、UBS 証券、ドイツ証券、バークレイズ証券にて銀行セクター担当アナリストとして豊富な経験を積み重ねる。

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