★ダウ工業株128ドル安のうち、90ドル分はボーイング。 昨晩の米国株市場は反落です。ダウ工業株が128ドル安でした。このうち、90ドル分がボーイング1銘柄の下げです。 前日発表した決算発表では失望されていたわけですが、737MAXの墜落事故の影響が大きいということでした。昨晩もこの問題で補償費用などが業績を圧迫していることから、3.69%の下落となりました。株価自体が、348ドルと大変な値がさ株ですから、株価の単純平均であるダウ工業株を大きく下落させることになりました。 前日S&P500、ナスダックなど史上最高値を更新していただけに、利益確定が出やすい一日だったことは確かでしょう。そこに、GDP発表を控えているので、いったん利益確定が出たということのようです。
★定点観測。 各種指標では、ほとんどのものが移動平均線を上回っており、あまり大きな変化はありません。 一番リスク選好度の高いラッセル2000小型株指数が、ごくごく微細に25日線を割り込みました。逆にマネー循環指標の米10年国債利回りが、25日線を上回りました(上昇した。債券が売られた)。2.07%です。どちらも、6月18日~23日以降、ずっと高原状態・底這い状態で、もちあいが続いている状況には変わり在りません。 単純に昨晩の米国市場を俯瞰すれば、要するに米10年国債利回りが上昇し、株が下げたということになるわけです。 マクロ経済指標では、6月の耐久財受注が発表されており、予想+0.7%に対して、+2.0% と好調な結果になっています。また、週間の失業保険申請件数ですが、予想219000件に対して、206000件ですから、予想を下回っているわけで、どちらのデータも、予想より景気は良い、という結果になっているわけです。
★ECB、利下げスタンス。 連銀が月末のFOMCで利下げをするという方向になっているわけですが、昨晩ECB(欧州中央銀行)の定例理事会で、ドラギ総裁がステートメント上、今後利下げに踏み切る可能性を明らかにしています。 ただドラギ総裁は、欧州が景気後退入りする可能性は「きわめて低い」と発言しています。 欧州もアメリカと似たようなことになってしまったわけです。 市場では、このドラギ発言で、金融緩和をするとしてもその程度は限定的なものにとどまるのではないかと受け止めたらしく、株価が下げたという解釈が多いようです。 こうしてみますと、連銀もECBも、景気が後退していく可能性は低いが、今後不確定要素が高いために、予防的措置として利下げをする用意があるということにしていることになります。 市場は、中央銀行が思っている以上に、景気後退のリスクを感じているわけで、両者の間で温度差があります。
★FOMCという課題。 月末のFOMCまで連銀関係者の発言は、「ブラックアウト期間」に入っているので、封じられます。 その意味では、高官発言が相場のかく乱要因になるということはありません。 市場は恐らく、今月の利下げは「当然である」かのように織り込んでいますから、次は恐らく9月にも利下げといったような、一段と過剰な期待をすると想定されます。 これに対して、今月末のFOMCでパウエル連銀議長がどういったステートメントを出すかが注目されてくるでしょう。 FOMCまではこの、「予防的措置としての利下げ」期待で相場は高くても不思議ではないのですが、ステートメント次第では(9月の利下げは無い、と市場が思った場合)、株式市場がどう反応するかがポイントです。それが8月相場ということになるわけです。
以下、「意外にアメリカ株の過熱を抑制しているものは、GAFA規制か?」、「半導体価格は上がる?」、「IMFの成長率予想と、米10年国債利回りの見通し。」、「戦略方針~ポジション管理」等は、「一粒萬倍勉強会」サイトを参照。
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著者:増田経済研究所 松川行雄