・17日大引け後に第2四半期(4-6月期)決算報告
・予想売上高は191億8000万ドル、予想EPSは3.08ドル

米IT大手のIBM(NYSE:IBM)の前途には様々な苦難が待ち構えている。同社の売上高は減少傾向にあるが、レッドハットの大型買収で復活を遂げられるのだろうか。

ハードウェアやITサービスといった同社の歴史ある事業は近年伸び悩んでいる。

大企業向けのクラウドやAI事業ではアマゾン(NASDAQ:AMZN)やグーグル(NASDAQ:GOOGL)と競合しており、IBMはシェア獲得に苦戦している。

2018年の増収率は1%で、6年連続の減収となった。今年4-6月期の予想売上高は4%減の191億8000万ドル。通期売上高は778億ドルとなる見通しで、1990年後半以来の低水準だ。

IBM price chart
(画像=Investing.com)

IBMはメインフレーム(大型コンピュータ)やフロッピーディスクを世に送り出し、コンピュータ市場の草創期を支えた。

15日の終値は143.30ドルで、今年は25%以上上昇している。しかし過去5年間では25%下落しており、85%上昇となったナスダック100を大きくアンダーパフォームしている。

レッドハット買収はゲームチェンジャー?

最近の上げ相場を見て、またすぐに値下がりするのではと懸念する向きもあるだろう。確かに短期的にはまた下落する可能性があるものの、長期的には回復する見込みがある。

IBMのジニー・ロメッティCEOが描く成長戦略は、デジタル分野における新規市場を開拓し売上を伸ばすというものだ。前年まで同社は結果を出せずに投資家らを失望させていたが、いよいよ軌道に乗ったようだ。

米クラウドサービス企業レッドハットの買収がゲームチェンジャーとなるだろう。340億ドルにのぼるこの買収で、企業向けハイブリッドクラウドサービスといった高収益ソフトウェア事業が製品ラインナップに加わることになる。

Jefferies & Co.の予想によると、全企業のうち約85%が同社のハイブリッドクラウドサービスを採用する見込みがあるという。なお現在主流となっているのは、アマゾンのAWSのようなパブリッククラウドを自社のプライベートクラウドと組み合わせる手法だ。

今年4月までの1年間の同社総売上高のうち、クラウドサービス部門は4分の1を占めており、前年比では22%増となっている。レッドハットを買収したことでこの勢いはさらに加速するとみられる。

安定収益を望む長期投資家にとって、IBM株は買い銘柄といえる。同社は毎年フリーキャッシュフローのうち70-80%を配当に回している。年間配当利回りは上昇しており、自社株買いも継続して行っている。

IBM株の配当利回りは今後も高水準を保つとみられ、5-10年スパンの長期投資家に適しているだろう。最近の上げ相場があったものの配当利回りは4.54%のままであり、S&P 500銘柄の平均配当利回り(2%)に2倍以上となる差を付けている。

なお同社は過去5年間で5回増配しており、このまま行けば2020年には配当貴族(25年連続増配銘柄)の一員となる。

総括

IBMが持続的な成長を示すことで、同社史上最高額となったレッドハット買収の真価を証明することができれば今後の伸びにも期待できるだろう。

同社の成長見通しは、ハイブリッドクラウド事業でリーダーポジションを獲得できるか否かにかかっている。(提供:Investing.comより)

著者:ハリス アンワル