上場株式で得るリターンには配当金や売却益(譲渡益)がありますが、もうひとつ「貸株金利」もあります。多くの証券会社で利用でき、銘柄によっては年率10%超を得ることも可能。700銘柄以上が年率1%以上に設定されています(※)。株式市場が不安定な今、気になる仕組みです。

※楽天証券の場合(2019年6月24日時点)

富裕層が新たな資産運用法を開拓する必要がある理由

貸株,サービス
(画像=Yeexin Richelle/Shutterstock.com)

アベノミクス景気や東京オリンピック決定などの追い風を受け、2013年頃から2018年途中にかけて、国内の株価は右肩上がりでした。2009年3月に7,000円前後まで下落していた日経平均株価は2018年10月に2万4,000円台まで回復しました。

このようなマーケット環境は、富裕層の資産形成にプラスだったと考えられますが、2018年末以降、状況は一変。平均株価は軟調・下落局面になっています。さらに、2019年は米中の貿易摩擦が本格化。さらに不安定感が増しています。

このような中で、富裕層や個人投資家はこれまでとは違う、新たな資産運用法の開拓に迫られています。そのひとつの選択肢として考えられるのが、「貸株サービス」です。SBI証券、楽天証券、マネックス証券など多くの証券会社で利用できる仕組みです。

所有株式をレンタルしてリターンを得る貸株サービス

貸株サービスとはその名の通り、所有している株式をレンタルすることでリターン(厳密には貸株金利)を得る方法です。株式を貸し出す相手は個人ではなく証券会社のため、リスクの低い仕組みと言えるでしょう。

当然ながら株式には経年劣化がありません。カタチのあるモノをレンタルすると破損したり傷んだりすることもありますが、株式のレンタルであればこのような心配も不要です。

もうひとつの貸株サービスのメリットとしては、いったん手続きをしてしまえば「放ったらかし」で資産運用できる点も挙げられます。そのため、資産運用に時間を割けない多忙な方にも向いている仕組みと言えます。

貸株サービスで受け取れられる金利はどれくらい?

貸株サービスの金利は、所有する銘柄によって異なります。一例では、楽天証券の場合、最大年率16%の銘柄を筆頭に10%台が8銘柄あります。年率1%以上(例えば、8%、5%、4%……)も764銘柄存在します(2019年6月24日時点)。メガバンクの定期金利で0.01%が当たり前の時代でこれだけのリターンが得られるのは魅力です。

信用取引の株式を貸株サービスに充てることも

さらなる貸株サービスの魅力としては、投資家のニーズに合わせてコース選択ができる点も挙げられます。

例えば、貸株金利が通常の5倍になる「金利優先コース」の他、株式レンタルをしながら優待ももらえる「株主優待優先コース」や優待・配当の両方が得られる「株主優待・予想有配優先コース」などがあります(すべて楽天証券の場合)。

合わせて、信用取引と貸株サービスを併用できることに魅力を感じる投資家も多いでしょう。株式の信用取引では、保証金の約3.3倍のレバレッジがかけられます。この信用取引で取得した株式も貸株サービスでレンタルできるのです(ただし、併用可能なのは一部の証券会社のみ)。

この仕組みを使えば投資金額にレバレッジをかけた上で、下記のリターンを得ることが可能になります。

  • 配当金
  • 株主優待
  • 貸株金利
  • 売却益(譲渡益)
    ※配当金や株主優待がある株式に限ります。売却益が得られるのは値上がりした場合のみです。

【要注意】貸株サービス利用中の配当金は雑所得になる

貸株サービス利用の注意点としては、貸株サービス利用中に受け取る配当金は、「配当金相当額」として扱われることが挙げられます。課税時、配当金は配当所得として扱われますが、配当金相当額である貸株金利は雑所得になります。これにより、ケースによっては貸株サービスを利用すると手取り減の可能性もあるのです。これを回避するには、いくつかあるコースのうち「株主優待・予想有配優先」を選択するとよいでしょう(楽天証券の場合)。

※要件によっては配当金を受け取れないこともあります。詳細は各証券会社にお問い合わせください。(提供:JPRIME


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