★GDPで、米国景気悪化の見方が後退気味 今週最大のイベントだった、米4-6月のGDP速報値が発表されています。 年率換算で前期比+2.1%。 前四半期が3.1%と大きなものでしたが、在庫増大を巡って議論が錯綜していました。今回の2.1%は、これより落ちたわけですが、市場の予想は+1.8%でしたから、これは上回り、市場が考えているような景気後退の度合いは無いという結果になりました。 ポイントは、個人消費ですが、これが急増。経済の4分の3を占める個人消費ですが、これが4.3%増と、2017年第4Q以来の大幅な伸びとなりました。このため、輸出の減少や問題となっていた在庫投資などの問題を相殺した格好になっています。 新たな懸念としては、設備投資が2016年第1Q以来、初めてマイナスに転じたこと、そして住宅建設投資が6Q連続で悪化していることの二点です。 このため、総合的な成長率としては市場予想よりは良い結果になったものの、市場は連銀が利下げに踏み切る「予防的措置」に、その正当性を与える内容だというものになったようです。
★債券の反応。 個人消費という、経済の要が驚くべき4.3%の伸びを示したことを重視すれば、債券売りです。 逆に、企業支出が後退しているということを重視し、設備投資や住宅建設投資の後退に焦点を当てれば、景気後退の懸念が強いということで、債券買いです。 結果、昨晩週末の米10年国債利回りは上昇。両者衝突する中で、結果的には債券売り、利回り上昇という結果で終わっています。つまり、景気は再浮上という楽観シナリオのほうに傾斜したということです。 ただ、10年利回りは2.08%ですから、小幅に上昇したにとどまっており、まだ景気再浮上シナリオが決定的になったとは言えません。 米10年国債利回りは25日移動平均線から上方乖離を若干強めたものの、2.135のところにある50日移動平均線を抜けません。ここを上にブレイクすれば、米国景気再浮上シナリオが決定的になったとみなされるように思います。 抜けなければ、まだもとの木阿弥ということです。 GDPの結果で、上にブレイクする可能性が出て来たわけですが、結局は来週末のFOMCというイベントを通過してどうなるかに待つしかありません。
★定点観測、 週末の米国市場では、半導体SOXがインテルの決算に複数のアナリストが懐疑的な見方をしたので、下落したほかは、すべて上昇。 ジャンクボンドも上昇しています。 逆に先述通り、米長期金利も売られて上昇。 アルファベット(グーグル、GOOG)の決算が予想を上回り急騰、+10.45%。 ツイッター(TWTR)も、決算好感で+8.92%の高騰。 反対にアマゾン(AMZN)が予想を下回ったことで1.56%下落。25日線割れですが、下落率が大きいわけではないので、さして問題はないでしょう。 驚きは一般業種のスターバックス(SBUX)でした。決算好感で、ハイテクまがいの+8.94%の暴騰でした。 決算は個々の企業でまちまちですから、悲喜こもごもなのはわかりますが、上記はすべてナスダック構成銘柄なので、結局ナスダックは高値更新です。 ミクロ的には、業績悪化懸念は出尽くしで、業績再浮上に向けて市場は次のうねりを見せて始めていると考えられそうです。
★今週はイベント通過のクライマックス。 今週は気が付けば、かなりイベント目白押しで、そういう意味ではクライマックスになりそうです。クライマックスを経て、相場は終わるのか。それとも上昇加速に転じるのか、ここが興味深いところです。
以下、スケジュールとポイント(詳細省略) 「IMFの成長率予想と、GDP速報値から債券の動きを想定」「戦略方針~ソフトバンクの米国材料」「ポジション管理~5G材料加速するか」等は、「一粒萬倍勉強会」サイトを参照。
★「一粒萬倍」を一緒に勉強しましょう~「一粒萬倍勉強会」★(提供:Investing.comより)
著者:増田経済研究所 松川行雄