「貯蓄から投資へ」と政府の呼びかけが始まって随分経ち、日本の中でも投資が少しずつ浸透してきました。しかし、これから投資を始める人は貯蓄と投資の割合をどのぐらいにしたら良いか悩む人も多いでしょう。

投資をスタートさせる前に、適正な貯蓄と投資の割合をどのように考えればよいのか確認しておきましょう。

投資は「攻め」、貯蓄は「守り」

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(画像=PIXTA)

投資と貯蓄の割合を決める前に、まずそれぞれどんな点が違うのか確認しましょう。

投資はリスクもあるが、リターンが期待できる

言うまでもなく、投資には元本が減るリスクがあります。損をする可能性があるため、重要な使い道が決まっているお金やすぐに使うお金まで投資に回すのは避けた方がいいでしょう。しかしその分、高いリターンが得られる可能性があります。お金を運用して増やしていく、「攻め」の性質があると言えます。

貯蓄はローリスク、ローリターン

現在の普通預金金利の平均は0.001%。貯蓄をいくら頑張っても金利でお金が増えることはほとんどありません。ですが基本的にリスクもないので、貯蓄は資産の土台を作り、万が一に備える「守り」の性質があると言えます。

日本人は貯蓄好き?データで見る平均投資割合

金融庁が発表している平成27年事務年度 金融レポートによると、日本は資産の77.3%を預金や保険など安全性の高い貯蓄で保有しているようです。

一方、資産のうちの投資割合は18.8%となっており、イギリスの35.7%、アメリカの45.4%と比較するとその低さが目立ちます。このような差が出る理由として考えられるのは大きく次の2点です。

金融広報中央委員会の調査によると、日本で学校や家庭で金融教育を受けた経験のある方はアメリカの3分の1でした。金融に関するテストでもアメリカやイギリスより正当率が低かったようです。つまり、そもそもの金融リテラシーが低いことが考えられます。

2点目は、日本人の投資成功体験が乏しいということです。日経平均の最高値は1989年に付けた3万8,915円で、未だこの金額を超えることができていません。一方アメリカやイギリスの株価は順調に上昇してきました。

日本は海外と比較し金融知識が乏しい上に投資の成功体験も少なく、そのため投資割合が低い結果になっていると考えられます。

収入から投資に回す割合の考え方

投資割合に対する考え方は人それぞれでしょう。ここでは、自分にとって適正な投資割合を見つけるために気をつけたい3つのポイントをご紹介します。

3ヵ月分の生活費は貯蓄しておこう

まったく貯蓄がない状態で投資を始めるのは危険です。何らかの事情で仕事を辞めることになっても、条件がありますが遅くとも3ヵ月経てば失業保険が受給できます。いざというときのために生活費の3ヵ月分は貯蓄しておきましょう。

資産を増やす目的(ゴール)を考えよう

例えば、20年間の投資で2,000万円貯める場合、年2%リターンがあるなら年約80万円ずつの投資で済みます。具体的な「ゴール」を設定することで適切な投資割合を知ることができます。

年齢・性格によって変わる投資割合

リスクに対する考え方は人それぞれです。ゴールから必要な投資割合を算出できたとしても、そのリスクを許容できないなら投資割合を引き下げた方がいいでしょう。また、一般に加齢により人の取れるリスクは下がっていきますが、一概には言えません。

お金に振り回されるのではなく、自分がどうしたいかを優先し投資の計画を立てましょう。

株式投資だけじゃない。さまざまな投資方法

投資と聞くと「株式投資」をイメージする人も少なくないでしょう。しかし、株式は100株単位の売買のため投資額の調整が難しく、また値動きも大きいため投資未経験の方には実はハードルの高い商品です。投資初心者でも取り組みやすい方法は他にもいろいろありますので、ここでいくつかご紹介しましょう。

投資信託

さまざまな投資商品を1つにパッケージした商品で、分散投資効果からリスク低減が期待できます。ネット証券なら100円以上1円刻みで金額の調整が可能です。

また、「iDeCo」や「つみたてNISA」などの優遇制度を利用すると投資効率が高まります。

ポイント投資

投資資金をお金ではなくポイントで支払う方法です。仮に損をしても減るのはポイントですから、精神的な負担が軽く「投資のお試し」としておすすめです。

ソーシャルレンディング

一定期間お金を事業者に貸し付け、比較的高い金利を受けとる投資方法です。数万円からスタートでき、1年程度お金を預けます。価格変動はありませんが、事業者がお金を返済できない信用リスクに注意しましょう。

自分なりの投資スタイルを

貯蓄と投資の適正な割合は人それぞれです。投資のゴールを明確にし、また自分のリスクに対する考え方を明らかにすることで自分にぴったりの投資割合が見えてくるでしょう。マネープランをしっかり立て、自分に合った投資スタイルを見つけましょう。

文・若山卓也(ファイナンシャルプランナー)/fuelle

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