投資信託はどのタイミングで売却(換金)すればいいのだろうか。投資信託を売るのは簡単だが、時期を間違うと後悔することもある。売却を検討する5つのタイミングと、税金や売り方など知っておきたいポイントをお伝えしたい。

投資信託の売却を検討する5つのタイミング

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(画像=SergeyP/Shutterstock.com)

投資信託をいつ売却すべきかは状況によって異なるが、事前に基準を決めておけばいざというときに迷わなくて済む。投資信託を売るタイミングを5つ紹介しよう。

売却タイミング1……人生のイベントなどで一時的に大きなお金が必要なとき

投資資産は人生のイベントなどで一時的にお金が必要になる際の備えとして利用できる。例えば、子供の進学や家のリフォームなどで大きなお金が必要な場合に、投資信託を売却することでお金を用意できる。

売却タイミング2……目標金額まで値上がりしたときや損切りの設定金額まで値下がりしたとき

自分のルールとして投資での利益確定や損切りの金額を予め決めておき、設定した金額に達したら機械的に売買することがよく行われる。例えば、買値から50%上昇したら利益を確定し、買値から30%下落したら損切りする、などである。

このようなマイルールを決めておけば、一時的な感情による売買を防ぎ、確実な利益確保や損失の拡大防止を期待できる。

売却タイミング3……資産配分のバランスが変わったとき

投資信託の基準価額は時とともに変化する。購入の際は資産配分を考え、適切と考えるリスクでポートフォリオ(金融商品の組み合わせと配分)を組んだとする。しかし、価格変動に伴って配分が変わり、投資リスクが高くなったり低くなったりすることがある。

そのような場合には、基準価額が高くなった投資信託の一部を売却して、基準価額が低くなった投資信託を買い増しすることでバランスを整えること(リバランス)ができる。

売却タイミング4……類似の投資信託よりも運用成績が劣る状態が続いているとき

同じ指標への連動を目指すなど類似の投資信託に比べて運用成績が劣る状態が続いているときは、その投資信託の運用の問題が疑われる。

例えば、自分が保有する投資信託のリターンが年3%で、他社が運用する類似の投資信託のリターンが年6%という状態が何年も続いているとする。そのようなケースでは、保有する投資信託の売却と運用成績の良い投資信託の購入による乗り換えを検討したい。

売却タイミング5……投資信託の純資産額が減少し続けているとき

投資信託の純資産額が減少し続けている場合には注意が必要だ。相場環境の影響で短期的に純資産額が減少しているだけであれば問題ないかもしれない。しかし、中長期的に純資産額が減少している場合は、投資家による売却が続いているか分配金の払いすぎの恐れがある。

純資産額が小さくなると運用に支障が出ることがあるため売却を検討したほうがいいかもしれない。

投資信託を売却するときに知っておきたい5つのポイント

次に投資信託を売却する際に知っておきたい5つのことを紹介しよう。保有する商品の状況を見ながら最適な売り方を選びたい。

投資信託を売却する手続きには「解約請求」と「買取請求」がある

投資信託を売却するには2つの手続きがある。それは「解約請求」と「買取請求」だ。

解約請求とは投資信託の一部を取り崩した資金を利用して換金してもらう方法である。一方、買取請求とは投資家が投資している投資信託を販売会社に買い取ってもらう方法である。

投資信託を売却する場合には、一般的に解約請求が行われる。投資信託の売却のことを「解約」と呼ぶことがあるのはこのためだ。

投資信託には一定期間売却できないものがある

投資信託は原則としていつでも売却できる。一方で、一定期間売却できない「クローズド期間」が設けられている投資信託もある。特に「単位型」の投資信託にはクローズド期間が設定されている商品が多いため注意したい。

単位型(ユニット型)とは、最初の募集期間のみに購入できる投資信託である。現在主流のいつでも購入できる投資信託を追加型(オープン型)と呼ぶ。

クローズド期間は投資信託説明書(目論見書)に記載されているため、投資信託の売買前に確認しておきたい。クローズド期間内であっても、投資信託を保有している本人の死亡や破産などの場合には投資信託を売却できることがある。そのような場合の手続きなどは販売会社へ問い合わせよう。

投資信託の売却受付時間と売却価格の決定日

投資信託の売却受付時間は午後3時までが一般的だが、投資信託や販売会社によって異なることがあるため事前に確認しておきたい。

投資信託の売却価格は売却を申し込んだ時点では決まっていない。売却価格は売却を申し込んだ後に分かる「ブラインド方式」となっている。

売却申込日の証券取引所が終了した後に基準価額が計算され、それが売却価格の元になる。投資信託によっては翌営業日の基準価額を元に計算されるものもある。売却価格の決定日は「投資信託説明書」で確認しよう。実際に売却した価格は後ほど発行される「取引報告書」で忘れずチェックしておきたい。

投資信託の売却にかかる費用と税金

投資信託を売却する際にかかる費用には、「解約手数料」と「信託財産留保額」がある。解約手数料は一部の商品を除き、ほとんどの投資信託ではかからないと考えていいだろう。

信託財産留保額は解約のペナルティによる費用と言えるものだ。投資信託が解約されると、投資信託の組み入れ資産を売却して投資家へ資金を支払うことになる。信託財産留保額はその際にかかる費用を解約者にも負担してもらうものだ。信託財産留保額も投資信託によってかかるものとかからないものがある。

解約手数料と信託財産留保額は、投資信託説明書(交付目論見書)などに記されているため、投資信託の売却前に確認しておくといいだろう。

また、投資信託の売却益には20.315%の税金がかかる。 投資信託の売却による利益や損失は、2009年の税制改正により株式等で得た利益と損益通算できようになった。損益通算は確定申告で申告分離課税(給与所得など他の所得とは別に税率計算して納税すること)を選択することで行うことができる。

投資信託の売却は複数回に分けることも検討

投資信託は積み立てや複数回に分けて購入することも多い。売却する場合にも全額まとめて売却するより、こまめに分けたほうが良い結果をもたらすことがある。複数回に分けて売却することは価格変動リスクに備えることになるからだ。基準価額の動きを見ながら売却方法を検討したい。

文・松本雄一(ビジネス・金融アドバイザー)/MONEY TIMES

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