前週末に関しては、ウィリアムズNY連銀総裁が自身の行ったハト派発言について「次回の政策行動に関するものではない」と説明し、海外時間でもウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が「ブラードセントルイス連銀総裁など米金融当局者らは今月末のFOMCで0.25%の利下げに踏み切ると示唆。0.50%の利下げは準備していない」との報道を行い、今度はFRBの50bpの利下げ観測が低下し、ドルは買い戻される動きになりました。既に、FRB当局者はブラックアウト期間(金融政策に関する発言を控える期間)に入ったため、50bpの利下げ後退観測により、ドル円の下値もある程度底堅くなりそうです。

ECBについては、個人的な見解としては、7月にECBがフォワードガイダンスを変更、9月に超過準備の階層化を導入せずに10bpの利下げを行うとの見方ですが、ここにきて7月にも利下げを行うのではないかとの観測が高まっています。7月会合では、恐らくフォワードガイダンスの変更に留まるかと思いますが、9月の利下げを示唆するようであれば、来週の理事会にてユーロが大きく売られる展開になりそうです。また、ドイツのフォンデアライエン国防相の起用が決まった次期欧州委員会委員長の人事を巡り、イタリア連立政権を組む極右「同盟」とポピュリズム政党「五つ星運動」が非難合戦を続けており、イタリア連立政権の存続が危ぶまれていることがユーロ売りに繋がっています。

参議院選挙を無難に通過したため、本日のアジア市場のマーケットは落ち着いた動きになっていますが、参議院選挙が終了したこともあり、日米通商交渉が一気に進む可能性があります。トランプ大統領は安倍首相が選挙を控えていたこともあり、選挙前は日本に対して厳しい対応をしてこなかったことは幅広く知られていることですが、「為替条項」を含めた合意が行われる可能性とまではいかなくても、水面下では一定の合意をしていることは十分想定されるため、円安に誘導しにくい状況になっていることは確かでしょう。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

今週は、明日23日に英国の保守党党首選の結果が発表される見通しです。恐らく、前評判でも突出した支持を得ていたジョンソン前外相が勝利するものと思われます。ここまでは、既に市場も織り込んではいるものの、ジョンソン前外相は会見の席でどのような発言をするのかが注目されます。「合意なき離脱」を前面に押し出す発言であったり、トランプ大統領と強調してイランに対する強硬姿勢を強まるようなことになれば、前者だとポンド売り、後者だとリスク回避の動きにより円買いが主導しそうです。

また、 ハモンド英財務相は次期首相にジョンソン前外相が決定するようなら24日に辞任すると述べており、ジョンソン前外相が勝利することによる政権の混乱もある程度覚悟しておく必要があるでしょう。23日に新党首が決定、24日に首相就任、そして、8月上旬からEUとのブレグジット交渉を再開する予定とのことですが、10月31日までにEUとの合意ができなければ、EUは交渉期間再延長に応じる構えとの内容が報じられています。英国議会は、首相就任からすぐさま夏季休会に入ります。そのため、首相主任時の会見ではインパクトの強い内容を発信する可能性があるため、注目されます。

明日のポンド売りを見越してのショート戦略

ユーロドルが1.1280ドル回復しないまま下落してしまったこともあり、明日のメインイベント通貨であるポンドへと方針転換します。一旦は戻り基調が強まっているものの、ポンドドルでは、1.2560ドル付近が上値目途として意識されていそうなため、1.2560ドル付近まで引き付けての戻り売り戦略とします。利食いについて、1.2400ドル付近とし、損切りは1.2620ドル上抜けに設定します。

海外時間からの流れ

イランの革命防衛隊がホルムズ海峡付近で英国のタンカーを拿捕したことを受けて、トランプ大統領は「英国と連携する」と明言したこともあり、米国とイランの関係悪化が一気に進む恐れがあり、この点には注意が必要かもしれません。また、トランプ大統領がトランプ大統領がトルコに対する制裁の可能性について協議するため、今週上院議員のグループと会談を行う予定とのヘッドラインが入ってきており、ただ、トランプ大統領自身は「トルコへの制裁は回避したい」思惑もあるため、制裁が現実となればリラ売りが加速しそうですが、ここで再び制裁が回避されるようなら、リラへの買い安心感が強まりそうです。

今日の予定

本日は、主要な経済指標は予定されておりません。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。