昨日の海外市場では、米・6月小売売上高が市場予想+0.1%に対して、+0.4%と非常に強い数字を出したことから、ドル円は107.90円付近から一時108.374円まで上昇しました。ただ、その後は、トランプ大統領が「米中通商合意は長い道のり。必要なら追加関税を課す可能性」との発言が嫌気され、108.40円を目前にドル円は失速する展開になりました。ただ、小売売上高が好調だったこともあり、中国の1-6月期対米貿易黒字(1,404.8億ドル)が昨年同時期(1,337.6億ドル)を上回っていたことへのネガティブな見方が限定的になるとの思惑が、ドル円の底堅い動きをサポートしています。
トランプ大統領は、休戦中の米中貿易戦争に関して、「望めば中国に追加関税を課すことが可能」と警告しており、米中貿易戦争の長期化を暗に示唆しています。また、ドル売り介入の可能性を否定しないこともあり、積極的なドル買いに歯止めがかかってまっています。米中貿易摩擦の長期化は、両国のみならず世界経済に悪影響を与えているため、7/31のFOMCにて25bpの「保険的利下げ」はほぼ確定と考えてよさそうです。
ユーロについては、独・7月ZEW景況感調査が市場予想-22.0が-24.5という結果になったことを受け、ECBの金融緩和観測が急速に高まったことで、ドイツの10年債利回りは一時-0.308%まで低下する場面が見られました。また、上述した米・6月小売売上高が強い内容だったこともあり、ドル買いユーロ売りの動きが主導し、ユーロドルは一時1.12023ドルを示現しています。個人的な見方として、引き続き、7月にECBがフォワードガイダンスを変更、9月に超過準備の階層化を導入せずに10bpの利下げを行うとの見方に変更はありません。
今後の見通し
英国の保守党党首は来週の火曜日(23日)に決定しますが、候補者のジョンソン前外相は以前から強硬路線を引いていましたが、ここにきて、ハント現外相もブレグジットに関して強硬路線を主張しています。両候補とも、アイルランドの国境問題に関するバックストップ案を再交渉するとし、EUが再交渉を拒否するようであれば、合意なき離脱も辞さないとの見解を示しました。
また、ジョンソン前外相は、EUからの合意なき離脱を議会が阻止するのを防ぐために、来週首相に首相に就任した場合、10月に英国議会を最大2週間休会させる可能性を示唆しました。「合意なき離脱」前提の強硬路線を示していることから、ポンドの上値は、ここから一気に重くなる展開が想定されます。
ユーロドル、方向性は下落だが、短期的には買い戻しが強まりそう
利食いポイントなどの相場観にずれはなかったのですが、ポジションメイクする際の戻りを見誤りました。1.1200ドルでは一定の底堅さがあるため、一旦は買い戻し基調が強まると考え、1.1210ドルでのロングです。まだまだ基調は下落方向に向いていると考えられるため、利食い幅は小さいですが1.1250ドルでの利食い、損切りは1.1190ドルに設定します。
海外時間からの流れ
本日から明日にかけて開催されるG-7財務相・中央銀行総裁会議への警戒感が広がっているものの、21日の参議院選挙の投開票に向けて動きづらい地合いが継続していることもあり、本日も基本的には様子見の動きになりそうです。ただ、状況によってはポンドは急落の可能性があるため、この点には注意が必要でしょうか。
今日の予定
本日は、英・6月消費者物価指数/小売物価指数、米・6月住宅着工件数/建設許可件数、加・6月消費者物価指数、ベージュブックなどの経済指標が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。