貸駐車場は、不動産投資の形態の一つです。貸駐車場が相続財産となった場合、相続税法上の評価額はどのようになるのでしょうか。今回は貸駐車場を相続する場合の税法上に評価方法について解説します。

駐車場の相続税での評価は「雑種地」

貸駐車場,相続,税法
(画像=non c/Shutterstock.com)

駐車場が相続財産となった場合、基本的には雑種地として評価します。雑種地とは、「宅地」「田・畑」のように、用途や役割、活用方法が明確になっている22種類の地目以外のものです。雑種地として評価する場合には、この雑種地と類似する近隣の土地についての1平方メートルあたりの評価額をベースにし、2つの土地の距離や形状の違いを考慮したうえで正式な評価額を計算することになります。

貸付の形態で評価額が変わる

貸駐車場といっても、その駐車場がどのような状態であるかによって評価額が変わります。

青空駐車場の場合

青空駐車場とは、ロープなどで区切る程度の簡易な設備を施した駐車場のことをいいます。この青空駐車場の営業については、税法上、不動産賃貸業として認められていません。青空駐車場の事業目的は自動車の保管に過ぎず、土地の利用を目的とした賃貸借ではないと解釈されているためです。そのため自用地としての扱いとなり、先述の雑種地としての評価がそのまま財産評価額として相続税の計算の基礎となります。

所有者自らアスファルトなどを設置した場合

貸駐車場の中には、所有者自らがアスファルトや車止めを設置したものやコインパーキングにしたものがあります。この場合も、自用地として評価することになります。

コインパーキングなどを運営する会社に賃貸している場合

コインパーキングなど駐車場事業を営む会社に賃貸している場合には、駐車場事業を営む企業に一定期間の賃借権が発生しているので、その分を割り引いた評価を行うことになります。具体的には以下の通りです。

・駐車場用地の相続税評価額=自用地の価額×(1-賃借権の残存期間に応じた割合(※))

※賃借権の残存期間に応じた割合は以下の通りです。

【一般的な賃貸借契約の場合の割合】
賃借権の残存期間 割合
賃借権の残存期間が5年以下 2.5%
賃借権の残存期間が5年超10年以下 5%
賃借権の残存期間が10年超15年以下 7.5%
賃借権の残存期間が15年超 10%

ただ「賃借する会社が地上権を登記している」「設定の対価として一時金や権利金の支払いがある」「土地の上に敷設した施設の所有を目的とした契約をしている」といった場合には、注意が必要です。単なる賃借権というより地上権や借地権と同等に扱うほうがふさわしいでしょう。この場合、賃借権の残存期間に応じた割合は以下のようになります。

【地上権や借地権と同等の扱いとなった場合の割合】
賃借権の残存期間 割合
賃借権の残存期間が5年以下 5%
賃借権の残存期間が5年超10年以下 10%
賃借権の残存期間が10年超15年以下 15%
賃借権の残存期間が15年超 20%

貸アパートや貸ビルなど付属の駐車場の場合

この場合には、賃貸借している建物と同じ宅地として評価されます。つまり雑種地ではなく宅地として取り扱われ、かつ貸家建付地として評価することになるのです。貸家建付地の評価額計算は以下の通りです。

・賃貸借建物の付属駐車場の相続税評価額=自用地×(1-借地権割合×借家権割合(通常30%×賃貸割合)

借地権割合は路線価図で確認することができます。また賃貸割合は、貸アパートや貸ビルにおける独立部分の床面積のうち、実際に相続開始時に賃貸している独立部分の床面積の占める割合です。ただ賃貸アパート・賃貸ビルの駐車場の中には、貸室と別に賃貸されている場合や建物の貸室利用者以外が利用している場合もあります。そのため契約内容などをよく吟味したうえで判断することが大事です。

小規模宅地等の特例の取り扱い

もう一つ気になるのが小規模宅地等の特例の取り扱いです。小規模宅地等の特例では、不動産賃貸業や駐車場業として認められれば、200平方メートルを上限に、土地の評価額を50%減額することができます。小規模宅地等の特例が適用されるかどうかは、これまで解説した例では以下の通りです。

ケース 適用の有無 減額対象
青空駐車場の場合 適用なし
所有者自らアスファルトなどを設置した場合 適用あり 200平方メートルまで50%減
コインパーキングなどを運営する会社に賃貸している場合 適用あり 200平方メートルまで50%減
貸アパートや貸ビルなど付属の駐車場の場合 適用あり 200平方メートルまで50%減

所有者自ら貸駐車場を運営する場合には、単にロープで区切るだけでなくアスファルトなどを設置するほうが節税になります。ただ、小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、その状況だけが条件ではありません。「相続開始前3年間より前に事業が営まれている」「親族が事業を引き継ぎ、申告期限まで営む」といった条件も満たす必要があります。(提供:YANUSY

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